「若くてオシャレな私」は終焉! 「VERY」が打ち出した「婦人公論」的な世界観
実は先月号の予告を見たときから、ず~っと心待ちにしていた「VERY」3月号。というのも、予告に「エレカ様vs.ピー子のトレンド春バッグ&シューズの選び方」(仮)という企画名が掲載されていたからです。エレカ様は存じ上げていますが、「ピー子」って……。「VERY」ウォッチャーの私が見逃がしていたのかと思って、バックナンバーまで調べる始末。それでも「ピー子」の存在が載っていないとなると、やはり新キャラクター!? その素顔が今月号でいよいよ公開されます!! はやる心を押さえて、まずはトピックから。
<トピック>
◎素敵な30代はインプット上手
◎井川遥さんの復帰宣言
◎家具はヴィンテージMIXが新鮮です
■”ピー子”の正体は……
まずは、どうしても「ピー子」の正体が知りたいので、「エレカ様vs.ピー子のブランド春バッグ速報」からチェックしていきましょう。復習を兼ねてお知らせしますと、エレカ様とは「VERY」内の架空のキャラクターで、フルネームは沢登エレカ(33)。巷で「妙に幅を利かせている」と揶揄されている、カートママ(高級ベビーカーで公道を我が物顔で歩いているママさん)代表で、出没エリアは六本木ヒルズ、銀座。外資系企業で勤務→上司と結婚後、ベビーカーでもトレンド性の高いファッションスタイルを楽しんでいるそうです。
一方、初登場のピー子はというと、世田谷区の二世帯住宅に住む7歳と4歳の母親で、フルネームは駒ヶ峰P子。プロフィールからその名前の由来を想像するに、駒沢→駒ヶ峰、PTAなどに積極的に参加→P子ということのようです。ちなみに、エレカ様とは同級生という設定だそう。
「VERY」読者の中でもカートママを卒業した人も多く、もっと大きな子ども(幼稚園や小学校低学年)を持つ母親らしいファッションを提案するうえで、ピー子的なキャラクターが必要だったということでしょうか。それにしても、沢尻エリカをもじったエレカ様だったので、ピー子もいろいろ想像したのに……。なんかちょっと残念な気がします。次に出てくるキャラクターが「おすぎ」じゃないことを願っています。
■ママチャリだって、オシャレなんです!!
続いては、これまた「VERY」らしい企画、「この春、ママチャリハンサム バージョンアップ」です。小さな子どもを持つ、ママの必需品「ママチャリ」ですが、やはりタダの自転車ではありません。電動付きということもあって、8万5,800円~11万3,400円というちょっと高めの自転車と、”脱・生活感”を目指したトレンチコートのコーディネートで、チャリんこ姿もカッコよく見せてくれます。そうですよね、ママチャリってどう見てもカッコよくないバランスですよね~、と企画の趣旨に賛同していたところ、ちょっと驚きのコーディネートを発見。なんとママチャリ姿+サングラスというコーデ! でも、先日、午前9時の世田谷区で、同様にママチャリ+サングラスのマダムの集団を発見しました。需要と供給がバッチリ噛み合ってることを納得しました! さすが「VERY」、マダムの心をつかんでるぅ~♪
■待ってました、今月号の「お受験の花道」
先月号のレビューでご紹介し、早くも一部で話題騒然(?)の連載「お受験の花道」。今月も独自の突き抜けた世界観を作り出しています。今月号のお受験ママは、4歳の娘を付属の幼稚園に合格させるため、夫を”父親セミナー”に通わせ、半年間で13kgも痩せさせて、見た目を改造させたというエキスパート。ところが改造しちゃったのは見た目だけじゃないようで……。
――(略)それにしても素晴らしいご主人じゃないですか。
「それが……私にとってショックな出来事が、受験申し込み数日前に起こって……。夫の携帯がテーブルの上に開いたまま置いたあって。この話、続けてもいいですか?」
――いや、やめてください。編集長に怒られます。
「いけないと思いつつ、つい見てしまったのです……」
――話すんですね。
「何人もの愛人からのメールやここでは言えないような画像が」
――何人も。それでご主人はどのような言い訳を。
「『見るな! この携帯にはお前を幸せにするようなものは何も入っていないんだ』と目を覆われました」
と話は急展開! まるで「婦人公論」(中央公論新社)の読者体験手記の様な世界観が、セレブ雑誌「VERY」を覆いはじめました。最後のオチも、結局旦那のオンナ関係。「もはや、受験は関係ないじゃん!」と言いたくなりますが、30代・40代の悩みを集約すれば「旦那/自分の浮気」「嫁姑」「お受験」「ママ友」というカテゴリーにまとめられるのですから、今まで「VERY」がそこに触れずに夢の世界を見せていてくれたことに感謝。今までは、「自分が若くて、オシャレであればよい!」という価値観が支配していた中で、この変化は革命的! いよいよ、「婦人公論」側にハンドルを切るのでしょうか。
このわずか1ページの連載の中に、「VERY」の今後を見たような気がして、「VERY」の展望に思いをはせてしまいました。ちなみに来月号の特集は「普段着しか、いらない!」です。その下に、「あなたの『女力偏差値』は?」という見逃せない一文が載っていましたので、来月号も張り切ってレビューを書きたいと思います!!
(小島かほり)
姑に相談すればいいのかしらん
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