現実は見ずに、バリキャリとモテを追及するCanCam11月号
今月号は表紙に西山茉希を一人で登場させた「CanCam」。引きつった笑顔と右目目頭の白シャドウがどうも気になって、カワイイだとかキレイだとかいう発想が全く湧いてきません。さてさて、先月号ではモテ子からの脱却を図ったかに見えた「CanCam」ですが、果たして今月号はいかに!?
<トピック>
◎「東京MIXエレガンス」で秋本番へダッシュ!
◎MIXエレOLみゅうの1か月コーディネート
◎ジルに恋して HOUSE of JILLSTUART12の物語
■結局「モテ」は捨てられず、CanCamはどこへ
先月号で盛んに叫ばれていた「東京MIXエレガンス」(略して「MIXエレ」)を今月もゴリ押しのCanCam。要は「お仕事もバリバリできて、メンズにもモテモテ」という、何とも都合がいい現代的な価値観を指しているようです。「会社にも着ていける”きちんと感”、360度ウケのいい”愛され感”、流行もばっちり押さえた”おしゃれ感”」が全て手に入るのが”東京MIXエレガンス”なんだそう……。「きちんと愛されおしゃれ」という言葉に宿る甘酸っぱいファンシー感、現実にそんな女性がいないことはわかりきっているのに、なおもゴリ押しできる「CanCam」の非現実感は、根本的に変わっていないようです。
■妄想世界を堪能できるコーデ術
目で見て楽しむのがファッション誌。本来の楽しみ方はそうですが、「CanCam」の場合は一味違います。どれだけ読者の妄想力を最大限に引き出せるのかが、編集部にとっての課題なようです。「”甘×辛MIXコーデ”をおさらいしちゃいます!!」では、このような文章が……。
「家から会社までの道は、実は気の抜けないバトルステージ。プリントTのヌケ感とビビッドカラーのBagでキメた!はずなのに…いつものおしゃれライバルのあのコとうっかりカブっちゃった!?」
ただの通勤が”バトルステージ”とは、最近の女のコはそこまで血気盛んなんでしょうか……。「CanCam」では他人とカブることが相当お気に召さないようで、そこかしこに”カブらない”だとか”持っててエバれる”だとか、敵対心むき出しの言葉が並びます。
前述でもありました、”東京MIXエレガンス”を編集部では「オシゴトGIRLもエレ女子大生も!いつだってかわいくて上品、キラキラ輝くミーハーな女のコに捧げマス(はあと)」と、提唱していますが、そもそも”オシゴトGIRL”は「人とカブらない!」「持っててエバれる」だなんて考えている暇がないような気が……。
MIX系企画はその他にも「MIXエレOLみゅうの1か月コーディネート」(こちらも妄想世界をたっぷり堪能できます)、「天才『黒』、着回し『グレー』、愛され『ミルキー』で毎日”MIXエレ”通勤!」などなど、意訳すると「仕事できてエロくてたまに可愛くもなったりする女風に見られたい!」コーデ術が満載なのです。
■パクった挙句、着地点が見えなくなった!?
「PINKY」からパクったケータイ小説風フォトストーリー『REAL MODELS』。先月号ではなぜか小島よしおが登場し、その内容の寒さにも驚愕したわけですが、今月号のゲストはなんと、”麻木久仁子”! 上司役での登場ですが、「CanCam」読者は「麻木久仁子をゲストに!」と望んでいるのでしょうか……。
恋に仕事に100%一生懸命な「読モ」のリアルを体感する、というのがどうやらコンセプトらしいこの企画。読モという時点で、一般人からしてみたら何がリアルなのかわからないわけですが、そんな庶民の戯言なんか聞いちゃいられないのが「CanCam」。広告代理店勤務のしづか、会社受付のみゅう、自動車メーカー勤務のりいな、商社で働く派遣OLのあいくと、登場人物の職種からして一切の感情移入を許さない、バブルな設定。「雑誌に夢を、なるべくリアルを排除して」が編集部の意図なんでしょう。あり得ない名前もビックリですが。
これまでエビ&もえ、優と偉大なる(?)カリスマモデルを育て上げ、読者やモデル志望の女の子に夢を与え続けたCanCam。モテ路線だけの甘くきらびやかな時代は終焉を迎え、これからは「可愛い、時々ビッチ」な路線へと方向が定まったようです。今後もウーマンはCanCamを生温く見守っていきます!
一方でカリスマ気取り、一方で経費削減。
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