「夫にはセックスもさせません」、中年婚活の現実を「婦人公論」が特集
今号の「婦人公論」は、「婦人公論」の「婦人公論」らしい部分がギュッと濃縮されている感じ。まだ同誌を読んだことがなくて、「どんな雑誌なのかな」とお思いの方は、今号を読めばよく分かるはず。特集は「40代からの結婚・再婚最前線」、サブタイトルは「ときめきと安定が欲しい」! なんという率直なタイトル!! もともと結婚は女の見栄と欲望がむき出しになる楽しいイベントですが、それに「40代から」という年齢条件がプラスされている。年齢は結婚にどう作用するのか、「婦人公論」ならではの生々しいルポを堪能してください! それでは行ってみましょう。
<トピック>
◎特集 40代からの結婚・再婚最前線――ときめきと安定が欲しい
◎セレブ妻・三橋歌織が隠しきれなかった”モンスター”の顔
◎氷川きよし 初恋のあの子を思い出しながら……
■自分のことは棚に上げて「チビで小デブの冴えない中年」
特集はとにかく「これでもか、これでもか」というくらい女の本音ぶっちゃけ祭り。最初の記事は、作家の工藤美代子による寄稿文「『相手のおしめを交換できるか』をまず自分に問いかけて」。衝撃的なタイトルです。熟年結婚の心構えをズバッと言い表しています。内容も「『お互いに賞味期限間近だから』という気持ちで結婚するくらいじゃないと……。期待値があまりに高いと、持ちません」と気持ちがいいほどキッパリ。
次のページは、ルポ「婚活にゆれる女心 条件は、金か見た目か安心か」。インターネットのお見合いサイトに登録し、年収1,500万円以上の51歳と会う約束をしたが、「ウエストポーチに磁気ネックレス、チビで小デブの冴えない中年」「薄毛の頭にかいた大量の汗が顎まで流れていて、ちょーキモい」と言いたい放題。50代で婚活を成功させたことのある女性は「愛のためじゃなくて、自分自身を守るためにした結婚だから、ときめきもいらないし、結婚式もいらない。夫にはセックスもさせません」とのたまっています。
故・松田優作氏の前妻で作家の松田美智子が書いた「私の”公開誌上婚活”敗戦記」もトホホ話が満載。インターネットの結婚相談所に登録したところ、「数年前に死亡した私の父より老けていて、年齢は80代前半」という男性が見合いの申し込みをしてきたそう。作家という立場を利用し、発行部数60万部を誇る「週刊新潮」(新潮社)で伴侶を募集したところ、2桁の申し込みがあったが「年齢は50~70代前半まで。(中略)学歴は高卒者が8割」で、中には「大人の割り切ったお付き合いを望んでいます。セックスフレンドとしてお付き合いしてください」という不届き者もいたとか。
最後の読者手記では、出会い系で知り合った公認会計士とホテルで休憩した後、自宅に誘われたが、そこは「古いアパートの六畳一間。部屋の中に入ると、”巨乳シリーズ”と書かれたアダルトビデオが散乱していて足の踏み場もない。トイレを借りようとユニットバスのドアを開けたところ、バスタブにはずいぶん前に作ったと思われるカレーの残骸が鍋ごと置かれており、異臭も甚だしい。お風呂だけでなく、天井もカビだらけ」。さらに「ホテルで関係を持った時、性病をうつされていた」。
読めば読むほど、40代からの婚活は踏んだり蹴ったり。しかし、「婦人公論」のスタンスは、いつでも悪いのは男。松田美智子が書いています。「一連の婚活を終えてつくづくと感じたのは、日本の男性は概して幼児性が強く、『男は永遠の少年』という言葉を美点のように考えていることだ。彼らは結婚相手がいくつ歳下であろうと、こまめに世話を焼く母親の役割を求めている」。そーだ、そーだ、男が悪い。夢もときめきもないのは男のせいだ! ということです。でもって特集最後に書かれている案内が「次号の特集は『40代からが女の人生の本番です』」ですからね。踏まれても蹴られても中年女は負けません。女バンザイ!
■ティーンのアイドル誌よりも乙女系
グラビアページは、またまた氷川きよしクンです。「婦人公論」ではおおよそ月イチくらいできよしが登場します。本当にすごい掲載率。いつもいつも無難な着衣のカットと新曲のコンセプトを語った面白味のないインタビューなんですが、読者はこれで満足できるんでしょうか? どんだけ無難かっていったら、たとえば初恋の話を振られて、「保育園の時ですが、(中略)子ども心に彼女を振り向かせたくて、スカートや髪の毛を引っ張って意地悪をしていました」なんて答えてるんですよ! おまえは入所したてのジャニーズJr.か!? どうなんですか、33歳の男が保育園の恋愛を語って面白いですか、濡れますか? 特集記事の「性病うつされた」といったぶちまけ感とのギャップがすごいです。でもね、これが女。言ってみればセキララとキラキラの同居ってとこですかね。いくつになっても、ウエストが何センチになっても、ときめきを追い求めてやまないのですよ。アラフォーの筆者はよく分かります(きよしの初恋の相手が”彼女=女の子”ってとこは、ある意味衝撃はありますね)。
今号はほかにも。渋谷・夫バラバラ殺人犯に迫る「セレブ妻・三橋歌織が隠しきれなかった”モンスター”の顔」や、「『夢は専業主婦』という20代が増加中の、なぜ」といった女の生き方系ルポが充実しています。「婦人公論」を読むと、必ず「こうはなりたくないわ」と反発したい気持ちになるんですが、しかし心のどこかでは愛おしく感じてしまうところがあります。人生に悩んだときにぜひ読んでください。笑える一方で暗い気持ちになること請け合いです!
(亀井百合子)
相手は自分を写す鏡ですからね……
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