「きたなシュラン」のそっくり番組から垣間見えるテレ東の独自性
「入る勇気が出ないボロ~い店。それでもなぜか大人気!」「見た目は悪くても料理は一流!」「外見は古びた食堂でも連日満席の人気店!」(以上番組冒頭のナレーションより)
……ってそれ、『とんねるずのみなさんのおかげでした』(フジテレビ系)の「きたなシュラン(現きたなトラン)」まんまじゃないの!? と思った人も多いのではないだろうか。企画会議段階でも、誰も言わなかったのか。
その番組が、4月16日に放送された『土曜スペシャル 見てビックリ! 食べてビックリ! ボロいのに激うまの店』(テレビ東京系)。「きたない」を使わず「ボロい」にしてるところが、差別化というか線引きなんだろうか、「ウチはあくまでも”ボロい”ですから」みたいな。番組のレポーターやナレーターも、「ボロい!」と強調気味に言ってるし。ちなみに番組で紹介するお店は”ボロうま店”と呼ぶようだ。
さて、紹介される”ボロうま店”、まず1軒目は、品川区にある「ツタがからまる天ぷら屋さん」。レポーターのひとり、矢部太郎が「これだ!」と言った先に映った店は……「きたな」で紹介した店だ! お店のチョイスまで同じという、まさかの展開。企画が似ているのはセーフだとしても、せめてお店は独自に探すべきである。店内の壁には、「きたな」のロケで木梨憲武が記念に書くことが多い「ペレ」のサインが残ってて、画面に映りまくっているし。
レポーター矢部、食事中のお客さんに質問する。
「なんでこの店、すごい人気あると思いますか?」
ドキドキした。「とんねるずの番組で見たから」って言われちゃったら、どうするのか。
「やっぱおいしいから」
という答えでよかったけど。
続いて2軒目は、大久保のカレー店。……また「きたな」と同じ! 3軒目の戸越の中華料理店も! 看板や壁のボロさ、店内の真っ黒になった招き猫などの、いじるポイントもほぼ同じ。「テレ東、アウト~~」と、『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!』(日本テレビ系)の「笑ってはいけない」シリーズの声が、頭の中に聞こえてきた。
これ以降は、ようやくかぶってない店が出てきて、ちょっとホッとしたが、ホッとさせてもらうってどうなのか。紹介された10軒中の3軒がかぶってるっていうのは、多いのか少ないのか。確信犯で3軒にしてたんだとしたら、ちょっと問題だけど。
これまで「レトロ感ただよう」「昭和にタイムスリップ」「味がある」とかぼかしていたものを、正面から「きたないけれど」と言い切ったのが「きたなシュラン」で、このラインがグルメ情報番組の新しい鉱脈であることは分かった。テレビ東京の方もグルメや温泉などの情報をいつも扱っている伝統ある枠の番組なので、番組のつくりそのものには安定感があっただけに、”似すぎ”なのがもったいない。
そんな中、ちょっと独自性があったのが、各店舗紹介の最後に、「この店 この曲」と銘打って、お店にぴったりの曲を選んでもらうというコーナー。ツタのお店が「六甲おろし」で、カレー屋が「勝手にシンドバッド」とか。意味はいまいちよく分からないが、独自性だけはすごくあった気がします。
(太田サトル)
テレビ東京のグルメ番組と言えばコレ!
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