新婚の松本人志「○○な話」で見せたのは新境地か? それとも……
今回ツッコませていただくのは、5月12日に放送された『人志松本の○○な話』(フジテレビ系)。
4月から毎週テーマを変え、放送されている同番組。この日は「好きなものの話」をテーマにフットボールアワー・後藤輝基がまず「iPodの選曲のガリガリの音」というマニアックな好みを披露。
続いて、品川ヒロシが『はじめてのおつかい』という普通すぎるトークを、千原ジュニアが毎度のクレーム的な話を披露し、日村が「カバのスケールの凄さ」という誰にもできないウルトラCのバカトークで盛り上げるなか、いよいよ登場したのが、松っちゃんである。
「皆さん、黒田官兵衛って知ってますか」
豊臣秀吉の軍師として、歴史好きの間ではわりと知られている人物であり、その人選・話術・切ないオチの妙は松っちゃんらしさが発揮された内容ではあった。
だが、その話が、とにかく長い。
しかも、途中途中、秀吉にとっての黒田官兵衛という存在の例え――「『今夜あいてる?』的な」「『ちょっと黒田、タバコ買うてきて』的な」といった「言い方」ばかりで笑わせるという手法も、やや気になるところではあった。
さらに、どうしても思い出さずにいられなかったのは、この語り、彼自身が『すべらない話』などでたびたび披露している「キム軍師話=俺が○○だったとき、キム(木村祐一)が現われた」的な語りと、そっくりだということ。
まるで「秀吉を自分に、黒田官兵衛をキムに重ね合わせてる」ように思える話しぶりなのである。
もちろん、合間合間の言葉のセンスには、さすがと思わされる部分もある。
だが、いかんせん長い。長すぎる。
観ている側では、つい「浜田がここにいれば『で、なんやねん!?』『長いわ!』『(面白いのは)言い方だけやないか!』とツッコんでくれるのに」などと思ってしまう長さだったが、さらに驚くのは、それを芸人たちがみんな黙って8分半もの間、ただただ聞いているということ。
そればかりか、千原ジュニアは途中途中で補足をしたり、フォローをしたり、挙句、締めの一言は、
「黒田官兵衛という名前自体、初めて聞きました!」
タモリと一緒に歴史雑学的な番組に出ていた人とは思えない、ヨイショである。
また、皮肉なのは、黒田官兵衛の不運なオチを聞いた後、その肖像画を見つつ「だから、落胆してヒジついてるんですね」とポツリと呟いた後藤だけが、松っちゃんの伝えたかった「悲しいおかしさ」をきちんと汲み取っていたらしきこと。
ついつい「松本軍団抜きでこの番組を作れば、もっと面白かったのに」などと思ってしまったのだが、ところが、意外や意外。ネット上の評判はかなり良い。
Yahoo!やGoogleの検索キーワードでは「黒田官兵衛」が急上昇し、「黒田官兵衛の話、面白かった~」「こういう歴史の先生がいれば」「切ない話が好きで良かった」などの声も続出していた。
最後の、大声あげて「なんで~!?」と叫ぶ悲哀のオチのためだけに費やした8分半。それでも、この評判の良さを見るにつけ、松っちゃんの相変わらずの影響力の大きさを思いしったのでした。
(田幸和歌子)
何事も始まりは面白いんですけどね。
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