ジャニーズ事務所に押し掛けた……暴露本のドンVSジャニー喜多川の行方は?
――『ジャニーズおっかけマップ』『タカラヅカおっかけマップ』や、”松田聖子の愛人ジェフ”による『壊れた愛』など、芸能人の研究本・暴露本など問題作を次々と刊行してきた、鹿砦社・松岡利康社長。”言論の自由”を守るために闘ってきた、社長の壮絶出版人生に迫っちゃうぞ~!
【ジャニーズ事務所編】
前回、ジャニーズとの裁判の発端となった『SMAP大研究』について語ってくれた、鹿砦社社長の松岡利康さん。常にジャニーズと裁判を繰り広げていたかのように感じますが、実は刊行物の中で訴訟となったのはわずか3冊(『SMAP大研究』『ジャニーズ・ゴールド・マップ』『ジャニーズおっかけマップ・スペシャル』)しかありません。体当たりでその闘争に臨んだ松岡さんに、一通りの裁判が落ち着いた今だからこそ見えてきた、ジャニーズの訴訟術を聞いてみました。
「ジャニーズ事務所は、とにかく肝心なボスが表に出てこない。『SMAP大研究』の訴訟でも、原告は事務所ではなく、当時のSMAPの6人と、出版社4社だった。しかも、訴訟の途中で森且行はSMAPを脱退していたのに、なぜかずっと原告に名を連ねられていたし(笑)。たぶん事務所側が勝手に森の名前も入れ続けたんだと思うけどね。もちろん争点がパブリシティー権や肖像権ということもあるけど、ジャニーズ事務所はたぶん、SMAPメンバーと出版社4社を盾にして、自らが傷つくのを避けたんでしょうよ」
記事が無断引用されたとして、訴訟に参加した出版社(主婦と生活社、扶桑社、学習研究社、マガジンハウス)についても、「明らかに出版社側が自らの意志で参入したわけではない!」と松岡さんは鼻息を荒くします。
「出版社は、ジャニーズ事務所に言われて、訴訟に参加したに決まってるよ。ジャニーズの言いなりになっておかないと、今後ジャニーズ関連の著作物を作れなくなるからね。特に、ジャニーズタレントのカレンダー利権は出版社にとってドル箱。だから言うことを聞いたんだろうね~。そうじゃなきゃ、あの程度の引用で訴訟沙汰にしたら、出版社が自分の首を絞めることになるからね」
ちなみに、この4社のうち、扶桑社と学習研究社が1審判決で認められたのは、たったの18万円だそう……。「18万円の”大金”のために何年も裁判をしちゃうなんて、ジャニーズの圧力はすごいねぇ(笑)」とニヤける松岡さん。出版社側に同情するどころか、
「各出版社の社長の自宅に、配達証明付きで抗議文を送ってあげたの♪ きっと社長クラスになると細かいところに関与せず、担当者にまかせっきりだろうから、抗議文を出したら担当者が社長に呼び出されるわけでしょ!? プレッシャーをかけるわけですよ」
と大胆な攻撃をしかけたご様子。しかし自宅に送りつけるとはいささか過激な気もしますが……。
「だって、裁判所からの通達やら何やらは私の自宅に来るわけですよ。それを考えれば、同じことでしょ」
とあっけらかん。
これだけジャニーズとガチンコ裁判を繰り広げている松岡さんですが、意外にもジャニー喜多川社長には会ったことがないそう。『ジャニーズ・ゴールド・マップ』の訴訟の際には、裁判所の要請でジャニー社長が出廷する予定だったのですが……、
「あろうことかドタキャンしたの! 都合のいい日程を向こうに選んでもらったというのに! 我々のような小物出版社に尻を向けるとはねぇ(苦笑)」
だからといって、大人しく引き下がる松岡さんではありません。『SMAP大研究』の1審判決が出た時には、頭に血が上り、その感情の赴くままに、東京地裁から直接タクシーでジャニーズ事務所に乗り込んだのだとか!!
「もう下っ端の奴らと話しても意味ないと思って、『社長や副社長を出せ!』って言ってやったよ。もちろん、ジャニーさんには会えなかったけどね(笑)。若いタレントは何人もいたけど、みんな下を向いていて、対応したのは伊豆(ジャニーズ事務所取締役・伊豆喜久江)という古参のオバサンだったよ。長居するとまた大事になっちゃうから、『連絡くれって伝えてくれよ』って言って帰って来たけどね」
本誌「サイゾー」での連載の折には、「お礼参り」と称し、ジャニー喜多川社長の自宅前で記念写真を撮るなど、”永遠の片思い”は続いています。松岡さん自身も「会ったら意外と気が合うかもしれんな」と、”両思い”へ好感触のようです。
一連の裁判騒動後も、ジャニーズの暴露本を出し続けた鹿砦社ですが、『SMAP大研究』『ジャニーズ・ゴールド・マップ』『ジャニーズおっかけマップ・スペシャル』などの訴訟が終結してからは、ジャニーズからの攻撃はパッタリと止みました。
「裁判沙汰に持ちこんでしまうと、結局鹿砦社の本の宣伝になっちゃう、とジャニーズ事務所側も気付いたんでしょう(笑)。ジャニーズは賢いから、一度に複数の敵は作らない。ウチとの裁判が終わったあとは順に、文藝春秋、主婦と生活社、アールズ出版との裁判も忙しかったようだし、同時期に裁判すると出版社側が共同戦線を張っちゃうでしょ? さすがに複数の出版社を敵に回すと面倒だということも考えているだろうしね」
(朝井麻由美)
松岡利康(まつおか・としやす)
1951年9月25日生まれ、熊本県出身。同志社大学文学部卒業後、貿易関係の仕事に従事。サラリーマン生活を経て、83年にエスエル出版会を設立、88年に一時期経営危機に陥っていた鹿砦社を友好的買収、同社社長に就任。05年にパチスロメーカー大手のアルゼ(現ユニバーサルエンターテインメント)を取り上げた『アルゼ王国はスキャンダルの総合商社』、球団スカウトの死に迫った『阪神タイガースの闇』などの出版物について、名誉毀損で神戸地検に逮捕、起訴され、有罪判決を受ける。現在、鹿砦社の月刊誌「紙の爆弾」の定期購読を申し込むと、松岡社長をモチーフにした「松岡くん」の携帯ストラップ(画面拭き兼用)、パズル付き定規、トートバッグ、エコバッグの4点をプレゼントされます。詳細はこちら
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