ヤリたくてたまらない主婦が、着物で習得した「夫エレクトMAX」の秘技
「性交は男から迫ってくるもの。男は常に女のカラダを狙っている。とにかく自分の身を守れ」という性教育には「結婚相手とする性交だけが、唯一清らかで正しい性交である」という暗示が含まれている。それを信じて生きてきた女たちにとっての「結婚」とは、「性の大解放」の季節である。しかし、鼻息荒くウエディングドレスを脱いだ時、夫の妻に対しての欲情は激減しているのだ。何故? おかしい、こんなハズじゃない……。女はその時初めて知るのである。セックスをさせてもらおうと奮闘する事態が、(女の)自分にも訪れるという現実を――。
「入籍してすぐの頃、今日は絶対にやりたい! とすごくムラムラした日があって」
キレイに結い上げた髪に、シックな色合いの着物がキマっている春香(仮名)さんは30歳の専業主婦。結婚してから着物にハマり、普段出かける時はほとんど和服だという。これほどに華奢で可憐な彼女にも、己の性獣のたけりに苦しむ夜がある。
春香さん(以下、春香)「それまで自分から迫るってしたことなかったんで、どうしていいか分かんなくて、とりあえず服を脱いで、夫の帰宅を待つことにしました」
──えっ? 全裸ですか?
春香「全裸で。ソファに座って待ってました」
──旦那さんの反応は?
春香「超ドン引きしてました。『何してんだよ。服着ろよ』って言われて。喜んでくれると思ったのに」
──旦那さんが全裸でアソコをビンビンにおっ立てて、ソファに座って自分の帰りを待ってるようなもんですよ、びびっちゃいますよ。
春香「そうなんですけど、ここまでしたのにできない、と思うと逆にすごくしたくなっちゃうんですよね。でも、この方法以外思いつかないんで、その後もう一回ダメ押しでソファ全裸待ちをしたんですよ」
2度目の奇襲攻撃も失敗に終わり、やりたい気持ちばかりが募った。そのピリピリした緊迫が夫の股間にも伝わるのか、週2回だったセックスペースが乱れ始め、とうとう一度もせずに1カ月が経ってしまった。途方に暮れる春香さんへ、ビッグなヒントが現れる。
春香「偶然『夜の診察室』(1971年)っていう映画を見たんですよ。セックスがご無沙汰なことに悩む奥さんたちが、心理学の博士に『夫をその気にさせる方法』を習うコメディー映画なんです」
博士が奥さんへあらゆる方法を伝授するが夫はその気にならず失敗続き、という展開の中、唯一成功した方法が「浴衣からネグリジェ、髪の毛おろしの術」だった。
※イメージ図
春香「ひっつめ髪で旅館の浴衣みたいな格好から、黒のネグリジェに着替える作戦なんです。当時は寝巻きとして浴衣を着る文化が残ってたんで。今で言うと、スウェットから、露出の高いベビードールに着替えるみたいな感じ」
──所帯じみた妻から妖艶な女に変身するんですね。
春香「そうです。ポイントは、夫の目の前ではなく、ドアを開けたまま隣の部屋で着替えること。少し開いた扉のスキマから奥さんの後ろ姿が見える。これが重要なんです。そして最後に、髪をパッとほどいて一気に垂らす!」
──はるな愛や明石家さんまが、女がポニーテールをほどく姿に男はドキッとするってしょっちゅう言ってますけど、本当なんですか。
春香「それが本当にすごく色っぽかったんです! 感動して、私も『浴衣からネグリジェ、髪の毛おろしの術』を習得しよう! と思ったんですが、着付けができないので教室に通い出したんです」
──えっ! まさか、着物に目覚めたのはそこから!?
春香「そうです。でも、この術は浴衣を着なければできないわけじゃないんです。外見が変化するっていうギャップを作ればいいだけ」
ギャップを作るには――。当時まだ着物が着れなかった春香さんは、友人の結婚式を利用することにした。友人の結婚式は普段と違う格好ができる打ってつけの日。フォーマルワンピースを脱いで、普段のユニクロルックへ変身する様子を、夫に見せることにした。
春香「夫と帰りの時間をわざと合わせて、同時に帰宅しました。夫が部屋着になって居間でくつろいだのを見計らって、ドアを少し開けた寝室で、夫から見える角度で着替えを始めたんです」
全てさりげなく実行したが、実は綿密に確認した「見える角度」に立ち、照明は寝室のほうが薄暗くなるように間接照明のみを点けていた。ストッキングも、普段履いているパンストタイプとギャップをつけるため、人生初のガーターベルトに挑戦。友人の結婚式という言い訳があるので、とことん大胆になれたという。春香さん、入魂のリベンジ。結果は――。
春香「明らかに見てるんですよ。背中に視線を感じるんです。下着姿になったところで、おもむろに髪をほどいて一気に垂らしました。そしたら夫が寝室に入ってきたんですよ!」
そのまま春香さんをベッドに押し倒し、むしゃぶりつく夫。ユニクロルックになるより先に、夫のエレクトがMAXに達してしまったのである。大成功だった。
春香「『浴衣からネグリジェ』はまだ実現できてないですけど、着物を普段から着るようになったので、ギャップが作りやすくなりましたよ。回数も新婚の時より断然増えてますね」
春香さんが全裸でソファに座ることはもう、なさそうだ。
田房永子(たぶさ・えいこ)
1978年、東京生まれ。漫画家、ライター。01年「マンガF」にて漫画家デビュー。05年 エロ本の漫画業開始。ハプニングバーなどの過激スポットへ潜入したルポ漫画を描きながら、男性の望む「女のエロ」を描き、違和感が蓄積。08年からノンフィクションレポートシリーズ「むだにびっくり」を自主制作・出版。
ブログ「むだにびっくり」
主演は松坂慶子!
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