実用よりも脳! 茂木健一郎センセイ提唱の「脳によい料理」とは……
下世話、醜聞、スキャンダル――。長く女性の”欲望”に応えてきた女性週刊誌を、伝説のスキャンダル雑誌「噂の真相」の元デスク神林広恵が、ぶった斬る!
第2回(10/22~10/27発売号より)
並んできました、6,600人の行列に。昨日26日に行われた酒井法子の初公判、どしゃぶりの雨の中、約2時間日比谷公園で立ってました。何人かの女性週刊誌記者や編集者とも遭遇し、立ち話をしながら傍聴券の投票番号発表を待ちましたが、もちろんはずれ。一緒にいた女性週刊誌関係者も全滅でした。
テレビ各局は各社500人以上の人材派遣バイトを雇い、暇な社員を総動員するという異例の体制のようでしたが、女性週刊誌は、もちろんそこまでお金をかけなかったようです。賢明です。当日のニュースやワイドショーで、裁判の再現シーンまでやってたものね。それで十分(負け惜しみか?)。締め切り上も、今週売り女性週刊誌にはのりピー初公判記事は間に合っていないし。
ということで、芸能ネタは来週にして今週はお料理ランキング!
1位 スペシャルインタビュー 茂木健一郎の五感を研ぎ澄ます脳レシピ(「女性セブン」11/5号)
2位 幸せ料理研究家こうちゃんの安うま食材 こう使えば!!(「週刊女性」11/10号)
3位 スリム美人タレント13人の新米ダイエットレシピ大公開!(「女性自身」11/10号)
女性週刊誌のウリのひとつがお料理もの。しかも格安レシピが目立つ。不景気だからね。読者にとっては、高級レストラン情報よりは、よっぽど役立つか。
1位の茂木健一郎は、脳と心の関係(心脳問題)についての研究を行っている気鋭の脳科学者だ。テレビや雑誌などでも最近よく姿を見かける。だが、なぜ料理なのか。結論は「料理は脳によく」「常に料理をしている人の脳は若々しく」「料理はいい女になるための修行」なのだとか。
その理由は、分量や味のバランスなど、五感を研ぎ澄ませて作るからなんだそうだが、それって別に女性が作らなくてもいいってことじゃない。毎日料理を作っている主婦にとっては、確かに福音のようなお言葉かもしれないが、実際に記事を見てみると――。
茂木センセイは完成品がどのような味わいになるのか、脳でシミュレーションするらしい。で、そのアイデアを料理研究家の海豪うるるさん(女性)がレシピ化し、その指導を受けていた。なんだ、センセイ自身はお料理は得意じゃないのね。
そういえば、茂木さんてスピリチュアルカウンセラーの江原啓之さんとも仲良しらしい。だからというわけではないが、脳と料理、なんだか一見科学的なようで、少々オカルトチックな匂いも。茂木センセイが脳に関して話せばなんでもウケる、でもそろそろネタも出し尽くしたから、今度は料理か、なんてノリなのだろう。見上げた商売根性だ。
最後に茂木センセイがアイデアを出し、海豪さんが調理した『脳を幸せにするレシピ』という本の紹介がされていた。パブ記事だった。
2位。人気の料理研究家・こうちゃんこと相田幸二さんの連載ページ。こちらは正真正銘の料理研究家だ。前記の「セブン」の本当の料理連載はグッチ裕三さんによるもの。こちらも筋金入りの料理好き、食べ物好きによる長期人気連載。なんだか一安心。
こうちゃんの今週のレシピは季節柄か白菜で、メインは白菜と牛肉の好き煮風。白菜と牛肉といえば、すき焼き、ってことだが、フライパンでちゃっちゃと作れるところがポイントか。牛肉もすき焼きのお肉ではなく、こま切れを使用しているところからも、ローコスト。やはりこれこそが王道、という料理コラムではある。
でも、なんで2誌とも男性なのだろう。
数年前から、ケンタロウ、コウケンテツ、栗原心平、板井典夫といった男性料理研究家が多く、そして人気だ。女性より嫌味がないからなのか? 最近はイケメンもいて「素敵!!」ってか? この世代のオトコって男女は平等だから料理もしろ、って教育を受けたからか? 今後の研究材料にしたい。
3位。またまた季節柄か、お米のダイエット料理記事だ。辻希美、榮倉奈々、篠原涼子といった人気タレントによるダイエットレシピ、といった体裁だが、実際には彼女たちがブログやインタビューで語った間接情報を元に、ダイエットカウンセラーがダイエットを享受する、というもの。実際にタレントに取材したものではない。
でもお米って炭水化物の代表格だよ。食べてやせるって記事にはあるけど、タレントさんは激務で、しかも影ではきっとすごい努力をしている。これを一般化してはいけない。 普通の人は、新米を食べ過ぎて、この記事を恨むって愚挙だけはしないでください。それだけはお願いします。
(神林広恵)
料理ページだからってハメ外しは見過ごせない
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