ゆりかもめのクロスシートは、どうしてあんなに狭いんですか?
◎鮫肌文殊と山名宏和の「だから直接聞いてみた」
――知ってトクもしなければ、自慢もできない、だけど気になって眠れない、世にはびこる難問奇問を人気放送作家2人が直撃解決!
「ゆりかもめ」の乗り心地は、そのときの気分によって大きく変わる。
乗り心地がいいのは、晴れた平日の午後、新橋方面からお台場に向かうときだ。芝浦ふ頭駅を出たあたりから、進行方向左手に湾岸の風景が開け、レインボーブリッジを渡る直前の、グルっと回るループで、その眺望はクライマックスを迎える。あの車窓の眺めは、何度見てもいい。なんだったら、グルグルグルと3回転ぐらいしたい気分だ。ちなみにレインボーブリッジに入ってしまうと、両サイドとも金網に覆われてしまい、一気に眺めは悪くなる。
乗り心地が悪いときは、挙げたらキリがないが、週末あるいは祝日の「ゆりかもめ」の乗り心地は最低である。なぜなら、大半の乗客が遊びに行くところだからだ。でも、僕は仕事。こっちは面倒な仕事に行くっていうのに、楽しげにしやがって。くそっ。こんなときは、あのループさえ頭にくる。なに、のんきに回っていやがるんだ。まっすぐ行きやがれ。
夜、疲れてお台場から帰る「ゆりかもめ」も憂鬱だ。車内は意外と混雑している。だが、よく見ると、空いている席がいくつもある。
「ゆりかもめ」の座席は大半が向かい合わせのクロスシートである。座ってみるとわかるが、向かい合った席と席の間隔がとても狭い。男同士が向かい合うと、ちょっと足を伸ばしただけでぶつかる。だから、たいていは4人掛けの席に対角線上に2人だけが腰かけている。通路側には向かい合って座っていることもあるが、この場合、斜めに座り、足が通路に出されている。
要は、無駄な空席ができやすい座席なのだ。なんで、あんな座席にしたのか。
そこで、 株式会社ゆりかもめ に直接聞いてみた。
「ゆりかもめの座席は、どういう基準でつくられているんですか?」
担当者 (クロスシートなのには)理由が2点ございまして、まずひとつ目が外の景色が見やすいようにとですね、あと、車内の混雑緩和のために、通路の幅を広く取れるように、こちらの席を設置してあるんですけども。
──あのクロスシート、座るときにけっこう窮屈なんですけど。
担当者 こちらですね、05年に運行を開始した車両に関しましては、今のお客様のようなご要望を踏まえまして、今までよりも座りやすいクロスシートで、対面座席の間隔を広くしたり、変更をしております。
──ちなみにあの4人掛けって、どれぐらいのどんな体形の人が座るって想定してるんですか?
ここでいったん、電話を切って20分ほど待たされ、ほかの担当者から電話がかかってきた。
担当者 4人掛けは、(車両を)製造している男性社員4名で測ったもので、データまでは残っていないんですが、大体165〜175センチくらいの男性が、詰めれば座れる大きさになっています。
なんとわずか4人、しかも車両の製造会社の社員をサンプルにつくられたのだという。さらに「詰めれば座れる」って。確かに座れるが、見知らぬ4人が座ったときの座り心地までは、これではわからない。もっとちゃんと調べるべきではなかったのか。
ただ、今回取材して、ひとつ朗報を得ることができた。あのクロスシートは不便という声が多いのか、現在製造中の車両はロングシートのみだそうである。
これで座席の種類が3種類の「ゆりかもめ」が走ることになる。そのときの気分に合った車両が来るかどうか。まだまだ「ゆりかもめ」には油断できない。
山名宏和(やまな ひろかず)
1967年、東京にて誕生。放送作家。『行列ができる法律相談所』『ザ!鉄腕!DASH!!』(ともに日テレ系)などを手がける。
車窓から見る風景はたまんないッス。
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