『エンタの神様』を目指した『あらびき団』が、エンタに逆転勝利した日
今回ツッコませていただくのは、6月22日放送の『あらびき団』(TBS系)。1週前の15日放送分から2週にわたって「初顔SP~あらびき団地~」と銘打って、初顔の芸人ばかりが出演した企画。”あらびき芸人”として認められると、”あらびき団地”へ入居できるという形で、VTRを見てライト東野(東野幸治)とレフト藤井(藤井隆)が合否のジャッジをしていく。入居が認められると2回目以降の出演も可能というシステムで、番組内オーディションの体もとっている。
この日、最後に登場したのが、平井堅の曲を歌いながらフリップ芸をするヒライケンジと、コウメ(小梅)太夫。かつて『エンタの神様』(日本テレビ系)で人気者だった2人の芸人がやってきた。『あらびき団』がスタートしたときには、「『エンタの神様』に送り出せるような芸人を育てていきたい」と、ことあるごとに言っていたが、まさか行き場をなくしたエンタの芸人の再チャレンジの場になるとは、思ってもみなかった。
さて、『エンタ』からやってきた人気者ふたり。しかし、どちらも、「『エンタ』に出てたころは週に○本仕事があったけど今は……」という、自虐ネタ被り。入居審査の結果は、ヒライ→×、コウメ→○と、明暗を分けることになった。
粗い芸を、悪意ある編集や絶妙なカット、そしてMCのいじりまで含め、総合的に面白く見せるというスタイルが新鮮で、また評価される機会の少なかった芸人がスポットを浴びる場としても機能した『あらびき団』。はるな愛、世界のナベアツ、エハラマサヒロ、ガリガリガリクソンなど、『あらびき』出演以降メジャー化していった”あらびきスター”も多い。どぶろっくやダブルネームなどは、『エンタ』の常連となり、まさに当初の目標は達成されていた。
ただ、この「あらびき」というくくりがメジャー化し、「あらびきっぽい」と言うような表現も生まれるようになった。よく東野と藤井が、自分たちで『あらびき団』のことを「掃き溜め」とか「吹きだまり」とかいう類の表現をしているが、掃き溜めのはずが、気づいたら”登竜門化”してしまっていた。”掃き溜めの本流化”という矛盾めいた状態だ。
今回入居OKになったコウメさんも、芸そのものが面白かったというよりも、「あのコウメ太夫が『あらびき団』にいる」という「状況」が面白く、今後エンタ芸人が『あらびき団』に出演するようになるわけではないだろう。ギター侍はいらない、と東野も言ってたし。残念。
(太田サトル)
『あらびき団アンコール Vol.2 あの素晴らしい芸をもう一度』
一番のあらびきは、MCの2人の暴言具合。
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