KYガヤ芸で『タモリ倶楽部』で浮きまくりのフジモン……
今回ツッコませていただくのは、4月16日放送の『タモリ倶楽部』(テレビ朝日系)。
今回のテーマは「知られざる暗渠の内部に潜入! 神田川分水路を行く!」というもの。暗渠(あんきょ)とは、覆いをされた水路のことで、道路の下などを通っていたりすることが多い。今回は、神田川の暗渠部分をタモリご一行が船で探検する、というもの。実に『タモリ倶楽部』らしい企画だ。
が。ゲストの一人として呼ばれたFUJIWARA・藤本敏史が、その「らしさ」とは見事に縁遠いリアクションで、完全に番組の異物にしか見えなかった。ちなみに他のゲストは六角精児、堀部圭亮という番組おなじみの2人に加え、解説役として東京の川を全て走破したという「川の探検家 石坂さん」、それから相方の原西。
フジモンといえば、近年は「ガヤ芸人」として認知されている。この”ガヤ”を芸としていいのか分からないが、この技術(?)がもてはやされたことで、いろんな番組で前に前に出ようとして、ちょっと悪目立ちしていることがある。率直にいえば、『タモリ倶楽部』に”ガヤ”はいらない。地下通路やジャンクション、電柱など建築物や工事現場、鉄道、町工場の最新技術などの、言って見れば”地味”な題材の価値や美しさに、みんなで「ほー」とか言ってるのを見るのが楽しい番組なのだ。だから、余計な(もしくは真っ当な)ツッコミはいらない気がする。
例えば、神田川に船で行き、秋葉原付近にさしかかったとき。ちょうど川の上から橋ごしに新幹線が通過していくのが見えるスポットがあった。『タモリ倶楽部』的には、実に見どころ満載のスポットだ。目の前を東北新幹線が通過していくこの”絶景”に、「カメラ忘れた……」と残念がるタモリ。それに向かってフジモン。
「いやいやいや……。通ったから何なんですか」
一言で言うと、「無粋」。この景色の魅力について、これがいいのにと、出演者たちが語ったことに対して、再び、「だから何なんですか」とツッコむ。これにタモリが一喝。
「降りろ!」
続けて、「価値の分からん奴だな……」とぼやく。顔こそ笑っているけど、本音だったかもしれない。「人が楽しんでいるのに、うるさい奴だなぁ」みたいな。フジモン的には「いつも通り」のガヤ芸で頑張っているつもりなのかもしれないが、それが番組のカラーから見事に浮いている。
FUJIWARAは、『笑っていいとも!』(フジテレビ系)のテレホンショッキングにゲストに出たときにも、フジモンだけでなく、原西までも空回りしていたので、タモリとの相性がよくなさそうだ。とはいえ、もともともの静かな原西は、今回は魅力が分からないなりの質問を要所でしたりして、浮き上がっていない感じだった。
フジモンのガヤツッコミは続く。万世橋に現在使用されていない謎の小部屋があるのだが、何に使われていた部屋だったのか、都などに問い合わせても「古すぎて分からないんです」という解説に対して、
「じゃあ、何でクイズみたいにしたんですか!」
決まった! 言ってやったぜ! いい仕事した! みたいなドヤ顔。しかし、周囲は微妙な笑い。なんというか、せっかくおいしい御飯食べに来たのに、「ヘンな人と相席になっちゃったなぁ……」みたいな気持ちというのか。
しかも、こういうときのタモリに対する、根本的なツッコミを入れてしまう。船の先頭で景色を堪能しているタモリに向かって一言。
「楽しいのは分かるんですけどね、カメラに背中向けんの、やめてもらえます?」
……。堀部も「(テレビの仕事で)一番初めに言われることですしね」とか言ってフォローしていたが、『タモリ倶楽部』自体が「楽しむタモリ」を鑑賞する番組でもある気がするのだが……。それなのに、またしても、ミスター無粋状態のフジモン、
「そないに見るところあります?」
だれだ、最初に「ガヤ芸」なんて持ち上げたのは。やっぱりそれがハマッて面白くなる場とならない場、あるわけで……。それでも本人も空回りしている自覚はあったのか、最後のほうで、
「S字カーブはアルファベットから……?」
という質問に対して、周囲から一斉に「当たり前だろ!」と、若干いらだち混じりにツッコまれたときに、弱音がポロリ。
「何をしゃべったら、もう……」
フジモン、涙目。ガヤ御苦労さまでした。
(太田サトル)
ガンバ!
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