競合誌創刊で濃くなった、”若い自分”と男に夢中な「STORY」の世界
どんぴしゃなタイミングで社長が『カンブリア宮殿』(テレビ東京系)に出演するなど、盤石とも思えるバックアップで創刊された「GLOW」(宝島社)をはじめ、紙媒体の最終ターゲットであるアラフォー女性への囲い込み運動が加速している昨今。「STORY」も受けて立たんとばかりに、今月号は漆黒の表紙に金の文字。ソッチ系の人の自家用車(運転手付)を想像させます。シュッと組んだ脚で不敵な笑みを浮かべるトミーこと富岡佳子もいつになく極妻風。推定15cmはあろうかという黒のピンヒールで、「ゆるさ」「自然体」といった輩をグリグリと踏みつけるのでしょうか。奇しくも創刊8周年記念の今月号、何かが起きそうな予感がするので、皆様「覚悟しいや!」
<トピックス>
◎大特集 私が描く「未来予想図」
◎私の「100万円でエア買い」妄想SHOW!
◎私たち、別れないでよかったね!
■男友だちの屍越えて美しく
特集前に、最も「STORY」らしいページがあるのでご紹介します。”「男友だち」が40代を磨く!”であります。先月号では刺激し合える女子会が己を輝かせると言い放っておりましたが、今月は「”一線を越えない仲”が、単なる友情を超える理由でした」と男友だち礼賛へ。これはまさに「STORY」お得意の、”ヤらずぼったくりで輝いちゃう”商法です。「単なる遊び友達ではありません。異性としてはもちろん、人として魅力的で、尊敬できて、なおかつ”一線を越えない関係”だからこそ、二人の間に通じ合うものが」と、お約束のエクスキューズ。
中身は前田典子、安蘭けい、早見優、中井美穂、木村多江という女性陣が、プラトニック(死語)な男友だちとありえないシチュエーションで語らっています。クラブでブラザーコーンと遊び人談議、BARで別所哲也とクリエイティブ談議……はまだいいとしても、ホテルの一室でケイン・コスギとトランプしながら帰国子女談議してる「夏色のナンシー」(早見優)!! 「やだ、今日はトランプだけって言ったじゃない? キミって弟みたいな存在だから……」と、ホテルにまで来てトランプで帰された日には、さすがのケインも「パーフェクト」とは言えないはずです。
またスタジオの片隅で、先輩後輩トークを繰り広げる柳葉敏郎と木村多江も必見。「多江ちゃんは妹みたいな存在。(中略)お前はお前の道を行け。でも、ときどき新鮮なものを見せてくれっていう思いだな」とギバちゃんが一世風靡らしい男気をかましているのに、「最近、私、演技するときの顔、微妙にギバさんに似てきた気がするんです」と素っ頓狂なことを言い出す木村多江。今後、木村多江の眉間&デコのシワは要チェックですね。それにしても男性参加者6人中、2人は山本高広で代行可能とは……所詮、男友だちは自分を輝かせる小道具ですから。皮肉なものです。
■自分に”ア・イ・シ・テ・ル”のサイン
インテリア特集や着痩せ特集を経て、今月号の特集は”私が描く「未来予想図」”です。この手の抽象的な企画テーマは掬えるところが多い分、最終的に何が言いたいのかよく分からないまま終わるということも多いのですが、そこは大風呂敷広げさせたら敵なし(誉め言葉)の「STORY」。扉に元JJモデルの榊ゆりこの妊婦ヌードで先手必勝、そして何かと話題の冨田リカのインタビューへと続きます。
「人生の主導権はあくまで自分であり、自分が幸せになることが人生の課題」と全身ヒョウ柄で語るリカさん。迫力あり過ぎです。そんな人生の結果、「ほかにはないオリジナリティのある存在になって女友達と温泉に行った時に肥やしとなる思い出話をいくつ持っているかが今の楽しみなの」ですって。波乱な人生の収支が茶飲み友達とのネタに落ち着くとは……。ひとっ風呂浴びながら「アイツさぁ、結局全然使いモノになんなくてさぁ」みたいに言われてしまうのでしょうか。
また「STORY」には珍しくアンケートページもあります。”私たちのイメージする「未来予想図発表」”では40代女性に聞いた10年後のイメージが綴られています。「社会貢献」や「周りの人を幸せにする」という奉仕型、「外見も心も今より美しく進化している。モテている!」という夢想型、「仕事をクラスアップして、エルメスのバッグを自分のお金で買っている」という物欲型、妄想をいかんなく発揮した未来予想図の中にはこんな声も。
「以前よりも、今の方がきれい、素敵だと言ってもらえるよう年齢を言い訳にせず、努力し続けたい」
ミニスカートがはきたいとか、年下の男の子にモテたいとか、とにかくいつまでもキレイと言われたいと願う「STORY」読者たち。そのために物理的なケアはもちろん、”年甲斐もない”という観念と戦い続ける精神鍛錬も日々重ねているのです。がんばることがカッコ悪いとされる現代において、こんなにまで真摯に努力を重ねる人たちはいません。そのモチベーションが自分可愛さでもいいじゃないですか! どうして私がこんなにアツくなってるのかはさておき、とにかくこんな泥臭さこそが「STORY」たる所以だと思えてなりません。
■甘糟という爆弾もありました
興が乗って参りましたので、今月はもうワンコーナーお付き合い下さい。”私の「100万円でエア買い」妄想SHOW!”というタイトルに呼ばれている気がしまして。100万円あったら何を買うか? というよくある企画ですが、それを「エア買いした憧れアイテムを身に纏って、思わず妄想ファッションSHOW」にまで持ってくる編集センスに脱帽。もう、「SHOW」の後に「‐YA」をつけたいくらい。あと、この企画にエントリーした甘糟りり子センセイとスタイリストの松島三季さんの対談が、これでもかとばかりに名言揃いです。贅沢な買い物をするということに関して、
「私がルブタンの靴を欲しいのはこの芸術品に共鳴したいから」(甘糟)
「そう、”職人さんブラボー”って感じ」(松島)
「気軽なチャリティーを批判する声もあるけれど、それで助かる人がいるなら私はどんどんやるべきだと思う」(甘糟)
「そういうことを贅沢と感じられるのが40代のゆとりってことなのかもしれませんね」(松島)
ルブタンからチャリティーまでを”贅沢な買い物”でくくることが出来る、もはやこういう思考回路しか地球は救えない。がんばれ、40代!
ライバル誌の出現により、今月号は私が勝手に代理戦争してしまいました。でも贔屓の引き倒しではありませんよ。タレントでも広告でも、一度足を踏み入れたら全て「STORY」色に染め上げてしまう蟻地獄のようなパワーは、8年という歳月をかけて地道に築き上げられたものであるのだと再確認するにふさわしい内容でした。「GLOW」が掲げる”内面からツヤっと輝く”のではなく、外側からギラっと輝く「STORY」を追い続けます!
(西澤千央)
異性の目を気にしているうちは極妻になれないよ
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