コージー冨田が体現してしまった、千原ジュニアの「ユニーク仕上げ」
今回ツッコませていただくのは、2月8日放送分『やりすぎコージー そうだ営業へ行こう2』(テレビ東京系)。番組終盤でふいに放たれたのは、あまりに刺激的な”猛毒”だった。
それは、モノマネ芸人・コージー冨田の「今イチオシのネタ」として披露された「普通のエピソードを千原ジュニアさんで喋るネタ」である。
もちろんこれ、言葉通りに受け取れば、「普通のオチのない話も千原ジュニア風に喋れば面白そうに聞こえる」、ジュニアの話術への賞賛のはずである。
だが、「普通のエピソードですよ、オチとかないんです」と前置きした上で見せた、完成度の高すぎるモノマネは、数多の批判よりも雄弁な、猛烈な皮肉に聞こえて仕方がなかった。
「×○□(モソモソ喋りで)、飯食べて『美味しいな~~』ゆうてっっ、あ、★×□『ほんじゃ行こか~~』ゆうてっっ、行ったんです(終了)」
身ぶり手ぶりをまじえ、もったいつけた「間」を置き、緩急をつけつつ、さも面白そうにフツウのことを言う姿は、千原ジュニアの完全コピーに見える。
千原ジュニアがオードリー春日を評して言った「ユニーク仕上げ」(フツウのことをユニークに聞こえるように言う)という表現は、残念ながら、まさしくジュニア自身にあてはまると思える場面が、テレビでは度々ある。
同じことを何度も繰り返し、大きな声で言う――ダウンタウン松本の作った笑いの教科書に沿って”ユニークに仕上げ”つつ、ここまでの地位にのぼってきた手腕は、見事と言わざるを得ない。ユニーク仕上げの達人レベルだと思う。
ちなみに、コージーに対し、東野が「(千原)せいじの(モノマネ)やろうとは?」と聞くと、コージーの答えはたったひと言。
「『チハラトーク』観たんですけど(せいじのことは)全く入ってこないっていうか」
これがオチとなりバラエティー的にはうまくまとまったが、本当のところ、笑い事じゃない気がする。一流のモノマネ芸人の鋭すぎる観察眼にひっかかったのは、ジュニアの「普通のことを面白そうに言う」という特徴に他ならなかったのだろうから。
ところで、こんなモノマネをされた当の本人は笑いつつも一切コメントしなかったように、千原ジュニアは「本当に観察力のある人」には脅威を感じるのか、警戒の色を見せることが多い。
たとえば、”あだ名名人”有吉と一緒の番組に出るとき、ジュニアが言葉少なになったり、こわばった顔になるのも、最近よく見られる特徴の一つだ。
春日とは次元の違う、ハイレベルな「ユニーク仕立て」がバレることをいちばん気にしているのは、千原ジュニア自身なのではないだろうか。
(田幸和歌子)
ジャックナイフも”こなれた”笑いの前に折れた?
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