松本人志と岡村隆史、不在を埋めるそれぞれの番組スタイル
今回ツッコませていただくのは、ともに休業によって”主役”を欠いた、松本人志と岡村隆史の出演番組。二人の休業が与えている影響は非常に大きいが、各番組での取り上げ方には、大きな違いが見られる。もちろん病名が明らかにされ、入院→手術と順調に「回復時期」が見込まれている松本と、無期限で休業理由が明確にされていない岡村とでは、病気の状況も置かれている状況も違う。
だが、二人の番組の「穴」の大きさ・広がり方に、「あれ?」と不思議な印象を持った人もいるのではないだろうか。と言うのも、休業中にも関わらず、松本の方はその後もテレビに結構出続けているからだ。
たとえば、『リンカーン』(TBS系)などでは、コーナーごとにまとめ録りをしているものを分割して小分けに出していき、『ダウンタウンDX』(日本テレビ系)などでも、関係ないロケ部分を差し込むことで、内容・露出を薄めつつちょこちょこと「存在」している。しかも、どういうわけか『リンカーン』の特番では「松本の笑い声だけ足されていた」などとネット上で噂になったこともあった。
さらに、松本が全く存在していない番組においても、浜田が進行すれば十分成立してしまうだけに、普通に「浜田の番組」として見られるものになっている。
唯一「松本不在」を全面から取り上げているのは、『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!!』(日本テレビ系)くらいのもの。しかし、それすら「章造遠藤のクイズ! まぁまぁまぁ!」という、ココリコ遠藤章造がただ「まぁまぁ」と言いながら芸人などにキスを迫り、成功するまでの秒数をクイズにするという企画や、いちごジャムの判別をする「ききいちごジャム」企画でココリコ田中直樹が大活躍(?)したりと、松本不在を感じさせないものとなっている。
ところが、岡村の場合、『めちゃ×2イケてるッ!』(フジテレビ系)では休業に入ってすぐ岡村出演分のストックがなくなり、代打を立てた緊急特番となっていた。過去には、光浦靖子や大久保佳代子が飲み会の後に『めちゃイケ』の収録に行くシーンなどが放送されていたように、現場のスタート時間の遅さもおそらくあり、これは、いかに『めちゃイケ』がギリギリのスケジュールで収録しているかを物語っているのだろう。
しかも、『めちゃイケ』にしろ『ぐるぐるナインティナイン』(日本テレビ系)にしろ、岡村ありきの番組であるだけに、岡村不在となってからは、顔写真や過去のVTRが頻繁に使われ、共演者たちも「岡村さん」「岡村さん」と連呼している。『ぐるナイ』にいたっては、昔の「尋ね人」番組よろしく、共演者一人一人がカメラに向かってメッセージを述べていたほどだ。
もし、岡村出演の各番組も、「録りだめ」方式で薄めて小分けに出していけるような作りであったなら、突然の休業などという事態になっていなかったのでは……。などと思うのは、単なる結果論か。松本不在より、岡村不在の方が根が深いと思わされた露出の差でした。
(田幸和歌子)
『ナインティナインのオールナイトニッ本 (vol.1) [ムック]』
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