「an・an」が切り拓いた、「生理用品レビュー」という新ジャンル
今週号の「an・an」は、菅野美穂を表紙に据え、「免疫力UPで美人に!」という特集です。特集にも菅野美穂にも思うことがなかったので、ページをめくってみると、村上春樹の連載「村上ラヂオ」が素晴らしかった。「シーザーズ・サラダ」がテーマの今回は、シーザーズ・サラダ(田舎もんの私はずっと「シーザー・サラダ」だと思ってました)の魅力をうんたらこうたら語った上で、「日本でシーザーズ・サラダを食べて『うん、これはおいしい』と思ったことはあまりない」と嘆いておられます。その上で、「まず何よりも、このサラダには処女のごとくぴちぴちしたロメインレタスが必要とされる」とご指南。なるほど~、処女のごとくですか。素敵な表現です。さすが「君が大好きだよ、ミドリ」「どれくらい好き?」「春の熊くらい好きだよ」(『ノルウェイの森』より)を生みだしたお方です。そして、大橋歩センセイのイラストも、体がレタスになっているワカメちゃんのような女の子を書いておられますが、いつもに増して「あ~早く物理の授業終わんねぇかな」っていうテンションで書いた、落書きのような……あっ、私のような田舎もんが、日本の文学/芸術を引っ張っておられるようなお二人にこんな無礼を申し上げるなんて……。失礼いたしました、それでは、ようやく本題に入らせて頂きたいと思います。
<トピック>
◎アラサー女子・要注意の8大疾患
◎ストレス社会をハッピーに生き抜く ココロの免疫力アップ術
◎AKB48のエース、前田敦子に急接近
■「an・an」編集部の頑張りに拍手を送ります!
「アラサー女子・要注意の8大疾患」や「カラダを守る食材&最強レシピ」など、今週号のメインとなる企画はありきたりなのでスルーして、「生理との上手なつきあい方、教えます」を見てみましょう。生理痛の緩和法やピルの基本知識などは置いておいて、気になったのが「話題の生理用品を一挙にお試し」というページ。ロリエ、ウィスパーなど全15商品を、女性スタッフ15人が試して、「装着しやすさ」「つけ心地」「吸収力」など項目別にチェック。確かに女性には必要不可欠ながら、商品区別が付きにくい生理用品を身をもってチェックしてくれるのはありがたいことです。オシャレ雑誌「an・an」なのに……。しかも、スタッフ数と月経の時期を考えると、かなり長期間を割いたでしょう。
と、編集部の苦労に思いを馳せつつ、結果を見てみると、想像していたより差が付かないよう。でも一番の収穫は、「ロリエスーパーガード 安心ショーツタイプ」というショーツ型ナプキンが、「つけ心地」「吸収力」ともに最高評価を得ているということでした。なかなか自分では手が伸びない商品なだけに、開眼する思いでした。今度から、月経のたびに「an・an」編集部を思い出しますね。ありがとう!
■でも「an・an」編集部ってこういうところ、あるよね
生理に続きまして、アラサー女子の不安材料である妊娠・出産へと話は移っていきます。バースコーディネーターや産婦人科の先生を回答者に迎え、「正直、何歳まで赤ちゃんを産めるの?」「妊娠すると、カラダはどうなっちゃうんですか」と、コウノトリ伝説を信じてるんじゃないかと心配するような、ドリーミーなテンションの質問が続く中、「出産は、鼻の穴からすいかが出るくらいの痛みっていうけど……」とか「妊娠しやすい体位はあるの?」という”狙った”質問もちゃんと準備してます。「an・an」ってこういうところで、自我を押さえられないのよね。
ちなみに、体位についての質問には、バースコーディネーターが「ありません(笑)。あなたが好きな体位でいいんです」と答えつつも、「精子と卵子の愛ある出合いから、妊娠は始まるもの。本質は忘れないでほしいです」とさらに上級のドリーミー返答。もう、ドリーミーの応酬はやめて~!
■他人の悩みって美味ですから
体の免疫力と共に心の免疫力も、ってことなんでしょうか。1色ページでは、心の免疫力を上げるページが充実しています。「いつもより30分早く起きる」「カフェイン&砂糖を摂らずに過ごす」など、寝言のような提案とは一線を画しているのが、五月女ケイ子さん、福田雄一さんによる、「おキラク相談室」です。リードでも、「様々な”心の痛み”に、ウルトラCの解決法を伝授!」とあるように、実用性は一切ナシのネタものです。
同棲1年のセックスレスカップルには、「テレビやゲーム機などの娯楽を、家からすべて排除しましょう。できれば、近所に24時間営業のコンビニがないくらいの田舎に引っ越すとベスト」(五月女さん)、「遠距離恋愛に切り替える」(福田さん)とかなりテキトー。会社の人間関係で板挟みになっているという相談には「(略)壁と同色の服を着て、空気と同化しましょう。あなたに話題を振ろうとした時にうまく隠れることができる」(五月女さん)、「折しも、龍馬ブーム。あえて争いに巻き込まれてみるという姿勢が2010年のトレンドです」(福田さん)。笑って悩みを吹き飛ばして、というのが編集部からのメッセージのようですので、ここは一つ読者が大人になって、そのメッセージを受け止めてあげてください。
ほかにも「日本の男はサムライイズムを取り戻さなくてはいけない」(じゃあ、「Gackt」という表記は英語圏にかぶれていないのかという疑問アリ)と主張するGacktのインタビューあり、AKB48がいよいよ「an・an」に浸食してきたというページありの充実の今週号。ちなみに、今週号のどこかに「サイゾーウーマン」という記述(奇跡!)がありますので、気になる方はぜひご購入を。来週は、「オトコの謎199」です。「妄撮男子」も再登場するようですので、期待しましょう。
(小島かほり)
高校生以来、手に取ってない春樹本
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