「下まつげは田植えの要領で」魅惑の世界が広がる「I LOVE mama」
「かわいいちびコがいるから、ウチらはキレイなママでいられる」それが「I LOVE mama」。独自の言語を操りながら、ママサー(ママサークル)で仲間を増殖しつつ、デカ目盛り髪で今日も向かうは100均! 今月もそんな平成ママたちの日常(一般的にはかなり非日常)の世界をのぞき見させていただきます。
<トピックス>
◎春一番メイク発表会
◎カモフラ春ニセ着回しコーデ!
◎美ママ5人の30days節約料理カレンダー
■つけまはその1mmがキモ、らしい
巻頭は「春のもぎたてフレッシュ祭り」と題して、メイク&ファッション大特集です。「アイラインは目尻から2mmはみ出す。幅は3mm!」など、客観的データに基づく解説はさすが「小悪魔ageha」直系。特に命のつけまつ毛(つけま)に関しては「束感を意識してオン」「下まつげは田植えの要領で」など、プロスペックな表現が飛び交います。
ちなみに、この春の流行は「ナチュ盛り」だそうです。「ナチュラル」「盛り」って完全に真逆ですよね? と穿った見方をしてはいけません。下つけまを1mm短くするだけでアラ不思議、春のナチュ盛りメイクになるんです。つけまの量と長さで季節を感じるとは、ギャルママ文化の神髄に触れた思いです。一般人にはいつも同じに見える”盛り”も、日々マイナーチェンジを繰り返しているのだと考えを新たにしました。
■「ぽくね?」でOKのお得な世界観
大半の美ママ(美しいママということらしいです)たちは専業主婦。お金や時間に何かと制約がある彼女たちにとって、おしゃれも創意工夫が必至。字ヅラだけ見るとハングルな「カモフラ春ニセ美ママ着回しコーデ」では、持ち服にトレンド一品プラスで乗り切る春オシャレを徹底研究。「I LOVE mama」において”ニセ”はマイナスワードではありません。”本物志向”が薄い女性には、「ぽくね?」で十分。”ニセ”を恥ずかしいと思わない鈍さ、図太さって主婦としては必要ですよね♪
■ダイソー、キャンドゥ、マジで神
そんな”ぽくね?”世代の彼女たちにとっての神、100円ショップを大フューチャーしたのが「ウチの100均マル秘活用テク!」です。網目の板、突っ張り棒、S字フックなど地味目なグッズを多用した収納技は節約主婦雑誌と大して変わり映えはしませんが、ハートの布団叩きとかピンク色のしゃもじを100均でゲットするあたり、さすが美ママ。読者アンケートでも、100均で買うものランキング2位にキティちゃんグッズ、5位にコスメがランクイン。また、1回の買い物で1,000円以上使うママが全体の半数以上いるというから驚き。「塵も積もれば山となる?」という編集部コメントに、老婆心ながら激しく同意です。
■10代出産の理想と現実
今号一番刺さったページが「10代で出産したママたちのつらバナ」。8人の美ママたちが語る壮絶過ぎる出産秘話。夫の暴力、借金、浮気、中学生で妊娠、親からの反対……。「DV被害者の施設におった頃、(子供と)ふたりで生きていくって決めたんや」「鉄工所でバイトしてお金を貯めながら、自立するために必死で働いたで」など、お国訛りの口語体がリアルで引き付けられます。10代で妊娠出産する女子の増加が一時期話題になりましたが、裏を返せば若い女の子たちに妊娠出産という選択肢しか与えられない社会ということでしょうか。10代出産は、勧められることでもけなされることでもありませんが、DV夫に悩んだ経験がある美ママが「経済力も知識もなかった」と語っているように、やはり勉強はしておくべきです。でも社会のアレコレを学び過ぎると婚期は確実にラナウェイしますから、どっちにしろ永遠のテーマですね。
日本代表なのに腰パンとか、横綱なのにファン太郎とか、”●●なのに叩き”が好きな日本だからこそ、盛ってるのにママという「I LOVE mama」のアンチテーゼは有効なのかもしれません。それよりも、ちびコやメイク、100均など大好きなものを語る眼差しが余りにも無垢でストレートなことが心配。”愛”という名の元に、慎ましやかな生活も厳しい現実も受け入れようとするその姿勢は素晴らしいと思うのですが。世の中の悪い人に騙されないことを願いつつ、「I LOVE mama」月刊化一周年記念の来月号に期待です。
(西澤千央)
「案ずるより産むがやすし」に、共感と疑問
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