棒読み&不可思議な演技……『美しい隣人』は役者が揃い過ぎている!
今回ツッコませていただくのは、ドラマ『美しい隣人』(フジテレビ系)。
ストーリーは、謎の美女・マイヤー沙希(仲間由紀恵)が、平凡だが幸せな主婦・絵里子(壇れい)の隣家に引っ越してきたことから、絵里子の平凡な日常が崩れていくという昼ドラ的なもの。単身赴任先で沙希に誘惑され、不倫する絵里子の夫を演じているのが、渡部篤郎なのだが、このところ、どうにも彼から目が離せない。
2月22日放送分では、入院していた実母の快気祝いに来た「隣人」というのが、赴任先での浮気相手と同一人物だったことを知り、まるで『ロンドンハーツ』(テレビ朝日系)のドッキリ企画のような顔をしていた。その衝撃の顔が実にリアル! さらに、沙希に「何を考えてるんだ!?」と詰め寄り、すべてが沙希の策略=絵里子という幸せそうな女性への嫉妬心からの誘惑であったことを知ったときのセリフがまた、リアル!
「他人が幸せだったら、なんだって言うの!?」
これ、文字にしてしまうと、まるで浮気されていた妻(壇れい)のセリフのように見えるが、渡部から仲間に対して放たれた、ワナワナ&涙目でキレるセリフである。なぜにオネエ口調!? フツウだと「他人が幸せだったら、なんだって言うんだよ!」となるだろうに、「なんだって言うの!?」って。あまりにリアルすぎて、どうにも台本通りのセリフには思えない。
さらに、浮気について妻(壇れい)に詰問され、なじられたときの逆ギレぶりも見事!
「ンねえ、今夜もこうっ、ンねえ、だっ、仕事を調整したんだぞ!」
いやに「ンねえ」「ンねえ」「だっ」などをはさむ感情的なセリフも、おそらく台本通りではないだろう。
あまりの演技の上手さ・リアルなセリフ運びは、演技であることを忘れてしまうほどで、「そういえば、大変だったものね……」と、うっかり彼自身のプライベートでのゴタゴタにまで思いを馳せてしまいそうな熱演ぶりだ。
一方、渡部篤郎のうますぎる・リアルすぎる演技と対照をなし、素晴らしいのが、仲間由紀恵と壇れいの棒読みである。
壇れいの絵に描いたようなフリフリ&ヒラヒラのぶりっ子キャラは、「記号的」。そして、仲間由紀恵の、静かに微笑みながら淡々と吐く「彼女は体中のどこを切っても幸せの蜜があふれ出しそうな」いう文芸調のセリフは、非日常的かつ幻想的だ。
さらに、仲間由紀恵の時折見せるバイオレンス(マイヤーキック、とネット上では呼ばれている)を見るたび、『ごくせん』での大立ち回りをよくぞここまで刺激的に進化させたなぁと感心してしまう。
「おとぎばなし」感溢れる棒読み女性二人にはさまれる男のみが非常にリアルな、新しい「夜の昼ドラ」。そういえば、壇れいも仲間由紀恵も、肩幅が実に立派であるのに対し、渡部篤郎は痩せまくってる。二人の女性にはさまれてるリアル感が、体型でも発揮されてます。
(田幸和歌子)
「私がしごいてやったからね」(くしゃ顔)
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