こども店長の体力測定に、「カワイイ~」の黄色い声
今回ツッコませていただくのは、8月22日に放送された『王様のブランチ』(TBS系)。
この日は、NHK大河ドラマ『天地人』で主人公・直江兼続の幼少時代を演じて話題となり、トヨタのCMの「こども店長」としても大人気の加藤清史郎くんが登場して いた。
特にトヨタのこども店長は、「大人びた言葉をあえて子どもに言わせる」という面白さが好評らしいが、アレを見た瞬間に思ったのは、「久しぶりに “子役らしい子役タレント”が出てきたなあ」ということ。
よく「演技が達者で可愛らしい」彼ら独特の空気を「子役臭」なんて言う人がいるけれど、かつての安達祐実に見るように、そこにはやっぱり「こまっしゃくれた可愛さ」が不可欠ではある。
いや、本当に可愛いし、加藤くん自身がどうこうでなく、大人がそれを勝手に求めるのだろうけど。
そんな大人側の勝手な目線による「加藤くんの魅力」が引き出されていたのが、まさに今回の、『王様のブランチ』だった。
「まだ8歳になったばかりの小学2年生」と紹介し、なぜか行われた企画は「体力測定」。
小さな小さな加藤くんが、反復横とびや立ち幅跳び、上体そらしなどをするたび、両脇にいる二人のお姉さん(レポーター?)が「きゃあ~!」「惜しい!」と大騒ぎ。
「惜しい」の内容は、陸上競技会記録とかとの比較では当然なくて、「8歳児の全国平均」なんである。
お仕事に大忙しの加藤くんの体力が、全国平均を下回ったり、わずかに上回ったりしたからといって、何? これをどういう思いで眺めたら良いんでしょう?
ところが、驚くのは、それに対して、司会のド天然・谷原章介はもちろん、笑いができるはずの優香もズラズラいるお姉ちゃんたちも、誰ひとりとしてツッコまない。口々に「可愛い~(ハァ~)」「可愛かった~」
なんだか一方的に癒やされているのである。
8歳児の体力測定に、いいオトナが一様に「可愛い~」というこの状況、いったい何なのか。母性本能アピールかと思ったが、おそらく違う。
みんなが勝手に癒されている様子は、かつてアイフルのCMで、チワワの「クゥーちゃん」にキャアキャア言ってた様子に近いのではないだろうか。
おそらくその前はレッサーパンダの風太くんにも、同じ反応を示していただろう。
こんな何の意味もない企画で、大人たちにキャアキャア言われても、当のご本人・加藤くんは機嫌を損ねるでもなく、テレるでもなく、きっちり「お仕事」していた。
まさに大人の望む完璧な”子役”。子どもであり、大人でもある、立派なプロなのだった。
(田幸和歌子)
CDデビュー済みでした
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