嫌がらせするファンと、徹底無視するマスコミ……ジャニーズを守る敵との日々
――『ジャニーズおっかけマップ』『タカラヅカおっかけマップ』や、”松田聖子の愛人ジェフ”による『壊れた愛』など、芸能人の研究本・暴露本など問題作を次々と刊行してきた、鹿砦社・松岡利康社長。”言論の自由”を守るために闘ってきた、社長の壮絶出版人生に迫っちゃうぞ~!
【ジャニーズ事務所編】
ジャニーズ事務所の猛攻を尻目に、『SMAP大研究』の初版を流通に乗せた、鹿砦社社長の松岡おじさま。初版3万部は1週間で見事完売し、「ジャニーズに原告にさせられた出版社4社からの著作権侵害で、500万円余りの賠償金を払ったけど、本は売れたから結果的に儲かっちゃった♪」と松岡さんは当時のことをホクホクと語ります。
この『SMAP大研究』に対するファンの反応は両極端で、内容の濃い研究本に感激するファンもいれば、あることないこと書き立てて悪質だ、と激昂するファンもいたそう。
「会社の入り口のところに、使用済みパンツが置かれてたことがあったな~(笑)。ウチの社員が、怒ったジャニーズファンに取り囲まれたこともあったし……。怒りの電話なんかもしょっちゅう。あまりにもエキサイトする子には『じゃあ、話し合いましょう』って会社に来るように誘ったのに、実際は誰も来なかったなぁ。まあ、いやがらせされても、電話で話してるうちに仲良くなって、情報提供してくれるようになったこともあるんだけどね♪」
『ジャニーズおっかけマップ』シリーズや鹿砦社刊行のジャニーズ本の数々は、コアなジャニーズファンなど、同社が築き上げた情報ネットワークが力を発揮してくれたのだとか。
実際にチームを組んで全国各地を飛び回った編集部の努力と、質の高い情報提供者の存在もあって、当時の『ジャニーズおっかけマップ』は今では考えれらないほど、個人情報てんこもり。ジャニーズタレントたちの実家の住所を、番地までバッチリ記載、ご丁寧に地図まで載せてあるばかりか、ベランダに洗濯物が干してあるところまで激写してあります。
「いろいろ言う人もいるけど、僕の考えでは、芸能人にプライバシーはない! 彼らは見られること、知られることが仕事でしょ? 暴露されるのも”有名税”のひとつ。僕は昔からそう思ってるよ」
実際に裁判でも、「住所が明らかになったからといって、即プライバシーの侵害にはあたらない」と主張し、当時販売されていた『高額納税者名簿』(帝国データバンク)や、『ゼンリンの住宅地図』を引き合いに出し、裁判で戦ったそう。
「そもそも『おっかけマップ』シリーズも、1988年に出版された『有名人宅早分かり帳』(ロングセラーズ)を参考にしたのよ。これが大丈夫なら、うちも出せるなと。でも『有名人宅~』の方が、駅ごとに有名人の家が紹介されていて、うちよりもひどいの(笑)。だから本当はうちも言われる筋合いはないんだけどね~」
芸能史の資料となりうる
「紙の爆弾」
当時ジャニーズ事務所と鹿砦社は、裁判所でこれだけ大論争を繰り広げ、今では法律関係の書籍にも判例として掲載されているのに、ほとんどのマスコミは大々的な報道をしませんでした。松岡さんが、裁判の進行状況を事細かに書いた『鹿砦社通信』を、日本中のほとんどのマスメディアに週1ペースでせっせと作り、FAXしていたにも関わらず、「華麗にスルーされたよ」とのこと。実際に「鹿砦社通信」を見てみると、「ジャニーズ醜く怯える」「われわれはジャニーズに愛を告げた」など、刺激的な文言ばかり。しかも、この「鹿砦社通信」を当のジャニーズ事務所やジャニーズ側の弁護士にも送っていたというから、オドロキ。
「実際、『鹿砦社通信』を続けていくうちにファンも増えて、『新しい異動先に送ってほしい』という声も多く届いたんだよ。まあ、まったく報道はされなかったけどね(笑)。でも、中には怪文書扱いする会社もあったんだって。ひどいよね!!」
ちなみに、この「鹿砦社通信」は、「紙の爆弾」(現在の月刊誌「紙の爆弾」の名称の元になっています)という書名で1冊の縮刷版としてまとまり、その後、アルゼ創業者会長の脱税の前科判決文の一部を公にして、5年前の「名誉毀損」事件で逮捕される要因と一つになったとされているそうです。そういうこともあり、残念ながら(?)現在は休止しているのだとか。
(朝井麻由美)
松岡利康(まつおか・としやす)
1951年9月25日生まれ、熊本県出身。同志社大学文学部卒業後、貿易関係の仕事に従事。サラリーマン生活を経て、83年にエスエル出版会を設立、88年に一時期経営危機に陥っていた鹿砦社を友好的買収、同社社長に就任。05年にパチスロメーカー大手のアルゼ(現ユニバーサルエンターテインメント)を取り上げた『アルゼ王国はスキャンダルの総合商社』、球団スカウトの死に迫った『阪神タイガースの闇』などの出版物について、名誉毀損で神戸地検に逮捕、起訴され、有罪判決を受ける。現在、鹿砦社の月刊誌「紙の爆弾」の定期購読を申し込むと、松岡社長をモチーフにした「松岡くん」の携帯ストラップ(画面拭き兼用)、パズル付き定規、トートバッグ、エコバッグの4点をプレゼントされます。詳細はこちら
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