横浜の街を浄化する守護天使になる
どなたか、厳しい時代をサバイバルする術を教えてくださいませんか? 30代独身女が、気になるあのお仕事を探ります。
社会にあまり貢献できていない気がして無力感に苛まれる日々、街の治安を守る活動をしている日本ガーディアン・エンジェルス【註1】(略称GA)の方と知り合い、つてを頼って、横浜支部のパトロールに参加できることになりました。それもちょうどAPEC初日の横浜という、超厳戒体制の日。オバマ大統領や胡錦涛国家主席、メドベージェフ大統領などの国賓の安全を守るための活動の一端に参加できると思うと、武者震いで全身がわななきます。
そして向かったのは横浜日ノ出町、ここにはGAの事務所があります。19時過ぎに伺うと、赤いベレー帽【註2】姿のメンバーが集合写真を撮っていました。これから危険な場所に赴くので、最後のメモリアルになるかもしれないという覚悟を感じます。
横浜への道中、「この辺は30くらい暴力団の事務所があるからね〜」と、さらっとおっしゃったのは横浜支部長の女性、グレース(コードネーム)さん(52歳)【註3】。「暴力団に脅されたことは何回もありますよ。縄張りを邪魔したとかいって40人に囲まれたり。彼らは自分たちの存在を誇張するためにどんどん脱いで彫り物を見せてくるんです。そんな時はあえて『わあ、キレイですね〜』とか誉めてみて、こちらもその場は一歩も引かない。そうなると、向こうは収拾つかなくなってた(笑)」と、暴力団のメンズストリップを観賞した武勇伝を語るグレースさん。暴力団には「私たちが何かしましたか? 私たちは街をパトロールしているだけですから、口出ししないでくださいよ」と、お互いの存在を認めることで解決。毅然とした態度で対応し、薬物の取引など不法行為がやりにくいようにその場に立ち続けることもあるそうです。GAの活動は体力勝負なので、40キロ行軍などの訓練で体を鍛え、結束力を高めるとか。「楽しかったねぇ。箱根駅伝と同じコースで……」と遠い目で述懐するジンジャーさん。彼女は70代にはとても見えないルックスで、「村に帰ると、同年代から若いって言われる」そうです。GAの活動は美容やダイエットにも効果があるのかもしれません。
駐車場にはいつしかほかのメンバーも集まり、屈伸運動、お互い武器【註4】を所有していないことを示すためのボディチェック、そしてまた写真撮影などを経て、いよいよ出陣です。その直前、男性メンバーのレガシー(コードネーム)さんが、シリアスな表情で「もしパトロール中に何かあったら、離れて第三者のフリをしてください。巻き込まれてしまうので」と忠告してくれました。GA内では、いつもこんなCOOLな生死を賭けた会話が飛び交っているのでしょうか。男気を見せつけられることで、女性ホルモンが活性化しそうです。