辻希美だけが叩かれるのはおかしい! ほかにもいる不可解ママタレ
国母問題で忘れかけられているが、先日、辻希美がお通夜に出席した際の出で立ちが「非常識」と話題になった。だが、もともと辻は常識の枠にとらわれない「ママっぽくないママ」ということで人気を呼んだはず。それに対して一部の口ウルサイ主婦が眉をひそめるという構図まで含めて辻なのだから、ある意味批判も承知の上。そもそも「カリスマ主婦」と無条件に持ち上げられることの方がおかしい。
辻に限らず、ここ数年「ママ/主婦」をウリにする女性タレントが増えた。不思議なことに、彼女たちは「ママ/主婦」を肩書きにした途端、なぜか自動的に「カリスマ」だの「憧れ」だのという称号まで手に入れている。「本来、そういう立ち位置じゃなかっただろう」と思われるタレントまでメディアに持ち上げられている。もはや「ママ/主婦」も芸のうち。そこで今回は、昨今不当に格上げされている”ママ/主婦タレント”をご紹介したい。
まず、既婚者というだけで猫も杓子も掲載して、ママタレバブルを生み出している元凶ともいえる雑誌「saita」(セブン&アイ出版)3月号を見てみる。そもそも、このような庶民的主婦雑誌に載ったところで大したステイタスじゃなかろうと思う人もいるかもしれないが、言い換えれば庶民的主婦雑誌に出ているということは、それだけ一般的に認知されているという証しでもある。
・三船美佳
「三船家のハッピーエッセンス」というコーナーを連載している。一般的に三船家の幸福の素は、○○学会と思われているはずだが、意味深なタイトルだ。コーナー自体は当たり障りない育児・家庭情報で「別に三船美佳じゃなくても……」という印象。悲しいかな16歳の幼妻というウリを覚えている人はもういない。今は27歳の普通の妻。
・藤本美貴
「ミキティの主婦1年生」という連載がスタート。今、ミキティは一生懸命幸せアピールしてこのジャンルに食い込もうと必死だが、必死な様子が視聴者に丸分かりなので辛い。無理に主婦層に媚を売る必要はないのでは? ハロプロ内の権力闘争でサソリのようだった雄姿が懐かしい。願わくば幸福な妻としてではなく、生涯有毒女子として生き抜いてほしい。
・青木さやか
「青木さやかの育児はじめました!」という育児日記(現在は妊婦日記)を連載。なんのひねりも笑いもない、ごく普通の日記。ちなみにこの人、1月に開催された雑誌「GLAMOROUS」(講談社)主催の写真展「Glamorous Mama グラマラス・ママ〜美しき12人の愛のかたち〜」のモデルのひとりに選ばれていた。妊娠特需もいいとこだ。産後は芸人として復帰できるのだろうか。
・市井紗耶香
「市井紗耶香のナチュラルライフ」というコーナーを連載。ハロプロ出身既婚組は総じて「既婚」ということ以外にウリがない。市井とナチュラルライフって全然結びつかないし。そもそも市井と主婦層の接点もゼロに近いし。世の主婦にとっては「市井? そんな人もいたね」くらいの認識しかない。その上、顔が別人のようになっていて、ただでさえ印象の薄い過去と回路をつなげることが難しい。思わぬところで難易度の高い記憶力問題に出くわした印象。
・hitomi
「hitomiのHello! Good-bye」という対談コーナーを連載。本業はどうしたとしか言いようがない。
・その他、連載は持っていないが、住谷杏奈(レイザーラモンHGの妻)がファッションページ、東原亜希が料理ページのモデルとして登場。「住谷杏奈さんのお取りおきアイテムは……」とまるでおしゃれママ代表のような扱い。東原亜希は「イギリスに住むようになってから料理のバリエが広がりました」と海外在住セレブの扱い。2ちゃんねるの既婚女性板ではふたりとも叩かれ要員であり、お茶の間的にはふたりとも「誰コレ」状態である。どういう理由でもって登場しているのか謎。子持ちという理由しかないのだが。
もうひとつ、ストリート系ママ雑誌「nina’s」(祥伝社)3月号。重鎮の千秋はいいとしよう。一色紗英も、ちはるも目をつむろう。しかし、リア・ディゾンの連載は必要なのか。グラビア界の黒船が”ビッグピーチ婚”して出産。母となった今も、この雑誌にはそぐわない妙なエロスを醸し出している。さらにモデルとして登場している坂下千里子、吉岡美穂、山口もえ、乙葉、MEGUMI、そして市井紗耶香、辻希美。誰も彼も”現役”時代は同性の共感を得た試しがなさそうな面々が、「ママ」という共通項一点で突破している。強引すぎる。
おそらく子持ち女性にとってみれば、誰が連載してようと誰がモデルになってようと、大して気にしてないのだろう。毎日が慌ただしく大変だから、とりあえず”芸能人”と呼ばれる人が「私も子育て大変」「こんなトラブルあるよね」と悩みを共有してくれるだけでうれしい。その気持ちは分かる。だが、そうして女性タレントに対して甘くなってはいけない。女性タレントは女性から批判されるために存在する。それをキモに命じて、これからも容赦なくチェックを入れるべし。辻ちゃんを超える非常識ママタレ大歓迎だ!
(亀井百合子)
亀井百合子(かめい・ゆりこ)
1973年、東京都の隣の県生まれ。編集プロダクション勤務を経てフリーランスライターに。ファッション誌やカルチャー誌のライター、アパレルブランドのコピーライターとして活動中。
『辻ちゃんのリボンDays (ワニブックス 美人開花miniシリーズ) (単行本)』
NO RIBBON NO LIFE!
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