番組を一人で成立させられる、西川史子のトーク術
今回ツッコませていただくのは、5月19日放送分の情報番組『スパイスTVどーも☆キニナル!』(フジテレビ)。
「葬り去りたい男たち~第3章~」というテーマで、視聴者からのエピソードが紹介される中、視聴者に混ざって、自分の「葬り去りたい男」の思い出をありあまるサービス精神で語ってくれたのが女医の西川史子だった。
日ごろから、「年収4,000万円以下の男とは付き合わない」と豪語したり、「高飛車」「どS」「セレブ」キャラを演じている彼女。最近では「実はカメラがまわってないところでは礼儀正しくイイ人」「実は庶民派」などの”素”の部分が取り上げられることも多いが、そんな両極端な面がこの番組でも惜しげもなく発揮されていた。
まず冒頭では「合コン三昧で、ダブルヘッダー、トリプルヘッダーも当たり前」「男を年収、学歴、性格など、項目ごとに点数化」「男に見せて買ってもらう欲しいブランド品のリスト=悪魔の手帳」など、お約束の「高飛車・セレブキャラ」話を披露。
これだけで「もう二度と会いたくない女」「許せない高飛車女」みたいなくくりで、女性誌風情報バラエティー番組の特集として、十分成立する話である。
だが、話はここで一転。次は「忘れられない素敵な恋愛編」みたいな話に突入し、素敵な男性との出会いが語られた。
「彼は特に、『性格』の点数が高かった。『キミが欲しがってたデザインをいろいろ探したけど、なかったから作ってみたんだ』と手作りの指輪をプレゼントしてくれた。ブランド品もくれて、手作りもくれたのが、嬉しかった」
ここで重要なのは、「手作りプレゼントだけだったら、どん引き。でも、ちゃんと『ブランド品』があった上で、プラスαが初めて生きてきた」的な高飛車な視点なのだろう。
さらに続くのは、「ストーカー編」。「彼が肌を露出する服を嫌がった」といった平凡なエピソードから始まり、「彼に電話するとき、病院からかけると非通知になってしまい、どこにいるか疑われる。仕方なく病院からの電話も番号通知にいちいちしていた」という話に。
えっ!? 「先生」になってからの話!? わりと近年じゃ……と思っていたら、続く話は、
「テレビに出演することを彼は嫌いました。そして、局に送り迎えするように……」
めちゃくちゃ最近! しっかり有名人になってからのエピソードではないですか!!
観ている側も「そんな最近のことまでぶっちゃけなくても……」と思うほどだが、彼のストーカー話は激化、しまいには「……振り向いたら、そこに! きゃ~!!……まるでホラーでしたね」と、ご丁寧に「稲川淳二の怪談編」みたいなオチまでつく有様。
この1つのエピソードだけで「高飛車女」特集も、「素敵な恋愛」特集も、「ストーカー体験」特集も、「ホラー体験」特集もできちゃいそうな要素がてんこもり。うっかりすると1人で特集を成立させちゃいそうなサービス満点のトークは、から揚げやハンバーグ、ナポリタンなどが全部のったボリューム満点の安い定食か、幕の内弁当のよう。
「セレブ」の店で出す、お得な定食・ドリンクバー付き。西川先生の魅力は、そんなサービス精神旺盛なところにあるのかもしれません。
(田幸和歌子)
無理なキャラ設定ははストレスの原因ですよ!
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