どうして、iPhoneだと産経新聞が無料で読めるんですか?
気になって仕方がない素朴なギモンを直接企業に聞いてみよう、という本連載。
2010年5月28日にiPadが日本で販売開始されたので、早速、渋谷のアップルストアに行き、実機を触ってきた。第一印象は「でかくて重い」だった。毎日、iPhoneを持ち歩いているので、そう感じた部分もあるのだが、アップルが想定しているのはリビングでの使用だ。アップルストアでは立ちながらiPadを触ったため、リビングでの「ユーザーエクスペリエンス」が体感できないのが残念である。どうせなら、iPadとソファーを一緒に設置してほしかった。そうすれば、ソファーも売れるかもしれない。
「アップルの新製品、ソファー」
何となく売れそうな気がする。真っ白でモダンなデザインでマッサージ機能もつけてほしい。では、これはどうだろうか。
「アップルの新製品、味噌汁」
これはダメな気がする。なにせ、おふくろの味なのにアメリカ製である。スタイリッシュなパッケージに入った飲みやすい味噌汁であろうが、飲みたくない。では、これはどうだろうか。
「アップルの新製品、鉛筆削り」
アナログすぎて誰も買わない気がする。そもそも鉛筆自体を持っている人が少ないし。そう考えると、アップルの新製品はちゃんとマーケティングされているのである。味噌汁や鉛筆削りを出さない程には。
さて、iPhoneを使用して以来「便利だな」と感じるアプリはたくさんある。その中で最も感心したアプリが「産経新聞」である。ご存じの方も多いと思うが、このアプリは一面からテレビ欄まで、紙の産経新聞そのままのレイアウトで読むことができる。しかも無料で。こんなサービスを始めてしまったら、紙の新聞を購入する人が減ってしまうのではないだろうか。産経新聞を購読している家庭は、それをやめてしまう可能性も高いと思う。大丈夫なのか? うーん、気になる。そこで「産経新聞 東京本社」に直接、聞いてみた。
「iPhoneで産経新聞が無料で読めるのはなぜですか?」
担当者(男性) このサービスを開始したのは一昨年の12月になるんですけど、これから先、ずっと無料で提供しようと思ってサービスを始めたわけではないんですよ。新聞にある試読版とか試読誌のように、サンプルみたいな感じで商品をお試ししてもらって、その結果、評価して頂ければ、買って頂いているんですが、考え方としてはそれと、かなり似ています。
――なるほど。
担当者 それが、無料の大きな理由ですね。私ども、”iPhone”や”スマートフォン”上でこういった電子新聞的なサービスがどの程度評価されているのかって全く分かっていなかったものですから、世界中見ても「紙面をそのまま読ませます」というキャンペーンは他にはないもので、そこら辺のみなさんの反応を知りたかったんですよ。
――紙面を購読している人の中には、嫌な思いをしている人もいるのではないですか?
担当者 えーっと、そこら辺は色々あるかもしれないですね。ただし、提供する前の段階で、私どもは議論を重ねた結果、そういう試験的な試みを提供させて頂こうという、判断に至ったんですよね。
――将来的には有料になるのですか?
担当者 それはまだ何とも申し上げられないですね。
試験段階で紙面すべてをオープンにするというのは、やはり大胆なサービスである。だからこそ話題になったし、産経新聞に対するイメージも良くなった。実際にiPhoneで新聞を読む習慣さえついたほどである。ありがとう、産経新聞。「他がやっていないからウチが試験的にスタートする」という行動は素晴らしく、是非、他の企業にも見習ってほしいものだ。ただし「他がやっていないからウチが味噌汁を販売しよう」というパソコン会社は必要ないのは、言うまでもない……。
(日本で販売開始されたiPad版の「産経新聞HD」は30日間の購読料が1,500円。2010年6月30日までは無料で提供されている)
引き続き、皆さんの素朴なギモンを募集中です。ディープでインパクトのある、くだらないギモンをお待ちしています。
(酒平民 林賢一、「サイゾー裏チャンネル」より)
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