カルチャー
[女性誌速攻レビュー]「VERY12月号」

クリスマスからトイレ掃除まで! ブランド大好きな「VERY」読者の実態

2010/11/09 16:30
「VERY」 2010年12月号/光文社

 今月号の「VERY」は全力でクリスマスに向かっています。7日発売の「VERY」なら、来月号でも間に合うだろうに……と思っている輩は、「VERY」のことを何も分かっちゃいねえ! 「VERY」にとってのクリスマスは、夫から女として愛されているという事実と家庭の経済力を世に知らしめる、「幸せリトマス紙」なんです! 自由な時間とそれを保てるだけの経済力がある家庭だからこそ、手間暇かけたクリスマスを迎えることができるんです。というわけで、今月号は大特集「覚えるが勝ち! ハンサムマザーのための配色ルール」をまったく無視してレビューしますので、興味のある人は本屋へ行ってね!

<トピック>
◎『超絶』フルオーダーケーキ
◎困ったときは、このショップ、このブランドA to Z
◎オシャレリーダーたちのアガる ハウスキーピング小物

■年に一度の幸せ確認の日

 今月号は海外ブランドもクリスマスを狙って、宝飾の広告を出稿しております。ティファニー、ブルガリ、シャネル、TASAKI、ショーメ、フォリフォリ、カルティエなど名だたるブランドが勝負をかけていて、「クリスマスにはパートナーに高価なモノを買ってもらえる」という、バブルの幻想がまだまだ女性誌カルチャーでは生きていると実感。特に「VERY」の場合、クリスマスは最愛の家族とともに過ごせる(=女として勝ち)し、さらに高価なモノを送ってもらえる(=経済上の勝ち)という二重の幸せを確認できる装置となっております。

 ママ友とのクリスマスパーティーにも気を抜けません。普段はシワ・シミなどを隠すためのベースメークばかりのビューティーページも、「”すっぴん風”から”ホームパーティー顔”へ、スライドメークLESSON」とよそ行き風に。もちろん、室内外のコーディネートも完璧を目指さなくてはいけないので「こだわりXmasツリー見せてください!」では、数年かけて見つけたオーナメントやグッチのオーナメント、ハワイアンオーナメントなど、年にせいぜい10日間ほどしか出さないツリーにも財力と、それによって磨かれたセンスを示す発表会のようになっています。

 今月は別冊付録として「VERYモデルの幸せなクリスマス料理BOOK」があるのに、本誌でも「『超絶』フルオーダーケーキ」という企画もあります。いやはや大変だ。出てくるレシピも「魚のパピヨット」「鶏のフリカッセ」など名前だけでは得体のしれないもので、普通に鶏のもも肉なんで出てきません。さらにフルオーダーケーキのほうは、1万円以内で頼んだものを紹介するとドヤ顔気味のリードがあり、ケーキに1万円は「VERY」的にはお手頃のようです。筆者のように4,000円のクリスマスケーキも買い渋っているような人は、悲しくなるので見ない方がいいですよ。

■洋服恐怖症の初期症状です

 クリスマスをはじめ、年末にかけて「VERY」読者は大忙し! 洋服のコーディネートに時間をかけている場合じゃないということで、「困ったときは、このショップ、このブランドA to Z」という企画が登場。「VERY」がお得意のシチュエーション別の洋服&ブランドを紹介しているのですが、そのシチュエーションがまた独特。

 「学校行事服に困ったら」「お出かけ一張羅に困ったら」などはまだまだ許容範囲なのですが、「トレンドランチ服に困ったら」「一発イベントアクセサリーに困ったら」「公園カジュアルに困ったら」「一泊旅行に困ったら」しまいにゃ、「送り迎えに困ったら」って、もう困り過ぎでしょ。そのうち「便所掃除に困ったら」「不倫した夫をしばくときに困ったら」とか出てきそうで怖い。常に周囲の目と、場違いなコーデだったらどうしようという恐怖心に駆られている「VERY」読者にエールを送りたい、「自意識過剰にもほどがあるぞ♪」。

貧乏人の夢を叶えてくれる雑誌です

 「便所掃除に困ったら」などと書いたせいでしょうか、本当にありましたよ「オシャレリーダーたちのアガる ハウスキーピング小物」。さすがに洋服のコーディネートではありませんが、エプロンやらオシャレ小物やら並んでます。筆者の勉強不足なのかもしれませんが、ゴム手袋にまでブランドがあるとは知りませんでした。ほかにもバケツなどのお掃除6点セット(ドイツ製)、トイレブラシ(ドイツ製)、洗剤(イタリア製)など、「VERY読者って、家の中すべてがブランドじゃなきゃ気がすまなそうだよね~」という卑しい貧乏人の嘲笑を、現実のものにしてくれているからすごい! もはやマンガの域だけど、「オシャレリーダー」たちは一点の曇りもなく心からの笑顔で登場しているからやっぱすごい! 4人のうち2人が名字がカタカナというところも、欧米への憧れという開国以来の精神を引きずっているようで、それまたすごい! すごいよ、「VERY」!

 クリスマス直前号など広告出稿が多い号というのは、得てして編集記事に”アイデア絞り出しました”感がなく、つまらないモノが多いのですが、今月の「VERY」は”我ここにあり”を出す秀逸な一冊となりました。大きく面白いものはないのですが、一つ一つの企画が読者に夢を与えるという、媒体カラーが確立されていないと難しい技を簡単にこなしています。そして、来月号の予告を目にして、心躍りました。別冊付録「旦那たちの本当の気持ち、知ってる? イケダンの真実!」です。普段、妻のアクセサリー的な扱いを受けているイケダンたちの反逆となるのでしょうか。1カ月が長~く感じそうです!
(小島かほり)

「VERY」

「便所掃除に困ったら」って、小林製薬あたりが出しそうなネーミングだよね


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最終更新:2010/11/09 16:30
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