おしゃP勢力拡大で揺れるモデルの立ち位置……「JJ」は絶賛おしゃP祭り
衝撃の「おしゃP」登場から5カ月、今号もおしゃPで大特集をしている「JJ」。表紙は梨花で、特大で「NEW! 梨花STYLE」と打っているだけに、おしゃP押しは感じられませんが実際は? トピックスからチェケラ!
<トピックス>
◎あなたもおしゃPになれる!
◎続・私がおしゃPになるまで。
◎超新星に超密着
■中間管理職的ポジションに立つモデルの立ち位置
改めて「おしゃP」を説明しますと、「日本『カワイイ』を世の中に発信し続けるガールズクリエーター集団、おしゃれプロデューサー」のこと。今号もその「おしゃP」押しで104ページの大特集! そのボリュームたるや、カバーと巻頭で登場している梨花とその後のひなのという女性誌鉄板ツートップモデルの存在を打ち消すほど。せっかく梨花がヘアカラーして気分変わったとか甘辛ミックスが好きと語ったり、ひなのが私物のクリスチャン・ルブタンコレクションを披露し、小型船舶操縦士1級免許を取得した(!)という話をしていても、おしゃP104ページの前には蜃気楼のように霞んで見えます。
その104ページの内訳は、「私がおしゃPになるまで。」「おしゃPセレクト!神アウター40」「バッグの中身もおしゃP100%」「おしゃPヘア、人気者を探せっ!」「おしゃPの美肌コスメ、運命の1本は?」などなど、「おしゃP」を冠にファッションからヘアメイク、ライフスタイルまでを網羅した企画となっています。おしゃPさえいれば成り立つ企画ばかりのため、モデルの出番はタイアップページや連載に登場するのみ。通常ならモデルの名前を使って企画される「フェミニン●●子VSガーリー●●子の秋のワードローブ」的ものも、ここでは「時代は今、この3大テイストです! 由佳シンプル、三佳ガーリー、恵奈モード」と、おしゃP3人の名前を冠に、彼女たちのスタイリングをモデルが着こなす作りとなっています。
最早、この世界では「おしゃP>>モデル」のヒエラルキーが完成しているようで、そうなると読者は自然とおしゃPに憧れ、ただのマネキンとなったモデルは漂流……。「あなたもおしゃPになれる!」という企画からも、編集部がモデルよりおしゃPに視線が集まることを認めていると分かります。多くの女性誌がモデルやタレントや読者モデルで誌面を成立させている中、おしゃPというチームで魅せている「JJ」は素直にすごいとしか言いようがありません。でも、やっぱりおしゃPって言葉はダサいと思うんですよね……。
■おしゃPに憧れつつも、就職先は大手企業
おしゃPって、イケてるっしょ! と、104ページに渡り読者の憧れを募らせておきながら、後半ではどっしりと現実的な企画が登場しています。「入りたい企業ランキンングで人気急上昇の4社に聞き込み調査 ぐいぐい来てる会社に就活!」&「日本生命保険ニッセイOLのリアル」。「OLになるなら大企業でないと」と、身も蓋もないほど直球な言葉も並び、なんだか”おしゃP or 大企業OL”の構図が浮かんできます。
登場する企業は明治製菓、H.I.S、日本生命保険相互会社、スクウェア・エニックスの4社。人事部にコメントをもらい、資本金、売上高、従業員数、男女比会社データを入れながら、おふざけ抜きのガチンコな誌面。入社したOLさんの全身写真もガチンコで、前半のおしゃPがいかに現実世界では幻の存在なのかが分かるいい対比となっています。
なかでも、「JJ」ではニッセイがアツいようで、女性社員13人がニッセイの素晴らしさについて語られており、何かのパブ? 提灯原稿? と疑いたくなりますが、残念ながら何の仕込みもなく、こちらもガチンコの模様です。おしゃPに憧れつつも、ニッセイOLを目指す「JJ」読者。二重構造に胸が痛くなった次第です。
その他にも、紗栄子がサラッとモデルとして登場していたり、しげるちゃんというオネエタレントの連載など面白いページもあるのですが、なんせおしゃPの厚いディフェンス陣の前にはどんな攻撃も通用しないよう。攻撃が最大の防御と言いますから、おしゃPは激しい攻撃にはどんなメンツも適わないのでしょう。どこまで攻撃を続けるのか、行く末が楽しみです。
(二宮まい)
ニッセイOLの私服に安心しました。
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