ピー音の連続に塗りつぶしまで! 『30歳の保健体育』の荒業
学校教育の場以外で「保健体育」という言葉が使われる場合、ほぼ100%、性教育方面に特化した意味合いで使われる。この春スタートしたアニメ番組『30歳の保健体育』もそういう方面での「保健体育」。それ以上でも以下でもない。保健体育の番組ではあるが、教育テレビではなくTOKYO MX(BS11でも放送)での放送だ。4月7日に放送された(BS11では10日放送)第1話を見た。
物語は「30歳まで童貞のままだと、魔法使いになる」という、オタク系都市伝説が下敷きになっていて、公式HPを見ると、詳細なストーリーが記されていた。
「ある日、主人公のもとに性愛の神が舞い降りむりやり童貞を卒業させるためのレッスンが始まった。30歳童貞と30歳処女が繰り広げる、ちょっとエッチな純愛(!?)ラブストーリー!」
………………。写し書きしてちょっと恥ずかしくなったが、まあ、そんなお話です。モテない30歳オトコの主人公と、美形だがやや変態風で神出鬼没、「俺はお前に童貞を捨てさせるために来た」という、自称”性愛の神”とのボケツッコミ風のやりとりで話が進んで行く。その設定やストーリー以上に、規制を逆手にとったような演出が気になってしかたない。たとえば、開始早々、主人公のベッドの上に、ペンかクレヨンのようなタッチで塗りつぶされた人の形をした”何か”がある。たぶん、ラブドール系の人形だ。この「塗りつぶし」が、とにかくあっちにもこっちにも作品内に出てくる。戦時中の出版物か。
教育風の場面で「体位のバリエーション」として黒板になにやら板書されているが、肝心の板書も全部塗りつぶされている。サブタイトル的なものにも、
「LESSON1 はじめての●●●」
「LESSON2 ●●●前にしておく準備」
「LESSON3 ●●●●●●」(全部!)
と、ここも塗りつぶしだらけ。セリフも、ピー音処理がやたら入る。しかも、
「はじめての(チョメチョメ!)」
「経験の少ない女にいきなり(エビ固め!)するなど愚の骨頂」
「経験の多い女に(卍固め!)一辺倒など」
( )内の言葉の絶叫が、ピーの代わりにかぶせられている。とにかく過剰すぎる塗りつぶしやピー音が、狙ってる感ハンパない。「地上波の限界に挑戦!」みたいなことをドヤ顔で言われそうである。DVDやブルーレイで「その全貌が!?」みたいな展開になりそうだが、お金を払ってまで塗りつぶしの向こう側を知りたい気持ちにも今のところはなっていない。結局、「セックスのハウトゥアニメを制作・放送した。しかも地上波で!」という話題性がこの番組のアイデンティティーなのかなと思う。
とはいえ、放送回を重ねることで、いわゆる「逆に面白い」になっていくのか、あるいはリアル「魔法使い候補」には「あるある」な内容なのか。たった15分のアニメなのに、いろいろ考えてしまい、なんだかお腹いっぱいだ。
この先どんな「ドイヒー」が見られるのか、しかと見届けなきゃいけないような気持ちも芽生えた気もする。これって、結局は番組の狙いに乗っかっちゃってるのか?
(太田サトル)
童貞に誇り持ってるのがウザイなぁ
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