今までバカにしてた人も……今こそ石田純一がかっこいい!?
石田純一がモテるとか、素足に靴がオシャレとかというのは、バラエティ番組では”ネタ”として扱われている話題である。しかし、NHKで扱われるとどうなのだろう。1月26日放送の『おしゃれ工房』(NHK教育)では、「男をみがく! 50代からのおしゃれ術 モテ系心得帖」というタイトルで、渡辺徹相手に純一が靴下を履かない理由や若さの秘訣などを説いていた。
上質な革の靴(例としてJOHN LOBBが出ていた)はムレないという話から始まって、最終的には中身を磨こうという精神論に行き着くのだが、教育テレビだけに、これを見て本気で「石田純一=おしゃれ=モテる」と勘違いしちゃうお父さんもいるんじゃないだろうか、自分の父親が実践し始めたら、かける言葉に困るよな、と心配になりつつ見終わった感想。
純一、ステキ。
見事に教育されてしまった。いや、純一は本当に魅力的だった。「石田さんはモテる」というお決まりのおちょくりにも終始にこやかに対応し、物腰はやわらかく、加齢により垂れたまぶたは「好好爺」と呼ぶにふさわしい。画面から漂ってくる空気は、イタリアンでも隠れ家バーでもない。縁側だった。ああ、この人と縁側でお茶でも飲んだら楽しいだろうな。20年後くらいには、この人を介護してもいいかもな……と思わせるものがあった。
純一、はからずも”枯れオヤジ”の仲間入りである。くしくも、発売中の男性誌「BRIO」(光文社)で、純一がステーキの店を案内するという特集が組まれているが、純一には肉より、ダイコンかカブが似合いそうだ。
とまあ、「枯れ→草食」という昨今のブームにまんま乗っかったようなことを書いてしまいましたが、実際、純一はけっこう”トレンディ”だと思う。「石田純一はバブルで古い」とバカにされても、頑なになるでもなく卑屈になるでもなく、ニコニコと笑いながら靴下は履かない。そこだけは守る。逆境の時代、このノーソックス主義の生き方は、世のオトーサンがたも、筆者のようなギスギスした30代女も見習うべきかもしれません。そして、今や女の敵になっちゃった元フェミ男の息子・いしだ壱成クンも……。純一も「不倫は文化」のときは相当叩かれたから(実際にはそんなこと言ってないのに)、壱成も今は試練の時ですね。
余談だが、純一は、92年に「EGOIST」というアルバムを発表している。トレンディ俳優として乗せられるままうっかり出しちゃった、という感じのツッコミどころ満載な作品だ。歌詞の中の男はジゴロ、またはプレイボーイ。曲調はボサ・ノヴァ。歌詞カードには上半身裸の純一。かつて肉食だった時代の純一がいっぱい。しかし、今改めて聴いてみると、間の抜けた純一の声はそう心地悪いものではない。水谷豊や西田敏行などと並ぶ、「アラ還・俳優ソングの名盤」といっても過言では……ないかもしれない、かも!?
(亀井百合子)
デートの達人に学べ!
亀井百合子(かめい・ゆりこ)
1973年、東京都の隣の県生まれ。編集プロダクション勤務を経てフリーランスライターに。ファッション誌やカルチャー誌のライター、アパレルブランドのコピーライターとして活動中。
【バックナンバー】
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