整形告白番組に、美容外科とのタイアップ……韓国芸能を作り上げる国民性
――本書で触れられている、韓国芸能界とマスコミの関係も興味深く拝見しました。「とある熱愛報道が出ると、別の媒体にリークを流し、スキャンダル記事を書いた媒体を名誉毀損などで訴える」との記述には驚きを隠せませんでした。
菅野 本にあるようにマスコミと言っても、紙媒体に加え、ネット媒体も増え、事務所側としては選択肢が広まり、スキャンダルが出るといったん否定して時間を稼ぎ、他の媒体に別の情報をリークしたりするそうです。
――紙媒体が弱り、ポータルサイトやネチズン捜査隊の力が増しているという韓国芸能マスコミの現状は、日本の芸能マスコミの未来図に近いと思うのですが、菅野さんから見て、日本も韓国のようになっていくと思われますか?
菅野 うーーん、韓国芸能マスコミの現状は、他人と比較して自分の立ち位置を確認しようとするという韓国の文化、それに韓国の人たちがひとつのものやコトに一斉に集中する傾向が強いことが土壌なっているように思います。それに、韓国の人はいい意味でも悪い意味でもお節介ですから(笑)。日本の場合は、韓国のようにひとつのことに皆が一斉に動くということはあまりありませんよね。韓国のようにはならないのではないでしょうか。
――韓国の人の”ネット捜査力”は、凄まじいものがありますね。
菅野 そうなんです。本当に怖いですよ(笑)。例えばある芸能人の名前と整形というキーワードで検索すると、幼い頃から今現在の写真が一斉にでてきて、まさしくひとつの変遷史が出来上がります。
芸能人でなくとも一般の人でも同じことで、何かでやり玉に上がった人がネットで実名から通っている大学、父親の職業に至るまで詳細な個人情報を暴露されてしまう、なんていうケースは何度もありました。
――整形告白番組の台頭や、美容外科とのタイアップなども日本ではなかなか考えられないことです。
菅野 美容整形告白番組は最近、趨勢になってきたのですが、芸能記者曰く、「韓国人はうそをつかれるのが許せない」そうで、整形したことを隠すよりは潔く告白したほうが好感度が上がるため、整形告白が続いているようです。そのあたりは、芸能人サイドも戦略的なんです。
告白しても、「あんなに自然に美しくなれるなんて……」と一般の人がどの病院で施術したかをそれこそネットで調べるようにもなり、タイアップも出てきたということです。韓国では、目を二重にするくらいは美容整形のうちに入らないという認識で、そういった日本との意識の差は大きいと思います。
――「女優は演技力が重視されるべきだが、まずは容姿が認められないとその実力を発揮することはできない」という記述が特に印象的で、日本では美しければ演技力はあまり重視されない風潮があるような気がします。そういった事情もあるんでしょうか。
菅野 韓国の人たちは、演技力については本当にうるさくて(笑)、ドラマを見ている人たちであれば皆、一家言あるといっても過言ではありません。昔はいわゆる「演技はだめだけど……」いう枕詞がつく美人女優もいたらしいのですが、最近では、演技力がなければ人気は遅かれ早かれ下降の一途です。
1週間に放映されるドラマは、ミニシリーズといわれるもので放映局3社で2本ずつ(月火ドラマ、水木ドラマ)、週末にも各放送局で1~2本放映し、ケーブルテレビでも制作を行っており、韓国はドラマで溢れています。これだけでも韓国の人たちのドラマ好きを実感しますが、それぞれのドラマを見ながら出演者を品評して、さらにはドラマのHPに演技やストーリーについてあれこれ書き込んでいくんですね。韓国のドラマ制作は日本と違い、視聴者の反応を見ながら制作するドラマが優勢なんです。HPの書き込みを見ながらストーリーが代えられていくんです。ある芸能記者は、「大衆がスターを育てている」と言っていましたが、そういう側面も無きにしもあらずです。
――韓国芸能人は容姿、パフォーマンス、才能とすべてパーフェクトなものを求められているんですね。
菅野 そうですね。さらに、家柄や学歴なども求められる傾向にあって、スターとなってから大学や大学院に通う姿も珍しくありません。家柄は変えられないものなので、それを要求するのはどうかと思いますが、これは韓国人の格差意識に起因しているのかもしれませんね。ヨン様も大学に進学したのはスターとして注目された後でした。
――最後に、今年もあと約3カ月ほどですが、注目している韓国の芸能ニュースを教えてください。
菅野 本にもありましたが、ヨン様の結婚! です。浮いた話ひとつすらないですが、家族(ファン)との約束を果たして守れるのか、興味津々です。
人気絶頂で分裂し、世界中の話題をさらった「東方神起」分裂の真相から、BIGBANG、少女時代、KARAなどK-POPアーティストたちはいかにして鍛え上げられたのか? ヨン様、ビョン様たちの結婚事情、はたまた、スターの美容整形カミングアウト時代の到来、そして芸能記者たちはいかにしてスクープをものにするのか……。韓国では「張り込み3大王」のひとりとして名を馳せる、20万部発行のタブロイド紙の敏腕記者と、ソウル在住日本人ジャーナリストが、韓国芸能界の「真実」に迫った。
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