モックンの受賞で、「元シブがき隊」を急速アピールしはじめたヤックン
「有名人になったら、急に親戚が増えた」なんて話を、テレビに出る人たちが語る場面はよくある。
遠い遠い親戚なのに、あるいは絶縁状態だったのに、有名になった途端、あるいは金持ちになった途端に、急に連絡をしてくる……というのは、実にありふれた展開に違いない。
本日、ツッコませていただくのは、『はなまるマーケット』(TBS系)のMCを務める、ヤックンこと薬丸裕英のここ数日の豹変ぶり。
どう豹変したかというと……映画『おくりびと』が米アカデミー賞の外国語映画賞を受賞して以降、急に「シブがき隊」カラーを前面に押し出し始めたのである。
受賞後、同番組に『おくりびと』主演のモックン(本木雅弘)が生中継で出演したのが話題になったが、その後も、まだまだ薬丸はモックンに夢中だ。
3月2日の放送分では、モックンが帰国し、30年近く前に放送されたドラマ『2年B組仙八先生』(TBS系)の教え子、つまりモックンやヤックンが、仙八先生(さとう宗幸)の還暦を祝ったということが語られ、「一緒にご飯を食べた」といって、写真がうつし出された。
しかし仙八先生の話はあくまで”きっかけ”のようで、主役はほとんど、今をときめくモックンである。もともと仙八先生の還暦祝いの会は決まっていただろうに、その会すら、モックンの受賞に合わせて企画されたように見えるほどだった。
さらに番組では、全然関係ないコーナーのBGMでシブがき隊のなつかしの曲『サムライ・ニッポン』を使うなど、積極的にシブがき隊を取り入れてもいた。
『おくりびと』の快挙は実に喜ばしいニュースだし、どこの局もどの番組も、ましてかつての仲間が出ている番組なら、取り上げるのは当然のことだとも思う。だが、どうしても少し違和感を覚えてしまうのは、ヤックンがこれまで『はなまる~』をはじめ、様々な番組で「シブがき隊は仲が悪かった」「自分対二人で分裂していた」的な話を度々してきたからである。
人気長寿番組の名司会者となったヤックンにとって、「シブがき隊」という過去は、あえて掘り下げたくない、掘り下げてもメリットがないことだったのだろう。これはこれで立派なことだとは思う。その一方で、かつての栄光・青春時代をどこの番組に出ても嬉しそうに語るフックン(布川敏和)は無邪気で、ときに気の毒にも見えた。
だが、モックンが「世界の人」になった今、これまでと同じく嬉しそうにブログで書いたりするフックンと、「仲が悪い」と半公言していたにもかかわらず、盛んに交流するヤックン。見比べてみると、ちょっと気の毒に思えたフックンが、なんだか急に美しく思えてきた。
いや、テレビとしては美しさなんて、どうでも良いだろうけど。
「友情」「仲間」って複雑だな、と改めて感じさせられる出来事だった。
(田幸和歌子)
コレが”栄光”のころ
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