オバサンもダサい格好も許さない! 「VERY」が提唱する女道
今月号も表紙は、不動の井川遥。ネット(主にツイッター)上で話題のドラマ『素直になれなくて』(フジテレビ系)で、既婚者ながらも年下の男(瑛太)を寝技で羽交い締めにするという、魔性の女を演じている井川に対し、放送間もないころは、「VERY」のイメージに反するのではと心配していたのです。ところが、井川演じる桐子が金のために結婚し、素敵なお洋服と豪華なお住まいを満喫しながら不倫を楽しんでいるという、あながち「VERY」読者と変わらない女性像だった、ということにフジテレビの発注が間違っていなかったと再認識。『素直になれなくて』は井川をキャスティングしたことで、恋や愛と寝ぼけたこと言っている若者だけでなく、お金と性欲に正直な30代女性の視聴者を獲得したのですね。と、表紙から深読みしてしまいましたが、今月号の大特集は「やっぱり”いいもの”が欲しい!」。いつもに比べ、ちょっとパンチが弱め? 不安を抱きつつ、早速中身を見てみましょう。
<トピック>
◎やっぱり”いいもの”がほしい
◎ママだってもう一度、恋してる!
◎お尻もあがって気分もあがる! ヒップアップ大作戦
■消費を刺激したいけど……
今月号の大特集「30代に必要なものは『未来のある』お買い物です――やっぱり”いいもの”が欲しい!」と謳い、「安いから」「ブランド品だから」買うのではなく、愛着を持って大事に使えるものを買いましょう、という趣旨のようです。長く続く不況で、消費者が実用品志向になっている今、「VERY」のような可処分所得の高い人に「いいもの」を買ってもらおうと、あの手この手で、攻めてきます。
もちろん値段が高いものだけが「いいもの」ではないので、芸能人や読者モデルが私物の「安くていいもの」も紹介していますが、雑誌側がコーディネートで紹介しているのは、「高くていいもの」。こうでなくては、ビジネスとして成り立ちませんし、読者の消費刺激にもなりません。なので、方向性としては正しい特集なのですが、あまりにも「VERY」色が薄くて、ちょっと残念。もっと刺激的なキャッチや、いつものようなあり得ない場面設定などが欲しかったです。キレイな企画で消費を刺激するのなら、「婦人画報」(アシェット婦人画報社)がすればいいこと。「VERY」には限りなくファンタジーに近い企画・設定を切望します!
■今月の光文社臭はこの企画!
離婚率が上昇している昨今の世相を反映してか、今月号で異色ながらも光っていたのが「ママだってもう一度、恋してる!」です。離婚を経験し、シングルマザーになっても、臆せずに「恋をしちゃえばいいじゃない」という応援歌。読者4人が新たなパートナーを得るまでの心の葛藤や子どもへの配慮を語り、「VERY」モデルの鈴木六夏さんも、「実は私、実生活でシングルマザーなんですよ」と突然の告白。
「美STORY」では、スポーツジムのパーソナルトレーナーとのイ・ケ・ナ・イ恋を特集したり、「STORY」では別居婚を提案してみたり……。光文社の女性誌において、常に裏テーマのごとく貫かれている「現役感」が「VERY」も浸食中。「オバサンになることも許さない」、そんな時代が迫ってきてますよ。怖い、許して~。
■雨の日だって、手を抜いちゃいけないんですって!
梅雨の時期だって、手を抜かないのが「VERY」読者。そんな気合の入った方のための企画が、「『きれいめ路線』の雨対策スタイル」。撥水加工が施されたコートやパンプス、コンサバでオシャレな(原文ママ)傘などの小物と、読者の「雨の日コーデ」も紹介。その中でも、息子が小学校に入学したばかりのママは、気合の入り方が違いました。エルメスのコート(撥水加工はなさそう)に、防水スプレーを振りかけたプラダのパンプス。曰く「(息子の送迎の後に)保護者のみなさんとお茶することがあるので、雨の日でもきちんとした着こなしで出掛けるように」とのこと。「雨の日にブランドものなんて~」というのは、貧乏人のお気楽な考えのようです。金持ちは金持ちの悩みがあるんですね~。
というわけで、雨の日にダサい格好をすることも、オバサンになることも許さない、といわんばかりの「VERY」。オンナをさぼっているわが身にはつらい企画ばかりでした。今月号は特集のせいか、いろいろパワーダウンが感じられ、いつものような無邪気さや「愛され妻」感がなくて、本当に残念。でも、来月号は創刊15周年記念号。でもって、特集は「VERY読者500人の『理想の母親像』白書」です。何となく微妙な内容ですが、もしかしたら真矢みきが2冠達成するかもしれませんし、あえての「辻ちゃん」かもしれません。妥当なところで「野際陽子」だと思いますが……。さて、この企画がどっちに転ぶか、楽しみにしていますよ~。
一番切れ味よかったのは、やっぱり「お受験の花道」でした
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