カルチャー
[女性誌速攻レビュー]「日経ウーマン」2011年1月号

ニート以外は受賞可能! 「日経ウーマン」のベスト・ビジネスウーマン像

2010/12/12 17:00
「日経ウーマン」1月号(日経BP社)

 今月号は、付録に「テンミニッツ(R)」(カンミ堂)というスケジュール管理グッズが付いてます。チャラチャラしたブランドコラボ手帳とかじゃないあたり、これぞ硬派雑誌のカガミっす! ちなみにこちらの商品、内蔵の付箋を使ってスケジュールやTo Doを管理できるシート状の物で、実際にこれだけ買うと630円也。600円の雑誌の付録としては、コスパはかなりいいと思います。まあ、面倒臭がり屋の私には「こりゃ続かん」と、ちとハードルの高い代物ではありましたが、モチベーションの高い女子は使ってみては? では、今月も中身をチェック!

<トピック>
◎女を磨く読書案内
◎一生得する投資術
◎ウーマン・オブ・ザ・イヤー2011
◎一生得する投資術

■獄中で読むべき1冊

 大特集「女を磨く読書案内」では、読者アンケートや街頭インタビュー、有名人のオススメ本などあの手この手を使って、とにかくすごい量の本を紹介。逆に多すぎて、お気に入りの一冊を見つける以前に正直もう何が何だか、という感じです。もう少し「これ!」っていう数冊に深く突っ込んで欲しかったかも……。

 特筆すべきは、昨年に郵便不正事件で逮捕・起訴され、今年9月に無罪が確定した元厚生労働省局長・村木厚子氏のインタビュー。5カ月間に及ぶ拘留中に読んだ148冊のリストと、読んだ日付を大公開されています。無実の罪で拘留された村木さんは、この大量の本たちに支えられたのですね……(涙)。その中に『花さき山』(岩崎書店)が! 人格を形成する時期に読む本は、人生最悪の時も支えになってくれるんだと確信しました。

■「日経ウーマン」は本当に頑張ってる人を讃える!

 12回目を迎える「ウーマン・オブ・ザ・イヤー2011」では、今年輝いていたビジネスウーマンを発表! ちなみに選考は各ジャンルから情報を掻き集めて編集部で行っているようです。そして栄えある1位は、株式会社東芝にお勤めの福島さん! わー! パチパチパチー。いや、「誰それ?」じゃなくて、3Dテレビを製品化したマジですごい人なんだって。記事では福島さんだけでカラー4ページを割き、勤務中のショット(作業着が萌え)はもちろん、家族の写真や過去の歩みなどを披露していらっしゃいますよ。ちなみに2位はショッピングサイト「ZOZOTOWN」の取締役・大石さん。3位は日本銀行支店長の清水さんです。

 この調子で受賞者のインタビューが数十ページに渡りひたすら続くわけですが、改めて「日経ウーマン」とはビジネス書なのだと痛感しました。ニートでなければ皆さんにも受賞にチャンスがあるわけですから、来年は狙いに行きましょう! 来年の1位はあなたかもよ!? ところで栄誉以外に何かもらえるの?

■年末年始だって、金を貯めろ~!

 「ウーマン・オブ・ザ・イヤー2011」が発表されて、お祝いモードかと思いきや、基本それ以外のページはいつもと同じ温度というのが、日経ウーマンの魅力でもあります。確かに、女性は役職が上に行くほどに、感情を表に出さなくなりますし、キャリア女性は安易に喜ばないというのはテッパン?

 そして、いつものごとく「金を増やせ」の大合唱が聞こえてきます。「一生得する投資術」という、架空の投資話を持ちかけられているのかと不安になるタイトルですが、真面目な企画ですので、ご安心を。ケーススタディーに登場した28歳メーカー勤務の女性は、総資産1,100万円。日経ウーマンでは珍しくもない額ですが、手取り17万円で、毎月8万円は貯金しているっていうからすごい。実家暮らしゆえのワザなんですが、それでも1,100万円も貯めたなら、実家に入れている金額(2万円)をもうちょっと渡しても罰が当たらないと思うのですが……。

 そんな彼女はベトナム旅行に行って気分が盛り上がり、現地の証券会社で株を購入。「大好きな国なので、成長を見守りたくて。20年後に殖えていればうれしい」ということなのですが、自国の景気がドン底で、消費が鈍いんだから、1,100万円も持っている人が使わないと! ベトナム助ける前に、われらが日本を助けて~と思わずにいられない企画でした。そして、年末年始のヒマな時に、投資で金を増やせと啓蒙している日経ウーマンが一番怖いとも感じました。

 今月は何と言っても、「ウーマン・オブ・ザ・イヤー」が華を添えた号でしたが、歴代受賞者のページを見るごとに、複雑な気持ちに。初回は松永真理(iモードのプロデューサー)、2回目が松岡佑子(『ハリー・ポッター』の翻訳)と華やかだったものの、だんだんと地味なメンツに。もちろん地味な仕事にこそ、光を当てるということは大切なのですが……。話題性になるような人を選ばなくても賞そのものにハクがついたのか、華やか仕事に女性が携われていないのか……キャリア女性の現状を映す「ウーマン・オブ・ザ・イヤー」だけに、その意味を深読みしてしまいました。来年発売の2月号は「働き女子700人の開運生活、大公開!」ですって。2011年も続く人数攻撃、いまからゲンナリです。
(林タモツ)

『日経 WOMAN (ウーマン) 2011年 01月号』

サイ女も「ダメ女・オブ・ザ・イヤー」とかやろうかな


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最終更新:2010/12/12 17:00
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