海外セレブが寄付を踏みとどまる理由は、やはり日本の○○?
11日に発生した東日本巨大地震。現在も被害が拡大し続けており、原発問題など予断を許さぬ状況に、世界中が注目している。そんな中、米CNNの人気キャスター、アンダーソン・クーパーが、被災地に入り現状をレポートした。
レディー・ガガやエミネムら人気スターから本音を聞き出すインタビュアーとしても知られるアンダーソンは、CNNの看板ニュース番組『アンダーソン・クーパー360°』を持つ、行動派ジャーナリスト。スタジオを飛び出し現地から「見たものだけを、事実、真実をそのまま伝える」というスタンスを持ち、高く評価されている。
アンダーソンは、東日本巨大地震発生直後に日本行きを決定し、約2日かけて被災地に辿り着き、14日早朝、自衛隊が到着する前の宮城県七ヶ浜町で取材を開始。ハリケーン・カトリーナや、ハイチ地震、スマトラ島沖地震による津波被害を受けた被災地での取材をした経験を持つアンダーソンだが、「目に見える光景を頭で理解することができない」と想像を超える被害に絶句した。
一面がれきの山となった街を見渡し「地面の上をがれきが覆っていると錯覚するけれど、ここ一面がれきの山なんだ。3メートルくらい、がれきが積み重なっている」と説明。「ヘリコプターが飛び交う音以外は、静か。静寂。時折、飛ぶ鳥の羽の音や、何かが風になびくカサカサという音が聞こえるだけ」と伝え、泥にまみれたアルバムを拾い、泥をぬぐいながら一枚、一枚、じっと見つめていた。
仙台市では、車を積んだトレイラーがVの字に曲がった状態で電信柱に引っかかっている現場をレポートし、「津波の力がどれほど強いものか、お分かり頂けるでしょう」「このような超現実的な光景が、被災地では至るところで見られる。見慣れてしまうほどだ」と固い表情で語った。
アンダーソンは、家族が引き裂かれてしまい辛い思いをしている現状もレポート。市役所の掲示板に貼られた数多くの伝言メモを指差し、「通信手段がないため、これが頼り。これだけが頼りなんだ」と言い、赤十字職員にインタビューをし、被災者の置かれている厳しい現状を繰り返し伝えた。
「3メートルのがれきの下に、どれだけ多くの人が閉じ込められていることか。がれきをすべて撤去するには、相当の時間がかかる。復興までの道のりは厳しく遠い」とため息交じりに報道していたアンダーソンだが、福島第1原発の問題が深刻化してきたため、14日夜には東京を目指して移動を開始。Twitterで「原発で働いている人たちのことを思っている。彼らは本当に勇敢だ」「原発で働いていた100人は避難したが、50人は残っているそうだ。彼らのために祈りたい」などと、2時間おきにツイートしながら16日に東京入りした。
現在も東京にいるアンダーソンは、最新のレポートで、日本政府を強く批難。「福島第1原発の問題に取り組んでいるのは民間企業(東京電力)であり、日本政府ではない。しかも、この企業は、過去にも国民を誤解させるような発言をしているのだ」「BPによる原油流出事故の際、アメリカ政府はこの問題は政府が指揮をとると強く主張した。でも日本は違う。民間会社(東京電力)がすべての情報を握り、指揮し続けているのだ。官房長官の会見も、安心しろと強調するもので、細かい情報は何も公開されない。内容のないものになっている。おそらく、民間企業(東京電力)から情報を得てないのだろう」と述べた。
続けて「国民は真実を得ようと、海外メディアの報道に注目している。しかし、日本政府が出す情報が少ないという現状の中に置かれているため、我々もあの原発の中で一体何が起こっているのか把握できていない」とジレンマを感じているのだと語った。
また、「日本政府は事態をコントロールしていない。恐ろしいことに、民間企業(東京電力)もコントロールできていない」「リーダーシップをとるものがいないため、ガタガタな状態だ」「原発で働いている人数を、50人から180人に増やしたと言うが、それを裏付けるものは何もない。というか、これまで日本政府が発表してきたことを証明するものは何もないし、すべて裏がとれないため、真実なのかどうかも分からないんだ」と日本政府に対してチクリ。
「パニックを起こしたくない、という気持ちは分かるが、もしアメリカでこんな会見を繰り返していたら、強い非難を受けることは間違いない」と言い放ち、「日本に住む人々は、政府に対する信頼を失っている」と、日本政府が日本国民を不安な気持ちに陥れていると伝えた。
この原発の問題は、CNNだけでなく他局もメインに報じている。地震発生直後から、ハリウッド・スターたちが、被災者支援のためへの募金を呼びかけているものの、ハイチ大地震ほど義捐金の集まりが良くないという理由も、日本が先進国であるからだけではなく、原発の問題に憤りを感じているからかもしれない。
なお、ハイチ大地震では、ミュージシャンのワイクリフ・ジョンが200万ドル(約1億5,000万円)、 スーパーモデルのジゼル・ブンチェンが150万ドル(1億1,000万円)、サンドラ・ブロック、ブラッド・ピット&アンジェリーナ・ジョリー、レオナルド・ディカプリオ、ジョージ・クルーニー、オプラ・ウィンフリーが100万ドル(約7,900万円)を寄付しており、救済のためのチャリティー番組『Hope for Haiti Now』では、5700万ドル(約45億円)の寄付金を集めた。
パンクバンド「ブリンク 182」のマーク・ホッパスが、歌詞を書いた貴重なメモを、被災者支援の寄付目的のためにオークションに出展したり、メジャー・リーグのニューヨーク・ヤンキーズも被災者のために10万ドル(約790万円)を寄付すると表明するなど、東日本巨大地震被災者を支援する輪も広がりつつある。しかし、いつまでも解決されない原発問題が、ストッパーとなってしまう可能性は高い。
アンダーソンが訴えるように、原発問題が一日も早く、絶対に大丈夫だという証拠と共に解決されることを祈るのみである。
『寄付白書〈2010〉―GIVING JAPAN 2010』
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