徹子が泣いた! 小梅太夫で泣いた!
今回ツッコませていただくのは、9月5日放送の『キズナ食堂』(TBS系)。
番組では”一発屋芸人”の救済企画として、彼らに海の家「一発屋」の店員として7月から働いてもらい、その経過を放送していた。今回は、「一発屋夏物語 完結編」と題し、8月31日の閉店までを追ったドキュメンタリー最終回としての放送。
店員となった”一発屋”たちは、ダンディ坂野、鉄拳、X-GUN、ムーディ勝山、鼠先輩、BOOMER、小梅太夫の7組9人。いわゆる”ボキャブラ芸人”のX-GUNとBOOMERは、キャラクターや一発ギャグで一瞬輝いた、よく言う一発屋とはまたニュアンスが違うような気もするが、爆問の番組だし「ボキャブラのよしみ」とかもあるのかなぁと、ちょっと思う。友情なのかどうかは分からないが。それにしても、この番組が放送しているのは土曜の7時台、未来の一発屋候補が多く出演する『爆笑レッドカーペット』の裏番組というのがまた、どこか縁を感じる。
ちなみに、その翌々日の7日放送の『人生が変わる1分間の深イイ話』(日テレ)でも、奇しくも「人気者VS一発屋SP」と題し、有吉弘行、髭男爵、狩野英孝、円広志をゲストに一発屋の「深イイ話」を展開。流行ってんのか、一発屋。ここでは常に面の皮厚く、「番組始まる時は『僕、一発屋じゃないですよ』」と思ってたという狩野が、「僕、一発屋なんだな。僕、死にかけてんだな」と収録中に気付くという、発見の瞬間を目撃することができた。
さてこの『キズナ食堂』の「海の家 完結編」、主役は小梅太夫である。
この小梅がまあ、この海の家企画が始まってから、終始ダメっぷりを発揮しまくっていて、そのダメさに、仲間たちにもしばしばキレられたりするほど。
メニューの金額を覚えられない。調理などの手際が悪すぎる。テンパってはただウロウロするだけ。厳しい説教をされて、せっかく張り切った翌日に、「喉の調子が悪い」と、体調不良でダウン。さらにその翌日も、朝起きたときからまた、<喉が痛い→熱がある気がする→測定したら、熱はない→熱はないけど、今度は頭が痛い気がする→そして結局この日も欠席>って、ああもう。病院に行って精密検査(CT)してもらったようだが、結果は、「なんでもないって」……単なる出社拒否か。奥さんにも、「明日はダメだよ、ちゃんと行かないと。ズル休みしてたら、恨まれるよ、みんなに」と、ハッキリ「ズル休み」と叱られてたし。
そんな小梅太夫のダメっぷり、これには”「キズナ食堂」オーナー”の黒柳徹子も気が気でないようで、「小梅太夫さん、ちゃんとやったのかしら?」「わー、よかったーよかったー」「かわいそうに……」と、小梅の動向に、いちいち大きく反応していた。
そして無事8月31日の最終日の営業を終えた海の家で、みんなでメンバーへの感謝の思いを綴った手紙を読み、感謝の思いを伝える感動のフィナーレに。
鼠先輩、ムーディ、鉄拳、X-GUN、BOOMERと続き、鼠先輩(腰も低くて、いい人ぽかった)に「最後に、いろいろありましたけれども、この方に締めてもらいたいと思います!」と紹介され、小梅の挨拶に。
壇上に立ち、いきなり無言で目頭をこする小梅太夫。「すいません……」言葉が見つからない。ようやく素直な感謝の気持ちを涙ながらに語る。圧倒的にダメで不器用な子だっただけに、その姿にグッときて、見つめるみんな、いい表情。X-GUNのさがねや鉄拳なども、思わずもらい泣きだ。そしてこの小梅の挨拶のさなか、画面隅のスタジオワイプ小画面に映る徹子は、ハンカチで目頭を押さえた。
「……もう泣いちゃう、泣いちゃう!」
徹子が泣いた。『徹子の部屋』では、芸人キラーぶりを発揮する一方で、さすがユニセフ親善大使、真摯にがんばる芸人には、こんな優しさ、あたたかさも持ち合わせている。
小梅太夫がこの先どうなっていくのかは分からないが、「徹子を泣かせた芸人」として、ひとつ刻んだということは、覚えておこうと思います。
(太田サトル)
最強のツンデレ
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