『ヤマトナデシコ七変化』に見る、ジャニーズドラマの限界
いわゆる「イケメンドラマ」括りのつもりであろう『ヤマトナデシコ七変化』(TBS系)がようやく終わった。だが、イケメンドラマとしてはどうだとか語る以前に、これを見続けるのは苦行だった~。イケメンドラマの成功作『花ざかりの君たちへ~イケメン☆パラダイス~』(フジテレビ系)にしたって『メイちゃんの執事』(フジテレビ系)にしたって、物語がトンデモレベルで荒唐無稽なのは同様だ。なのになぜ、視聴ターゲットから外れた人間も巻き込めるほどの数字を獲得できたか。最大の理由は、小栗旬、水嶋ヒロ、佐藤健を始めとするイケメン担当者が魅力的だったからだろう。この「魅力的」というのは、わかりやすい外見的要素では決してない。そりゃ売れっ子俳優なんだからある水準以上のルックスは備えてる。でもそれは、テレビドラマに出演できるレベルの役者ならほぼ全員にいえることだ。
じゃあ、『イケパラ~』と『ヤマト~』の決定的な違いって何よと言えば、それはもう一も二もなく、イケメン軍団全員の壮絶なまでのイケメン役者偏差値の低さだ。基本、こうしたドラマの主要視聴者層が女性である限り、「ヒロインが羨ましい」「あんな風に姫扱いされたい」感情は芽生えるわけだが、『ヤマト~』はまず、ヒロインのスナコになりたいという気持ちがこれっぽっちも沸かない。
じゃあなぜ羨ましくないのか。その理由はまず、致命的に芝居が下手だってこと。もし制作者が「女はイケメンに演技力なんか求めてない」と思っているとしたら、それは視聴者をナメ過ぎだ。
でもそれ以上に、ジャニーズでイケメンドラマを作るのはさすがに無理があるってことに、いい加減ジャニーズもテレビ局も気付いて欲しい。いや、たぶんテレビ局は気付いてるんだろうけど、今更手を引けない部分もあるんだろう。だが、視聴者からすればそんな事情は知ったこっちゃない。今のジャニーズに、主人公・恭平のように「美しさのせいで人間不信に陥った」設定を背負わせて説得力がある人、いる? ファン以外で納得できる人、いる?
水嶋ヒロがスーパーマンみたいな執事だという少女マンガ的設定はファンタジーとして許可できても、亀梨がそんな萌え設定を背負うことにOK出せる一般女性(除:ファン)はほとんどいないよ。だったらせめて、そういう一般層への補助要員を脇で固められれば良かった。『花より男子』(TBS系)では松本潤以上のイケメン責務を小栗旬が担ったし、その小栗が主演した『花ざかり~』では、ジャニーズからは生田斗真が一人、他は城田優や水嶋ヒロといった次世代俳優がこれでもかと集まった。『メイちゃん~』では『花ざかり~』でも印象を残した水嶋をメインに、佐藤健や向井理……。
こうした「主役以外」を『ヤマト~』と比べて欲しい。目ぼしい代表作どころか、ジャニーズに興味がない一般層には馴染みすらない手越祐也に内博貴。そして非ジャニーズの宮尾俊太郎。まあ、この人の本業はバレエダンサーってことで、イケメンくくりに無理があるとかで責めるのはお門違いなのかもしれないが、それならやはり責務が問われるのは、宮尾以外のジャニーズ勢だ。正直言って、こども店長が「かわいい弟男子」というイケメン的責務を一番に担っていたよ。何やってんだい、ジャニーズ。
少女マンガの実写版が荒唐無稽なのは当たり前。それを支えるにあたり、演技力で勝負できないのなら、ファンタジーを背負えるレベルのイケメンを揃えなきゃ、一桁視聴率の乱れ打ちになるのも当たり前。親も手を焼くほどの絶世のイケメン役が亀梨だなんて、これはTBSのイジメなの? 『神の雫』では日テレ火曜ドラマ枠を消滅に追い込んだミスター低視聴率。これといった代表作ナシの「男・上戸彩」。もはやそのハズシぶりは、速水もこみちを超えたといっても過言ではない。こんなこと続けてたら、そのうち金ドラ枠も消滅しちゃうかもよ!?
ジャニーズファンは、それでも「ジャニ版イケメンドラマ」を見てあげるのだろうが、仮にファン全員が見たとしても、ファン視聴率15~20%(約1500万人~2000万人)には届くまい。視聴率100%でも一般的成功に満たない、一部の限定層相手にまだ商売をしたいなら、そんなオタクビジネスは深夜のCSか有料チャンネルでやっとくれ。
(ぽんた2号)
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