“巨匠”鶴太郎、徹子の前ではやはり「徹子の部屋芸人」状態に
今回ツッコませていただくのは、3月11日放送分の『徹子の部屋』(テレビ朝日系)。
ゲストは、片岡鶴太郎。オープニングの「♪ルールル」とともに、「俳優で画家でもいらっしゃる」と紹介されていたが、もともとは芸人である。昔から徹子的にはこの、「芸人鶴太郎」が水彩画や書の分野で巨匠になっている、というのがどうにもスッと入ってこない様子である。
番組冒頭に、徹子が過去の出演に関して「(自身の作品を収蔵している)美術館もある方に、私は暴言の数々を」というフリをし、鶴太郎は「しばらく寝込みましたね。(絵を)やめようかと……」と笑いをとっていたが、序盤は鶴太郎との過去のやりとりをVTRを交えて振り返っていく。そして、
「何回見ても、この”悪口”、面白いんですよ」
と、鶴太郎も”悪口”と言い切っている。
まずはエビを描いた絵。徹子はこれを、「あんまりお上手だから、エビくっつけて」”魚拓”ならぬ”エビ拓”にしたのかと、自由なことを言っている。このエビの絵は、三越の商品のために描いたものらしいが、それに対しても徹子さんは、
「三越も大胆ね」
とコメント。あるお寺の大きな襖絵を描いたといえば、
「アナタにお頼みになった、お寺も大胆ね」
と、再び「大胆」発言。鶴太郎がデザインして徹子にプレゼントした着物の帯の字があまり上手なものだから、「どなたが書いたの? 中国の偉い方が書いたの?」と、上手イコール鶴太郎であるはずがない、という視点があまりに多い。「アナタの絵でさ、美術館できるって、スゴいなって。大胆な人がいるなあって」と、「大胆」ばかり言う。とはいえ、鶴太郎自身は徹子ワールドを楽しみながらトークをしているようで、「あんまり上手すぎるので」と徹子が言えば、「上手すぎるので?……私のものではないと……」と、補足ツッコミを入れつつ番組は進んでいく。
しかし、徹子ワールドを面白がっていた鶴太郎も、番組が進むにつれ、飲み込まれていく。フグの絵を描いたエピソードでは、フグを膨らませるために何度もお腹を触って怒らせるのだが、次第にフグも慣れていってしまうと話す鶴太郎。すると徹子さん、
「ワン! とか言ってみれば?」
違うことをやれば、フグにも新鮮な驚きがあるだろうということらしいが、なんだ「ワン!」って。そして、話がガラッと変わり、
「アナタ、痛風におなりで?」
と切り出す。鶴太郎としては痛風になりかけて大変だったと話すつもりだったのが、最初から痛風ということにされ、慌てて否定しているうちにコマーシャル。そして、CM明け。
「この際、ハッキリ申し上げておきます。この方は、痛風じゃないです!」
大袈裟に発表しちゃった。CM明けに、なんの宣言だ。このあたりからグダグダになってきていて、鶴太郎がダーウィンやゲーテ、ニュートンなど、過去の偉人も痛風で苦しんだらしいという雑学を披露すれば、「あんなに忙しくしてたのに、何食べたんでしょうね」と、ピュアな疑問にとらわれる徹子。そしてまた、
「痛風だったの?」
鶴太郎が、「だから、違うんです!」と再び強く否定すれば、「アナタじゃないのよ、ニュートンのこと」と、完全な徹子ペース。結局、鶴太郎画伯も一人の「徹子の部屋芸人」状態でしかなくなっている。そんな徹子に、「オチを言ってから話をさせる」とか「説明しないでください」と、指摘する鶴太郎。「”ちょっちゅねー”で有名な、片岡鶴太郎さんです、どうぞ」というようなフリをして、「若手芸人をそうやって潰してるでしょ!」と、徹子のムチャブリを果敢に指摘するものの、唐突に徹子から、「マッチのコンサート見て、突然思い出したの! アナタのこと」と全然違う話をされてしまう。すると即座に、
「マッチでーーす! ♪ギンギラギンに……」
と、芸人魂全開、マッチのモノマネで返す鶴太郎画伯。やっぱり、徹子は芸人・鶴ちゃんが好きなのか、「マッチに言っときます」とこのモノマネにちょっと嬉しそう。しかし、「『ギンギラギン』が一番好き」とか「(歌詞がすごい)”ギンギラギンに”で”さりげなく”ですからね」とかってもう、マッチの話になってますけども……。”巨匠”をもってマッチの話に置き換える……。あなたが一番「大胆」です、徹子さん。
(太田サトル)
鶴太郎の絵がトイレにある飲み屋ってお通し代が高そう
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