「あだ名」から「的確過ぎる毒舌」に! 有吉弘行という才能は来年も続く?
――今年もテレビ番組では多くのスターが生まれたり、事件が起こったり、視聴者を引き付けてくれました。2010年のテレビ業界における隆起現象を、サイゾーウーマンが誇るテレビウォッチャー・太田サトル&田幸和歌子が振り返ります。1回目のテーマは、ズバリ「有吉弘行」です!
田幸和歌子(以下「田」) 2010年は、有吉弘行が新しいポジションに突入したのかな、という印象があるんだけど、どうでしょう?
太田サトル(以下「太」) 『アメトーーク』(テレビ朝日系)で品川祐のことを”おしゃべりクソ野郎”と言った、有吉言うところの「おしゃクソ事変」がいつだっけ……2007年! もう3年も経つみたい。
田 自分のことを一発屋から進化した「二発屋」とか自虐的に言ってたりもするけど、3年経つ今も、テレビに出まくってる。
太 10年のテレビ番組出演本数ランキングでは9位に入ってるしね
田 08、09年あたりは、今のねづっちの”なぞかけ”状態というか、出る番組で一通り「あだ名つけてみてください」と、一人大喜利みたいになっていることが多かったけど、あだ名芸をする人から、一人前の毒舌タレント(笑)に使われ方も変化したような気が。
太 ベッキーへの”元気の押し売り”とか、和田アキ子の”リズム&暴力”とか、名作も多く生まれました。一時期は、ときどき画面からもすごく何かにイラついてるような空気が感じられて、嫌われて消えてもいいとか思ってないかな、と感じられたこともあったんだけどね。
田 今は『有吉AKB共和国』(TBS系)とか、冠番組も持つようになったり、すっかり安定感も漂う。その一方で、いろんな番組で、この有吉の切れ味にゆだねまくってそうな番組が多かった気がするのが2010年の有吉なのかな。
太 いてくれさえすればなんとでも面白くしてくれるということで、使う側がすごく楽というのもあるんだろうけれど、顔ぶれ見ただけで「ブラマヨ頼み」「ザキヤマ頼み」「有吉頼み」だなという番組、多かった。
田 定番番組でも、有吉という劇薬を投入することが新たな刺激になって、延命措置のように見えることもある。
太 なかでも一番「有吉頼み」感を強く感じたのが、『ロンドンハーツ』(テレビ朝日系)かな。
田 「有吉先生の進路相談」ね。有吉の的確すぎる毒舌が最大限に活かされてて、すごく面白かった。熊田曜子に「女はみんな、お前のことをダサいと思ってる」とか、夏川純の「代表作は年齢詐称」とか、次から次へと本当にスゴかった。
太 上原美優にも「噛み付きゃいいってもんじゃない」と言ったりね。みんなが何となく感じているフワッとした思いを、ハッキリと言語化してくれる気持ちよさ。あだ名を付けるだけの段階からさらに進化してて、アウトにならないギリギリのところまでの踏み込みの見極めが、ものすごいところまできている気はするね。
田 興味のない人へのあだ名が単に目についた「帽子」(スザンヌ)だったりとか、やる気ゼロのことがあったり、もともと特にグラビアアイドルには何の興味もないと公言していたのにこれだけ的確な評価ができるのって、ものすごくその人のことを調べてたりするんだろうな、というのはあるかな。脊髄反射的な悪口じゃないし。努力家な気がする。
太 ロンハーのこの企画、年末スペシャルでも目玉企画のひとつになってるけど、それでいいのか、という気もちょっとあるんだけど。
田 ロンブー淳が有吉の暴言とのバランスをとる役になっちゃうというか、「そんなことないんじゃないですか」とか、この企画のときには単にいい人になってることがあるしね。
太 格付けのときとかの、空気をあおる淳の上手さが殺されちゃうしね。
田 「有吉頼み」を使うことで、その瞬間は輝くけど、実は何かの寿命を縮めていることもあるかもね。
太 「禁断のツボ」的な(笑)。
田 それでも面白さを求めたいから、2011年もまだ続きそう、『禁断のツボ・有吉』。
性格悪いは褒め言葉だよ?
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