創刊1周年記念号の「GINGER」が見せたのは、「迷走」という現状
自立した女性の為のファッション誌「GINGER」の5月号。表紙は、香里奈&山田優&西山茉希という看板モデルが大集合。赤文字系でも青文字系でもない、唯一の雑誌を作りたかったであろう「GINGER」ですが、結局は赤文字系のモデルを使うことになっている現状が見える表紙。奇しくも創刊1周年記念号の今月は、表紙からいろんなこと(迷走)を考えさせられます。というわけで、早速トピックからチェックしていきましょう。
<トピックス>
◎買うべき春モードBest50
◎25才からの「体型演出服」大研究
◎春のリアル着回し50の実例
◎やせる! 都市伝説
■「大人可愛い」ブーム終息へ
1月号あたりから多様しまくっていた「大人可愛い」という言葉を、どうやら今月号から自粛している模様。実際クールなアイテムが増え、「大人可愛い」の文字もほんの数箇所にひっそりとあるだけでした。女性誌から「かわいい」表記が消え、いつかは「可愛い」もなくなるだろうと思っていたら、ティーン誌、20代前半の雑誌などからはすっかり消えた模様。残るは「VERY」世代以上といったところでしょうか。そこから「可愛い」がなくなるまで、何年もかかりそうですが……。
そして、「大人可愛い」が消えた途端、今月号で幾度となく使われているのが「美BODY服」というワード。読みはおそらく「びぼでぃーふく」だと思うのですが、イマイチ馴染めない貴女、迷走中だと思って流してあげてください。来月号にはきっと、また別のキャッチが出てきますので。
■あの頃のパッションはどこへ!?
先月号に比べ、なんと100ページ以上も増量した今月号。その理由は、洋服ブランドや化粧品会社とのタイアップ広告の多さ!! 「アンタイトル」6ページ、「スワロフスキー・ジャパン」8ページ、「クリニーク」8ページ、「SANYO SHOKAI」4ページ、「フランドル」4ページ、「オンワード樫山」4ページ、「ノーリーズ」4ページ、「アルビオン」4ページ……など、書き出すとキリがありません。広告が増えることは、雑誌の活性化に繋がるため喜ばしいこと。しかし、どのページもワンパターンのバック紙で、事務的に撮った写真を並べただけといった印象。手をかけた編集記事と馴染ませようという気が全く感じられません。以前の「GINGER」は、タイアップ広告にまで工夫をこらし、読者を楽しませようという精神が伝わってきたのですが、あのパッションはどこへ行ってしまわれたのでしょうか。
■倉木麻衣先生の目が……
スペシャルインタビューと題し、超美人アーティストの倉木麻衣先生がご登場。インタビューとメイクページで、計10ページも出ておられるのですが、とにかく扉ページの写真のお顔! 目が怖すぎというか、お直しをされた方特有の無表情というか。ちなみに、こちらもコーセーの「エスプリーク プレシャス」のタイアップとなっております。
■亀田興毅が「亀田ロール」をPR♪
ダイエット特集『やせる!都市伝説』には、「ダイエットにまつわるウワサの実態を、審美眼を持った賢者たちに大調査し、GINGERが総力をあげて検証しました!」と期待をあおるリードが。しかしその内容は、「肉を食べるなら、揚げるより焼くか蒸す」「炭水化物を減らす」「バランスよく食べる」「朝フルーツを食べる」「ミルクを豆乳にする」など超普通のことばかり。全然「都市伝説」じゃないじゃん! 普通じゃないことといえば、ダイエットアドバイザーとして登場した亀田興毅が、「オレのご褒美は亀田ロール。今もめっちゃ食いたいもん。1切れ200kcalくらいだから、ポテチより全然いい」と、自分がプロデュースしたロールケーキを宣伝していたことくらいでした。興毅はやっぱり自分押ししてくるか!
良いところも、ツッコむところも、あまり見当たらなかった「GINGER」5月号。もしや、会社から「とにかく広告費増やせ」と言われる→庶民的なブランドとのタイアップ記事を急に増やし、雑誌の高級感が落ちる→編集部員のモチベーションが下がる、というスパイラルに陥っているのでは? と、勝手に予想してみました。当たってても、当たってなくても、この分厚いファッション誌を頑張って作り抜いてください。いちファンとして一字一句漏らさずに、毎号読ませていただきますから!
(林タモツ)
肉食獣の見本市か!?ってな表紙
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