コラム
今井舞の「週刊ヒトコト斬り」

「間違った女らしさ」を押しつけられる悲しさよ……

2010/04/23 16:00
エレベーターもピンクでした

――毒舌コラムニスト・今井舞が、話題のアノ人物やアノニュースをズバッとヒトコトで斬り捨てる!

◎入れるなっつうの!
 新宿にオープンしたヤマダ電機。ウリは「女性が行きやすい電気店」だと。地下二階に設けられたレディースフロアには、コスメや美容機器がギッシリ。もちろんデコ携帯作ってくれるコーナーも。キラッキラキラッキラしとる。壁もまっピンク。こういう「女性のための」って枕詞がつくモンって、何か安直で下世話で悪趣味だよなあ。私も一応女なわけだが、これに「わあい」ってなる女の一人にカウントするのは頼むからやめて、といつも思う。

◎決して動じない女
 あと、日テレの夕方のニュース番組『news every.』な。ピンクピンクなタイトルデザインとスタジオセット。CM明けのジングルは、私たち女性同志、みんなせーので「えぶりぃー!!」か。あーあ。これ見て「んま、私たち女性のための番組なのね」って見るヤツに、だからカウントされたくないっての。陣内貴美子はこの世界観に全身全霊ノリノリで染まっているようだが、注目の丸岡いずみは、やっぱりというか当然というか無反応。しーん。これからもこっち側の代表として、丸岡イズムを貫いて欲しい。

◎こちらは完璧な女
 そして宇宙飛行士・山崎直子さん。んー。「ママさん飛行士、宇宙へ」って言われたら、もうある意味誰もぐうの音も出ない。「女性」「母」そして「宇宙飛行士という任務」。すべて素晴らしいことなんだけれども。そこに付け込んでのやりたい放題はいかがなものか。別に付け込んでるつもりはないんだろうけどさ。お目覚めのメロディ、松田聖子の「瑠璃色の地球」とかさ、家族の苦労も団欒も逐一カメラの前で行われてるとかさ。「旦那・無職」のいいわけの長さとかさ。帰還を受けての両親の会見「天からの贈り物。洋々と胸を張って帰って欲しい(父)」「今まで血のにじむような努力をしてきましたから(母)」って発言もさあ。今まで「宇宙飛行士の両親の会見」なんてあったっけ。んー。
 マスコミ寄ってたかっての美談仕立てと、本人たちの「その気」。その根底の「女性礼賛」が気持ち悪い。とりあえず女は持ち上げとけば間違いない、という、こうした「ビバ女性」一辺倒と、「だから女はダメなんだ」って理論は、出所をただしてくと結局同じ気がするのだが。……もっと普通にできないもんか。

今井舞(いまい・まい)
週刊誌などを中心に活躍するライター。皮肉たっぷりの芸能人・テレビ批評が人気を集めている。著書に『女性タレント・ミシュラン』(情報センター出版局)など。

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最終更新:2019/05/22 19:51
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