サイゾーウーマンカルチャー女性誌レビュー「私の大嫌いな”モテ”という言葉」……連載で山田詠美が「GINGER」のモテ解禁に反発!? カルチャー [女性誌速攻レビュー]「GINGER」9月号 「私の大嫌いな”モテ”という言葉」……連載で山田詠美が「GINGER」のモテ解禁に反発!? 2010/08/23 17:00 女性誌速攻レビューGINGER 『GINGER』(幻冬舎)2010年10月号 梨花が表紙の「GINGER」(幻冬舎)10月号。8、9月号で突如、それまで「男に媚びるなんてカッコ悪い」と敬遠していた「モテ」を全面的に打ち出し、我々の度肝を抜いた同誌ですが、今月号では予想を裏切る事態が。なんと、一切の「モテ」の文字が消滅しているのです。先月号の次号予告ページにも、「大人モテな秋髪図鑑」をはじめ「モテ」企画が意気揚々と告知されていたはずなのに、まぼろし……? もしや、ルイ・ヴィトンやディオールといったクライアントから「モテは安っぽい」と野次が入ったのでしょうか? 想像は広がるばかりですが、とにかく中身を見てみましょう。 <トピック> ◎山田詠美連載エッセイ 4 Unique Girls ◎「大人の秋服」完全ガイド ◎OLたちのリアルブーム白書 ■「GINGER」vs 山田詠美のバトル勃発!? 前述の通り、ここ数号で確実に「モテ」祭りが開催されていたのに、「へ? モテって何?」とシラを切っている今月号。その理由は分かりませんが、ただ一つ確かなことが。創刊号から、巻頭でエッセイを連載している「GINGER」の顔とも言うべき山田詠美(小説家)が、「モテ」というワードを忌み嫌っているということです。先月号の連載では、同誌が「モテ」雑誌へリニューアル中であることを知ってか知らずか、「モテ」を否定するエッセイが展開されておりました。その一部がこちら。 『私が一番嫌いなのは、男を切らしたことがない、などと得意気に口にする女。(中略)男の気を引くためのスキルは、形を変えながらも、いつの世も優先順位の上を占める。そんな中で私の大嫌いな「モテ」という言葉も生まれた(本誌でも使われるみたいだけど、この際、無視)』 更に山田先生は、今月号でも「GINGER」に媚びることなく果敢に攻めまくります。 『先月号を開いた途端、あーれー、ごめんなさーい、と思った。巻頭で散々「モテ」にいちゃもんを付けた私。(中略)大特集が「大人のモテスタイル」。いわく<モテたくて必死で雑誌を読みあさって覚えた"男ウケ服"を無理やり着ていた時期もあった。でも、今は違う>(中略)もういいや、こちらの「モテ」と他誌の「モテ」は別物ってことで。それにしても、もっと相応しい言葉はないものか……』 まるで「サイゾーウーマン」の女性誌レビューでも読んでいるかのような内容に、勝手にシンパシーを感じてしまいました。連載上で当の媒体を否定してしまう山田詠美先生の連載は必見です。 ■新語発表!! 「大人森ガール」 大特集「大人の秋服完全ガイド」では、通勤に使える秋コーデを紹介。特筆すべき新鮮な切り口もなく、写真のテイストのパターン(灰色のバック多し)や、レイアウトでの見せ方などが退屈な印象です。山田優や香里奈、西山茉希といった安心感のある有名モデルを起用し、コーディネートも読者の立場できちんと練られているだけに、勿体なく感じてしまいます。 そんな中、思わず目が留まってしまったのが、「大人森ガール」という聞きなれない言葉。<白いワイシャツ+きれいめショートパンツ+柄物カーディガン>というコーディネートの見出しになっており、「ノスタルジックなアイテムを使った着こなしをGINGERでは、大人の森ガールと命名」なんていう説明まであります。「森ガール」のいまさら感と、永谷園「おとなのふりかけ」以来のネーミングセンスもさることながら、「他誌とは違う”お高さ”」を強調したあげく失敗した「モテ」の二の舞になってしまわないかと心配です……。次号では、誰も付いて来られないくらい最先端の造語を期待します! ■「GINGER」読者のストレス発散法を一挙紹介! 読み物特集「OLたちのリアルブーム白書」では、読者の生声を元に、仕事で悩んだ時のストレス発散法を紹介。「私もやってる~」と共感したり、マネしたくなる発散法が盛りだくさんで、楽しい内容となっています。その一部がこちら。 ・仕事でミスして落ち込んだ時は、トイレにおこもり。トイレットペーパーをクルクル無心で巻き取ります! ・外周りの合間にセールでお買い物! お得意先をひとりで周る日=ショッピングデー ・ちょっと遠くにランチへ出かけ、ビールを1杯 ・帰り道、家に向かうルートをわざわざ線路沿いの道に変更。電車が通り過ぎる瞬間に、ゴーッという音にまぎれて”○○のバカヤロー!”と大声で叫んで解消 この他にも、「給料上がらず……。これ以上頑張れない! とリミットに達すると旅に出ます」「どうしようもなくストレスがたまると、ガラス工芸がしたくなります」など、顔出し読者たちが惜しげもなくエピソードを披露。「みんな辛いけど頑張ってるんだなあ」と前向きになれることウケアイです。しかし、ほんの数号前まで”攻め”にこだわっていた「GINGER」らしからぬホンワカ企画に、少々拍子抜けしてしまいました。一度「モテ」に行ったことで、何か吹っ切れたのかもしれません。 長期の迷走期間を経て、やっと「モテ」で落ち着いたかと思いきや、再び迷路へとUターンしてしまった「GINGER」10月号。『もはや、迷っていない「GINGER」なんて「GINGER」じゃない! 「MYOUGA」だ!』くらいの広い気持ちで、今後も勝手に見守っていきたいと思います。 (林タモツ) 『GINGER (ジンジャー) 2010年 10月号』 そんなに怒らないでよ、エイミー 【この記事を読んだ人はこんな記事も読んでます】 ・「結婚願望が男たちを不能にした」、賢い女のモテ雑誌「GINGER」が語る ・女は「TENGA」に負けている! 「GINGER」が示す「男の生声白書」 ・矢沢永吉が、自立した女性を目指す「GINGER」読者に伝えたいこととは? 最終更新:2010/08/23 17:00 次の記事 遊んでるのか、遊ばれてるのか!? オレと子どもと蚊の不思議な夏休み >