やるき茶屋は、なぜ何回も「ハイ!! よろこんで!!」と叫ぶのですか?
気になって仕方がない素朴なギモンを直接企業に聞いてみよう、という本連載。
仕事帰りに夕食がてら軽くお酒を楽しめる、そんな「居酒屋という文化」は日本の偉大な遺産だと思う。問題なのは、”どの居酒屋に入るべきか”という悩みである。安さ重視でいくか、味重視でいくか、店の雰囲気重視でいくか、いろんなパターンが考えられるが、すべてのバランスが良い居酒屋は混んでいる……。
そんな時、目に飛び込んでくるのが「やるき茶屋」の看板である。混じりっけなしの「やるき」がありそうじゃないか。間違っても「やるき」がない店ではなかろう。「やるき」なら、こっちだって負けてはいない。そんな気持ちで入店すると、響いてくる声がある。
「ハイ!! よろこんで!!」
すごい声量なのだ、これが。着席しても、「ハイ!! よろこんで!!」。注文しても「ハイ!! よろこんで!!」。おかわりを頼んでも「ハイ!! よろこんで!!」。「やるき」があることは分かったよ。ありすぎる。客としても悪い気はしないのだが、どんな対応でも「よろこんで!!」とは芸がないじゃないか。そもそも、どんな意味で使っているのか? うーん、気になる。そこで「やるき茶屋 広報部」に直接、聞いてみた。
「やるき茶屋の店員さんは、なぜあんな大きな声で『ハイ!! よろこんで!!』と叫ぶんですか?」
担当者(男) はい、ちょっと長いお話になりますが、よろしいでしょうか?
――はい、是非お願いします。
担当者 その言葉の誕生は「やるき茶屋」1号店の開店の時でした。我がグループ「庄や」の店舗数が増え、新しい業態を開発していました。その新業態が「やるき茶屋」で、かつて峠の茶屋で旅人がほっと息ついた時のような、そんなくつろいだ気持ちになっていただける店を目指していました。
確かに話が長くなりそうだ。
――それは知りませんでした……それで?
担当者 開店に向けたミーティングで社長から「お客様に、やるき茶屋ならではのお声がけをしよう。いい言葉はないか?」という発案が出ました。そして、社長の実弟である営業本部長を指差して「何か考えろ!!」と大勢の前ですごいプレッシャーをかけたのです。追い込まれた本部長は、頭の中が真っ白になり、その瞬間に思わず出てきた言葉が「ハイ!! よろこんで!!」だったのです。
デティールが細かすぎる……。ありがたいことなんだが。
担当者 すると社長が「お! それはいい言葉だな。でも、どういう意味だ?」と尋ね、次に出てきたのは、「苦しいときにも、よろこんで! 辛いときにも、よろこんで! くやしいときにも、よろこんで! 悲しいときにも、よろこんで!」というフレーズでした。
――そういう意味だったんですね。
担当者 はい。従業員全員が「ハイ!! よろこんで!!」と応える接客は、おかげさまでお客様に好評で、「やるき茶屋」だけでなく「庄や」「日本海庄や」など、庄やグループ各店で使われるようになったんです。
というわけで完璧に謎が解けてしまった。社長の「何か考えろ!!」という追い込みもすごいが、弟さんの即答もすごい。その一瞬の出来事が、あの言葉を産んだとは……。しかも、そのエピソードを詳細に知っている広報部……。社内では伝説の1コマとなっているに違いない。ただし広報部が「ハイ!! よろこんで!!」と言ってくれなかったには少しがっかりである。
引き続き、皆さんのフレッシュなギモンを募集中です。ディープでインパクトのある、くだらないギモンをお待ちしています。
(酒平民 林賢一)
連呼してるとハイになって気持ちいいんでしょうな
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