上品な仮面の下に、下世話な世界が広がる「美STORY」マジック!
「私は時を恐れない」のキャッチコピーを掲げ、40代女性の圧倒的な支持を受けている「美STORY」が女性誌レビューに初登場です。美容業界の未来を握るのは40代以降と言われいる昨今の世相を反映し、売上もおおむね好調といわれている「美STORY」。早速、中身をチェックしてきましょう。
<トピック>
◎美肌は1日にしてならず
◎知ってますか? ザ・45歳の壁
◎40歳からの美魔女検定
◎花田景子さん、「初めてウィッグ」実況中継
■巻頭インタビューから濃厚! 浅丘ルリ子が半生を振り返る
もくじをめくってすぐに目に飛び込んできたのは、女優・浅丘ルリ子の「40代へのメッセージ」というインタビューページ。美容雑誌ということで、「メーク大好きな」という冠をつけてのインタビューなのですが、リードから編集部の悪意が感じられます。
(略)インタビューに登場することもほとんどない浅丘ルリ子さんは、ミステリアスな女性。ところが、個性的なアイメークの下には飾りけがなく面倒見がいい、姉御肌の素顔が隠れていたのです。
浅丘ルリ子といえば、黒柳徹子と並ぶ”素顔隠し系”アイメークの第一人者。「個性的なアイメーク」はそれ以外の表現が見つからないとして、「素顔が隠れていたのです」は暗に「厚化粧」を揶揄しているように思えてなりません。深読みし過ぎ?
しかし、インタビュー自体は「婦人公論」(中央公論新社)を思わせる、ざっくばらんな内容。石坂浩二との離婚に触れ、「一番ショックだったのは『僕もそろそろ60歳だし、子供が欲しい』と言われたこと」と語っています。石坂さん、気付くの遅過ぎですし、この発言自体、妙齢の女性に言ってはいけない言葉ですよ。自称・博学なのに、デリカシーがないんですね!
また自身のメークにも話が及び「45歳くらいで、肌の衰えを感じました。そのころから仕事場では『照明・命』です(笑)」と、自虐ネタまで織り込まれています。さらには34歳のころは34kgだったのに、大分太って現在は42kgだということ、騙されて7,000~8,000万円取られたことがあることまであけすけに語り、まさに「婦人公論」ワールド。美容雑誌の気楽なインタビューだと思ったら、意外と侮れない濃厚な内容ですよ。ぜひ、お見逃しなく。
■美容雑誌の真骨頂は、セルフ「顔ぞり」
雑誌の8割を占める美容情報は、「固形石鹸BEST10」やら「佐伯チズ直言『あなたのローションパックは間違っている』」などてんこ盛り。その中でもサイゾーウーマンが僭越ながら、今月号のナンバーワン企画と認定したのが、「セルフ『顔ぞり』は肌美人のたしなみです」です。それによると、顔のうぶ毛はお肌をくすんで見せるようで、「顔ぞり」は白美肌への近道なんですって!
顔のうぶ毛や髭の話は女性の間の小さなタブーですが、そのタブーをこんなにポジティブに解決してくれるなんて、さすが「美STORY」。「基本的なそり方向と添え手」という基本を示し、気をつけるポイントは直球なキャッチで教えてくれます。いわく、「髭があったらあか抜けない!」「顔の凹凸を一手で剃る『山越え』『谷越え』は絶対禁止!」「眉を制する者は顔ぞりを制す!」。こんなにも全力投球で、顔ぞりをフィーチャーする雑誌がありましょうか。そして、「シェービング終了後はマスクをしなくちゃ損!」とあるのですが、ページの端から端まで読んでも、何が損なのかは書いていませんでした。残念です、もったいぶらずに教えてください!
■”夜の世界”が40代をも浸食
10代、20代の間では「小悪魔Ageha」(インフォレスト)の世界観がブームとなり、コスメの”ヨル化”が指摘されていましたが、その波は「美STORY」にも波及しているようです。今月号でも「実例”朝ママ”VS.”夜ママ”美肌の流儀」と、祇園の芸妓・佳つ乃の連載ページ「佳つ乃さんに習う『今日から京美容』」の二つも”夜の世界”が入り込んでいます。
”夜のママ”からはその不規則な生活でも美を維持する秘訣を教えてもらえると思いきや、午前7時には起きてるし、お昼からゴルフ行くしで、一般の主婦よりも健康的な生活を送っているようです。その他「スキンケア」や「美肌食」など7つの項目で対決しているのですが、圧倒的な差がなくて、対決にならない内容。一方、佳つ乃の連載ページの今回のお題は、「着物メークと洋服メーク、2つの顔を持つと楽しおす」(京都弁)。確かに、着物をきこなす”プロ”にメークを教えてもらうのは一理ありなのですが、そのメークが本当にプロ仕様。アイラインの太さ、角度、何をとっても”素人”には見えず、これをそのままマネしたらとっても痛い目を見そうです。無理に”夜の世界”を入れなくても……。40代からのお水メークは、それを見せられる方もちょっとつらいッス。
■ミス・ソフィアがウイッグの年齢に!
巻末にさりげなく展開されていたのが、「花田景子さん、『初めてのウイッグ』実況中継」です。言わずと知れた、元横綱・貴乃花夫人で、貴乃花部屋のおかみさんでもある景子さん。恐らく、広告記事だと思うのですが、旦那がまた問題児/異端児扱いされている昨今、ウイッグを初体験してる場合じゃない、と各方面から怒られそうな呑気ぶり。しかもミス・ソフィア(ミス上智大)で、フジテレビアナウンサーの中でも「美人」と誉れ高かった景子さんなのに、「年齢とともにコシがなくなり、頭頂部がペタンとしがち」と生々しいコメントまで紹介されています。担当編集者と仲が良かったのか、金銭的に困窮しているのか、このページに登場した意味まで考えさせられる、重みのあるページでした。
今月号を振り返っても、浅丘ルリ子しかり、顔ぞりしかり、夜の世界しかり、明け透け感丸出しの「美STORY」。ほかにも顔パックしながら掃除機かけている読者モデルや、はるな愛のスッピンアップなど、美への執念が伝わる凄まじい写真も散りばめられていました。セレブ40代の愛読誌「STORY」の姉妹雑誌とは思えぬ下世話感ですが(だからといって「STORY」が上品というわけではないのですが)、それに親しみを感じてしまったので、来月からも細かくチェックしていきたいと思います。
旧・義姉もA・KE・SU・KEでがんばってます。
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