「an・an」創刊40周年号は江原、美輪、清史郎&アンダーヘアでいいの?
1970年の3月3日に創刊した「an・an」。よって今週号は創刊40周年の記念すべき一冊となっています。「an・an」ブランドが低下したと言われて久しいですが、「アンノン時代」や「好きな男/女」特集、セックス特集など、女性に新たなライフスタイルや価値観を提案し続けてきた歴史を思い返せば、敬意を払わざるを得ないでしょう。ただ、それだけに創刊40周年号が「スピリチュアル」と「加藤清史郎」でいいのかという疑問が付いて回ります。でももしかしたら、江原さんの胸打つような御言葉と出会えるかも!? な~んてことはハナから思っていませんが、お祝い号ですので、いつもより広い心で拝読したいと思います。
<トピック>
◎江原啓之さんから本誌読者へ32のメッセージ! 現代女性の生き抜き方読本
◎美輪明宏さんのオーラのお言葉
◎鏡リュウジさん監修 ”大惑星”が教えてくれる、こんな時代の道標と幸運の掴み方
◎seishiro Love(はあと)
■江原啓之が「an・an」を次のステージへ(?)
第1特集は江原さんのタイタニックポーズ写真で幕開けです。そのリードにこの特集の意義がつらつらと書いてあるのですが、イチ「an・an」読者として悲しみに涙を流した文言が並びますので、ご紹介します。
20世紀から21世紀という激動の100年間。日本の中で、そのあり方が最も変わったのはほかでもない、”女性”ではないでしょうか。社会の重要な役割を担っている現代の女性たち。反面、生き方のメニューが豊富になった分、誰をお手本にしていいか分からない状態です。(略)「自分探し」という名の「自分がどう見られるか探し」は終わりです。いま、現代女性たちに必要とされる重要なキーワードをここに読み解きます。
え~~~、「an・an」なんて、「自分がどう見られるか探し」だけを追究してきた媒体なのに、終わっちゃうの~~?? しかもその終止符を、江原啓之に任せて大丈夫? と不安になってきたので、江原サンのページを隈なくチェックしていきましょう。
「婚カツ」「セックス」「親や家族」など32ものキーワードを”読み解く”という趣旨なんですが、言葉が上品なだけで「居酒屋のオッサントーク」となんら変わらず。全然心に響かないのは、私のオーラも魂も汚れきってるからでしょうか。例えば、「職場での人間関係」に悩む人には、とっておきの方法を教えてくれるのですが……。
「職場で座っている椅子のクッションの中に、苦手な人の名前を入れた紙を入れます。相手を押し潰しているという意識によって、相手にきっぱり言い返したりできるようになるのです」
って、「愛と占いの情報誌」というキャッチコピーで鳴らした「My Birthday」(実業之日本社)のようなことが書いてあります。これで現代女性が救われるのかなあ。もしや思春期に読んだ「My Birthday」を思い出して、元気になるっていうメタファー? さすがは江原&「an・an」の最強タッグ、複雑構造で読者を置いてけぼりにしっぱなしです。
■ショタとアダルトが入り混じり
今週号のもう一つの柱が、天才子役・加藤清史郎クンに迫った「Seishiro Love(はあと)」です。ストリートファッションからトラディショナルスタイルまで、4パターンの衣装で清史郎クンをかわいらしく撮っています。ドラマで共演した大泉洋との対談や一問一答、仕事現場の密着など、それらしくページを運んでますが、コレって完全なるショタ向け企画ですよね? 最近、”腐”にすり寄っている感の強い「an・an」だからこそ、その疑惑は強まるばかり。じゃなければ、20代女性(独身)をメーンターゲットに据えている「an・an」で、この特集を組む意味が読み取れません。
というのも、この企画から学べることは、清史郎くんの私服が『ちい散歩』(テレビ朝日系)におけるちいちいと丸かぶりだということと、芸能界デビューが『皇室特番』の再現VTR(皇太子様の授乳期役)だったという、人生に1ミクロンの刺激も与えてくれない情報です。それでも、創刊40周年記念号に掲載されるのだから、「an・an」としては「今取り上げるべき」モノだったのでしょう。
そして、以前にもご紹介した、「オトコノハダカ」では、とうとう男性のアンダーヘアをバッチリ収めています。前回は「影かヘアか」とこちらを惑わしていたのに、今回は直球勝負です。ドーンと出ていますよ、毛が。「こども店長」といった舌の根も乾かぬうちに、アンダーヘアを掲載してくるあたり、「an・an」の全方向制覇という計算高さが伺えます。これも記念号だから許されるの?
というわけで、創刊記念号だからか安パイを狙っての「スピリチュアル」特集を持ってきた「an・an」。ただ、前出の江原サン、美輪サン以外にも鏡リュウジ、昭島レイラ、鈴木香月など人気者を連れてきた上に、京都&善光寺の宿坊を紹介し、特別付録には江原サン監修のプチミラー。お金のかけどころが間違っているような……。フルコースを頼んだのに、メインディッシュしか出てこなかったような今週号、しばらくゲップが鳴りやみませんでした。
大人になったときに、マガハファミリーにしたいもんね
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