被災しても本を作った……鹿砦社社長が語る「阪神・淡路大震災の復興」
――『ジャニーズおっかけマップ』『タカラヅカおっかけマップ』や、”松田聖子の愛人ジェフ”による『壊れた愛』など、芸能人の研究本・暴露本など問題作を次々と刊行してきた、鹿砦社・松岡利康社長。”言論の自由”を守るために闘ってきた、社長の壮絶出版人生に迫っちゃうぞ~!
【阪神大震災編】
阪神・淡路大震災を経験した、兵庫県西宮市の出版社・鹿砦社。前回は、被災した当時の話をお伝えしました。今回は、大地震からの復興についてです。
『――阪神・淡路大震災 心の軌跡をたどる記録集―― そして、これからを生きて行く』(赤井成夫・編/鹿砦社)は、地震で日常生活の何もかもを失いながらも、懸命に這い上がった12人の体験記をまとめています。
鹿砦社社長の松岡利康さんによると、
「編者の赤井さんは、神戸新聞の元編集委員で、もともと10年来の知人だったんだよね。これは阪神大震災から5年後に出した本で、混乱が一段落したころだったと思う。赤井さんは当時、神戸新聞文化センターという、いわゆるカルチャーセンターの文章講座で講師をやっていて、この本の体験記は赤井さんの指導の下、そこの生徒が書いたんだよ」
本からは、地震でそれぞれ家や仕事を失い、その後再就職して、日常生活を取り戻していく人たちの様子が伝わってきます。
「この本に寄稿してくれた人たちは、どうにか立ち直れたわけだけどね。ただ、そう簡単なことではないから。阪神のときも、ローンが残ってるマンションの支払いと、新しい家の家賃の支払いに追われた人がたくさんいた。これから東北でも、ダブルローンで苦しむ人が出てくるんだろうね……。地震保険に入っていれば救済される人も居るんだろうけど。この、地震保険が注目され始めたのは、阪神大震災がきっかけだったんだよね」
被災地住民という立場から見た、阪神大震災の復興のスピードを聞くと、
「具体的な年数までは正確には分からないけど、仮設住宅もどんどん建っていったし、驚異的な速さで復旧してたと思うよ。崩壊した高速道路が、半年くらいで修復されていたのにはたまげたね~。今回の場合は、岩手県・宮城県・福島県・茨城県、と被害が広範囲に渡ってるからねぇ。被災地域が固まっていないし、阪神大震災とは比べものにならないくらいの被害の大きさではあるから、阪神と比べたら大変かもしれない。ただ、阪神のときも復興は早かったし、僕は今回も復興は早いと思っているよ!」
今回は義援金の集まりが、阪神大震災の何倍ものスピードで集まっていることに関しても、松岡さんは大絶賛。
「そういう話を聞くと、未来に希望が持てるよね。日本人の力はバカにできないよねぇ。先日、僕も個人的に100万円を寄付しました。安室奈美恵の5,000万円には負けるけどさ(笑)。でも、僕にとっては決して小さいお金じゃないからねぇ。年内にあと400万円くらいは集めて、長期的に支援を続けるつもり。阪神を経験して、被災地の悲惨な状況を見たことがある身としては、今回の地震もひとごとじゃないしね」
また、寄付だけでなく、実際に現地へ足を運ぶ計画も立てているのだそう。
「しばらくしたら、現地にボランティアにも行く予定だよ。すでに結構協力者が集まっていて、物資を持っていったり、チャリティーコンサートをしたりしようと思ってる」
東北支援計画を冗舌に語る姿に、頭が下がる思いでいっぱいです。……だけど、本業の本作りの方は大丈夫?
「ちょうど今、『東電・原発おっかけマップ』を作っているところだよ! ウチで昔出した『厚生省おっかけマップ』と似たような作りで考えてるから、東電幹部や御用学者、原発推進派の人たちについてのデータを必死で集めてるよ~。”原発は安全です”という宣伝役を務めた人には反省してもらわないかんからな。取材に時間がかかるから、具体的な日程まではまだ言えないけど、なるべく早く仕上げたいね」
その辺りの行動の速さにも、頭が下がります……。
(朝井麻由美)
松岡利康(まつおか・としやす)
1951年9月25日生まれ、熊本県出身。同志社大学文学部卒業後、貿易関係の仕事に従事。サラリーマン生活を経て、83年にエスエル出版会を設立、88 年に一時期経営危機に陥っていた鹿砦社を友好的買収、同社社長に就任。05年にパチスロメーカー大手のアルゼ(現ユニバーサルエンターテインメント)を取り上げた『アルゼ王国はスキャンダルの総合商社』、球団スカウトの死に迫った『阪神タイガースの闇』などの出版物について、名誉毀損で神戸地検に逮捕、起訴され、有罪判決を受ける。「ジャニーズ研究会」も開設。
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