「カフェ・サイファイティーク」で濃密な理系体験!
レントゲン写真やら蛙の解剖模型やら、怪しげなブツが立ち並ぶ店内。それらを前にして、ビーカーに入ったお茶を飲みながら微笑んでいるお客さんたち――。ここは、理系カフェ「カフェ・サイファイティーク」。白衣にメガネ姿の理系ハカセたちとのお喋りを楽しむイベントカフェで、ハカセたちは全員理系出身者。これまで、コミケや日本SF大会などで7回ほど開催されており、いずれも評判は上々。今回は秋葉原にある、カフェ・トリオンプを貸し切って行われるということで、早速お店に駆けつけました。
僕はお昼少し前に行ったのですが、店内は満員でした。並んでいる宇宙食のラベルなんぞを読みながら、待つこと約15分。やっと一つ空きが出来たので席に座ると、氷水が入ったビーカーが目の前に置かれました。何やら、細かいところにもいろいろと遊び心があるようで、メニューには理系の専門用語らしきものがチラホラ。「理系点取り占い」(自作)なんかもありました。
このお店のシステムは、チャージ600円でワンオーダー制。受付でハカセのカタログを渡され、お気に入りの方をご指名が出来るのですが、今回はお店イチオシの「ぼらんハカセ」と「Kハカセ」のお二人とお話することにしました。彼らにこのカフェの成り立ちについてお聞きすると、最初はSFのコンベンションからスタートした企画だったとのこと。お店のハカセは殆どの人が第一線で働いている研究者で、専攻も医療、化学、薬学、物理、数学などの幅広いジャンルの人たちがいるということでした。
接客業は殆どやったことがないというスタッフばかりだったけれど、そのコミュニケーションが取れない面白さが話題となり、カフェ部門がコンベンションから独立。お店が開かれているのは短い期間だけれど、リピーターも多く、楽しみにされている方も大勢いるとか。
ぼらんハカセはSFイベントの幹部から、Kハカセは博士号を持つ知り合いに誘われたことがきっかけでこのカフェで働きはじめたそう。Kハカセは、最初はお客さんの目を見て話せず、研究のことを話していても、相手が理解してくれているかどうか分からず不安だったそうです。でも、分からなくてもいいから理系のお話がしたいというお客さんや、メガネ男子と接触したいというヲタク層の支持を理解するうちに楽しくなってきたとか。
「各界で働いている博士同士の会話も楽しいんですよ。最初はただお話するだけで精一杯でしたけどね。やっぱり研究している人たちってみんな、自分のやっていることを一般の人にも知ってもらいたいっていう欲求があるんですよ。だから自分も半分お客さんのようなものです」と、目をキラキラ輝かせながら語ってくれました。
もちろん、研究分野についてのお話もガッツリとお話してもらいました。ぼらんハカセは工学部物質科学工学科材料工学で鉄鋼冶金(やきん)を専攻。現在は太陽電池の基板研究に携わっているということでした。話の内容は分かったような分からなかったような……とりあえず、結晶の濃度が均一なことが発電に重要だから、どーのこーの……。ごめんなさい、聞き手がスカポンタンで!
まぁ、かわいいメイドロボ(ハカセ)がカフェを作ったという設定もありますので、そういうのが好きな人にもお勧めです。にしても、凄いお店でした。次に出店されるのはSFイベントの「TOKON」かな? 働いている博士たちからも愛されているカフェなので、ちょっとお話を聞いてみたいって人は、敷居もそんなに高くないですし、訪ねてみてはいかがでしょうか。ちなみに、過去に論文を手伝って欲しいと言って来たお客さんもいたとか(汗)。
最後に気になったことですが、何故かここで働いているハカセは、コスプレイヤー率が高いです。博士号を持っているということは、どんなに若く見積もっても27、8歳のはずなんですが……見た目少女というか少年というか……。接客してくれたぼらんハカセにこっそり見せてもらったお写真、『ローゼンメイデン』蒼星石が物凄く似合っていたのですが……。もしかすると、若返りや性別を替える方法の研究をしているハカセが、スタッフの中にいるのかも知れません。
(取材・文=田辺青蛙)
まあ、理系でも文系でも結婚できるなら
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