ラブホテルを脅かす、新形態のホテルとは!?
――1,000軒以上を渡り歩き、”フィールドワーク”から性文化を学んだラブホテル評論家が、最新情報をレクチャー。
今年7月、とある宗教団体が経営するラブホテルが、7年間で約14億円の所得隠しをしていたとして関東信越国税局に指摘された。高さ約4mの白い観音像が入口で微笑んでいるこの怪しげなホテル、長野県を中心にチェーン展開し、地元では有名だったというが、昨今のラブホテル業界に見られる「異業種からの参入」「特殊な外観」というキーワードが垣間見られ非常に興味深いニュースだった。
ラブホテルと言えば外観に特徴のある建物が多いというのは、皆さん周知の通り。そもそも何故、外観が派手な建物が多いのだろうか? 今回はその辺りからラブホテルを考察してみたい。
■ラブホテルの外観の歴史は、広告としての役割?
まず、ラブホテルと聞いて思い浮かべるのは、どんな映像だろうか? ド派手なネオン? 船やお城などのインパクトのある外観? あるいは、自己主張が激し過ぎるビビッドな色彩の建物?
実は、ラブホテルの外観は、そのまま広告の役割をしているのだ。
今でこそ雑誌やテレビで「ラブホ特集」が組まれるようになったが、一昔前までラブホテルは新聞広告も出せない、雑誌などにも取材してもらえない、利用するのも人目を気にする日陰の存在であった。
どこにも宣伝が打てないとなると、立て看板や張り紙といった手法に頼るしかなかったが、1970年ごろ、伊豆に出来た「モーテル アイネ」によって状況は変わった。
きっと多くの人は一度は目にしたことがあるであろう、「ホテル アイネ」の第一号店である。
伊豆・長岡の山の中に突如として現れるお城のような建物は、ふもとから見ても異様に目立ちたちまち話題になった。あっという間に地元の人々が集まり、連日満室だったという。遠方から見ても目立つそのインパクトのおかげで、「派手な外観=集客に繋がる」という図式が出来上がったのだ。
そもそもラブホテルの歴史は、古くは江戸の時代まで遡る。「出会いお茶屋」がその役割を果たしていたが、それが「連れ込み旅館」になり、高度経済成長に伴い、「モーテル」や「連れ込みホテル」となり、「ラブホテル」と呼ばれるようになった。
その「ラブホテル」も、最近では「レジャーホテル」「ファッションホテル」「ハッピーホテル」など、更なる名称に移りつつある。実はこの「ラブホテル」という名称は、ホテルの外観が関係している。
昭和44年、東大阪市に「HOTEL LOVE」というホテルが誕生したのだが、その建物の最上部には、回転式の大きな看板があったという。とても目立つ建物だったので、当然まわりの人たちの注目の的に。
そこに描かれたド派手な「HOTEL LOVE」の文字。夜な夜な回転してその存在を告げる。その看板をずっと目で追っていると、「HOTEL LOVE HOTEL LOVE HOTEL LOVE~」とエンドレスにリピート。やがて、そのホテルは「ラブホテル」と言われるようになり、そういったホテルが総じて「ラブホテル」と呼ばれるようになったという。
そうして、ラブホテルは更なる集客を求めて外観がどんどん派手になっていった。雑誌の特集やインターネットなど、宣伝方法が増えた現在でも相変わらず外観が派手なホテルは誕生しているが、最近は「ラブホテルっぽくない」外観のホテルも増えている。
それは、「ラブホテルが相当に市民権を得た」ということの証明でもあるが、レジャーホテル、ハッピーホテル、ファッションホテルなど、「ラブホ」が別の名称で呼ばれるようになったことも大いに関係していると思われる。
■もはや「ラブホテル」ではない、業界騒然の「プチラグジュアリーホテル」とは
シティホテル、リゾートホテルの良いところ取り入れ、ラブホテルは独自の変化を遂げた。「高級マンションか、シティホテルか!?」と見紛う建物が増え、サービスも含め、最早今まで同様「ラ
ブホテル」と呼ぶには違和感を覚えざるを得ないようなホテルも続々登場している。
その最たるものはやはり、麻布にある「HOTEL THE GLANZ」である。麻布十番駅から徒歩1分、大通りに面したこのホテルは、まわりの景観を損なうことなくそびえたっている。このホテルはそもそも”ラブホテル”ではなく、”プチラグジュアリーホテル”としてのコンセプトを打ち出している。
利用形態も3時間からの”デイユース”と、一人でも利用できる”宿泊”を展開し、シティホテル・ラブホテル双方から、新形態として注目を浴びている。
外資系やIT関係の会社員、芸能人、都会で遊びなれた富裕層などが集うこの場所で、世界的に有名な超一流ホテルと同等、あるいはそれ以上の客室設備を誇り、特注の家具、近くのレストラン数店舗からのケータリング、インターネット完備など、快適に過ごせる為の空間が用意されている。特に最上階の部屋は東京タワーを目前に眺めることができ、立地を生かしたシティーホテルの要素も含んでいる。
室内の電気製品に至っては、i-pod接続可能や多機能リモコン、ワイヤレスキーボードなど最新のモノが揃っているところも人気の秘密であろう。
もはやホテルに”シティホテル”や”ラブホテル”いった分類はなくなるのか? 「HOTEL THE GLANZ」の今後とともに業界の動向にも注目していきたい。
日向琴子(ひゅうが・ことこ)
漫画家。ラブホテル評論家。コラムニスト。ラブホ好きが高じて夕刊紙や男性誌で連載を続けるうちに「ラブホテル評論家」と呼ばれ現在に至る。ラブホ漫画「ピンクタイフーン」は携帯サイトにて好評連載中☆「おひとり様ラブホ探訪記」や「ハッピーステイ」などラブホテルに関するブログも随時更新中。
『「ラブホ」の経営学―この道40年の第一人者が明かす、驚異の大儲け法 』
不況の時こそ、みんな入室ちゃうみたいだし
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