アダルトビデオを借りるとき、女性店員だと恥ずかしいのでどうにかしてください!
気になって仕方がない素朴なギモンを直接企業に聞いてみよう、という本連載。
「こんなに良いタイミングで社会が変わることがあるのか!」と小さな声で叫んだ出来事を今回は書こうと思う。しかし、社会の変化といっても、底辺の「社会」であり、ズバリ言うと「アダルトビデオの社会」であることが大きな声で叫べない理由である。
インターネットで様々なポルノグラフィーが観られる時代だからこそ、レンタルショップでアダルトDVDを借りることの特権性を重要視すべきだと思う。その理由は「選択の一回性」にあるような気がする。つまり、レンタルショップでのDVDとの出会いが一期一会であり、無限に選べたはずの可能性を忘却して「今夜はこのDVDと共に心中しよう!」と、スケベ心を聖なる有限性として受け入れる。そんな「一回性」はネットの1クリックでは味わえず、巨大な棚の前で30分間もパッケージとにらめっこするという行為の中でしか産まれ得ないはずなのだ。
と、格好つけたはいいが、そのDVDとの出会いの後に現実が待っている。
「女性店員さんにレジしてもらうのが恥ずかしい」
いくら「DVDとの邂逅」を理詰めで妄想したとて、人から見られる姿はエロ男子のそれでしかない。少なくとも「選択の一回性」に共感しうるかもしれない男性店員さんにレジしてもらいたいではないか! そこで大手レンタルショップの「GEO総務部」に直接、聞いてみた。
「アダルトビデオを借りる時、女性店員さんだと恥ずかしいんですけど、どうにかなりませんか?」
担当者(女) はぁ、そうですね。ご意見として頂戴することはできるんですけど、必ず男性店員に代わるということは、していません。
カウンターパンチを食らった感覚だった。担当者が女性だったのだ……。女性にこの気持ちが分かるわけがないではないか。気持ちは半分折れているが、質問を続けるしかない……。
――例えば、レジに男性従業員を必ず1人置いておくことはできませんか?
担当者(女) 店舗を複数取りまとめて見ている者がいますので、その者に「こういったご意見を頂戴した」っていうことを申し伝えることは、できるんですけども……。
気持ちは半分以上、3/4も折れている……。もし担当者が男性だったら共感してもらえたかもしれないのに……。しかし、まだ頑張れる。
――深夜の時間帯に行ったら、男性従業員が多い可能性は高いですか?
担当者(女) そうですね、お店によって異なるかと思いますが。
――自分が男性店員さんのレジで並んでいて、女性店員さんのレジから「どうぞ」と言われても断って大丈夫ですか?
担当者(女) ええ、それはもちろん。
気持ちはすでに9/10折れている……。もう限界だが、担当者が女性なので、最後に踏ん張ってみた。
――男性客がアダルトビデオを借りることに対して、女性店員さんは気にしていないものですか?
担当者(女) あ、全く。レンタルの処理をするだけなので……。
完敗である。こんなこと直接聞くべきではなかったのだ……。そう打ちのめされて、慰めに近所のTSUTAYAに寄ってみた。この店だって、女性店員さんにポルノグラフィーを差し出す可能性が高いのだ……。
とその時、私に閃光が!! なんとアダルトコーナー専用のレジがカーテンの奥に新設されており、そこにはもちろん男性店員さんしかいない男性パラダイスになっていたのだ。これが冒頭の「こんなに良いタイミングで社会が変わることがあるのか!」事件の顛末である。そんな偶然性に導かれるまま、私はいつものように巨大な棚を向き合うのであった……。
引き続き、皆さんのフレッシュなギモンを募集中です。ディープでインパクトのある、くだらないギモンをお待ちしています。
(酒平民 林賢一)
女だって買うのタイヘンなんだから!
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