狩野英孝は新たな通販スター? 不器用な熱演が視聴者を癒す
今回ツッコませていただくのは、『女神のマルシェ』(日本テレビ系、12月3日、10日放送分)で見せた狩野英孝の新たな”通販スター”ぶり。冒頭からアシスタントらしき女性に「今回は、かのうさんと一緒にロケに行ってまいりました~」と”かの”と”かのう”で名前を間違えられても、ムッとした様子もなく、「両親にプレゼントのつもりだったんですけど、自分のも買っちゃうぐらい、ホントにいい商品が見つかりました」と”気のきいたコト言った風”で嬉しそうな狩野の無邪気さにちょっとホロリ。
しかも、布団メーカー・西川産業でのロケで、渾身のギャグ「スタッフ~♪」を披露し、担当者に苦笑されるもイチオシ商品の布団に入り、「あっ、おっ、あったかいっすねー、うちのと全然違う! 何これ!?」と熱演。この流れ自体は、通販番組のお約束のハズなのに、見ている側についつい頬笑みがこぼれてしまうのはなぜだろうか。別に狩野のファンでも何でもないのに、まさに「何これ!?」な感じである。
ただ布団に入ってる画だけで笑える芸人なんて、そうそういないだろう。何がおかしいのか考えてみたのだが、布団への入り方がなにやらおかしい。普通は「布団に入るテイ」で、腕や手を出したり、胸元まで布団をひきあげるなど、テレビ的な見え方を考えるもの。でも、狩野の場合は、おそらくジャケットを着たまま布団に入っているはずなのに、肩までどころか、アゴまでスッポリ入って温まってしまっている。しかも、顔は真剣! あくまで「布団に入るテイ」で良いのに、「本気寝」すぎるのだ。
さらに、「うち、基本、畳なんですよ。布団を押入れに出し入れしなきゃいけないんで、布団のよりも早いんですよ。……うちの実家用じゃん!」、しかし予算から2万円オーバーで「いや~、今更1枚にして父さん母さん一緒に寝てなんて言えないしなぁ」など、一生懸命に気のきいた風なことを言う狩野。
「数量限定の大サービス」によって、「自分の分も余裕で買える」ことになり、得意げなひと言。
「これだったら、いくらスベッた日でもゆっくり眠れそう。すっげえな、やっぱコレ」
こんなにも”ドヤ顔”が間の抜けた人って、なかなかいないんじゃないだろうか。しかも、両親へのプレゼントのために実家へ赴き、畳の上にギュウギュウに布団と枕を置いて両親を寝かせたは良いが、お父さんも英孝と同じく「アゴまでスッポリ」! それを、肩ひじを脇の箱にのせ、立膝で見ている英孝という画も、底抜けに間が抜けていて、計算外の面白さがあった。
通販番組というと、主婦タレントなどが「え~っ!? そんなにお安いの!?」などと大仰なリアクションで紹介するのが定番であり、器用な人の大仰な誉め言葉には、あざとさを感じたり、鼻白むことも少なくないもの。でも、この「できない子」の一生懸命な感じ、不器用さには、視聴者が癒やされてしまい、不器用なだけに誉め言葉にも真実があるように見えてしまう気がする。高いプレゼン力よりも、癒して笑わせる不器用タレントの”真実っぽい商品紹介”に、今後の通販番組の可能性を見た気がしました。
(田幸和歌子)
ごめん、「かのう」だと思ってた
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