カルチャー
【ヤリマン肯定主義】第9回

ヤリマンが『いい女はみんな淫乱』を読んで、「淫乱」の意味を考えてみた

2011/03/28 20:00
『いい女はみんな淫乱』(マガジン
ハウス)

 『いい女はみんな淫乱』(マガジンハウス)、なんともぶっ飛んだタイトルの本が発売されました。しかもサブタイトルは『OLのリアルSEXライフ378』! ”OL”と聞けば、ほとんどの男性は「たまらん」と、鼻の下を伸ばすことでしょう。そのOLが”淫乱”で、しかも”いい女”だったら? 男性にとっては、この上ない興奮材料です。

 ”淫乱”ではあるけれど、 “いい女”ではない私にとって、これは一大事! ”淫乱”で、なおかつ”いい女”が378人も潜伏しているのだとしたら、ぶっちゃけ私に勝ち目はありません。「これは、ヤリマン活動を開始して以来、最大の危機到来か?」という不安を抱きつつ、ページをめくっていきました。

 この本には、セックスに関するアンケートに回答した368名のデータと、ディープなインタビューに応じた10名の女性のエピソードが集められています。

 10名のインタビュー集に関しては「パンチラ大好きな彼のために、40過ぎでマイクロミニを着る」「同時に6人と付き合っていた過去を持つ」、「彼は『自分の(精子)は薄いから、子どもがなかななできにくいんだ』と言って、コンドームもつけずに中出ししていた」など、ヤリマン道を究めた私から見ても「マネできないなぁ」という武勇伝。一方、キャリアウーマンの女性が、抱えていた案件が一段落した解放感から同僚や男友達とヤッてしまったり、デート代やラブホ代を一切払わず、ラブホを出た後の朝マック中もずっと携帯電話をいじっているような年下男とは別れたという話や、「40代が恋愛やセックスをするには、リサイクルが最も手っ取り早い」と、過去のボーイフレンドの在庫一掃をしている女性など、思わず共感してしまうようなエピソードまで飛び出し、まさしく十人十色といったところでしょう。

 とはいえ、「こんな淫乱女がいたら、並みのヤリマンである私に勝ち目はない!」と絶望するほどのぶっ飛んだエピソードは見当たらなかったので、とりあえず胸を撫でおろしました。そういった意味では、隠れヤリマン、もしくはヤリマン志願の女性にとっては、ちょうどいい参考資料になることと思います。

 むしろ、私が関心を引かれたのは、冒頭のアンケート結果です。

「(セックスを)することで綺麗になれるし、生理がきちんと来るので欠かせない」
「30歳過ぎた頃から……性欲が増大」
「自分の手入れを怠らない程度は必要だと思う」

 などの意見には、少なからず衝撃を受けました。30歳前から性欲旺盛だった私は、綺麗になるためと考えたこともなく、むしろ殿方の家に泊まると、通常の身支度が出来ないため、翌日は中途半端なメイクで出勤することもあります。また、生理のためにセックスチャンスを逃してしまうこともあるので、むしろ生理をセックスのバロメーターにしているくらいです。脱毛やダイエットなどの”自分の手入れ”も、「電気を消せばいいか」で済ませていました。それでもセックスを愛してやまない私は、別の意味での”淫乱”なのかもしれません。

 他にも、「1回のセックスにかかる時間は?」という質問に対して、未回答者が5%しかいないというのも驚きでした。もし私がこのアンケートに答える立場だとしたら、この質問に対しては間違いなく未回答です。セックス開始に合わせて時計を確認し、終了後も時計をチェックするという習慣が、私にはないからです。私から見たら、セックス前後に時計をチェックしている女性こそ、まさしく”淫乱”です。そう考えると、淫乱人口ってけっこう多いということになりますね。

 「パートナーへ前戯をする?」という質問に、「しない」と答えた人が8%もいることにもびっくりしました。これは、”いい女”とか”淫乱”とかいう以前に、礼儀の問題かと思います。前戯をしない女性は、”いい女”でも”淫乱”でもなければ、ただの”礼儀知らず”なのではないでしょうか。

 最後に、タイトルにもある”いい女”についてですが、この本によると「性欲を自己肯定している人」ということのようです。私自身は、性欲を自己肯定していますが、”いい女”ではないなぁというのが正直なところでしょうか。この本が説くように、仕事やセックスが充実していて、エステなど女磨きも怠らないのが”いい女”ということになると、並みのヤリマンである私にとってはかなりハードルが高いです。ただ、スタッフ座談会のページで語られていた「性欲にきちんと向き合っている女は潤いがあるように見える」という言葉には、うれしさを感じました。

~今回の格言~
いい女はそこそこ淫乱! 淫乱なヤリマンは、いい女ではないが、そこそこ潤っている(らしい)! 

菊池美佳子(きくち・みかこ)
21歳で処女のままキャバ嬢デビューをするものの、試用期間内に本指名をとれず、東武東上線沿線のキャバクラを転々とする。その後、派遣OLを得て、現在は大人のおもちゃ屋さんのコピーライターとして、ヤリマンの名誉をかけて奮闘中。

『いい女はみんな淫乱 OLのリアルSEXライフ』

サイ女辞典【マガハ病】:何でもかんでも都合よく捉え、自分を「オシャレ」に見せようとする心理


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最終更新:2019/05/24 17:12
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