あの大物俳優に、「人生のリセット」を迫られる重さ
もしあのとき、ああしていたら……。そんな人生の大切な局面で、人生をリセットしたいという願望をかなえてくれるドラマ『リセット』(日本テレビ系)。
1月15日には、11時台に第1話、それに先駆け9時から、2時間のオムニバスドラマ『スペシャルドラマ リセット』として放送と、同日に2度の放送という珍しい放送形態となったわけだが、今回は、その9時からのスペシャルにツッコませていただきます。
今回のスペシャルドラマは、3本のドラマがオムニバス形式で展開されるもので、「人生のリセット」ということから起こる不条理や不具合を見せていく、”世にも奇妙な”的な色合いが強い。
この作品で、タモリ的な水先案内人を務めていたのは、津川雅彦。「天界の審判者」という役割で、人生をリセットさせてあげる権限をもっていて、登場人物にその選択をせまる。本編の内容にからむ点がタモリとは異なるわけで、山ピーと長澤まさみのドラマ『プロポーズ大作戦』での三上博史的な役割でもある。
話の構成も実に”世にも奇妙な”的だ。たとえば、『俺の世界』という作品は、チュートリアルの二人が演じるコンビマンガ家と、ブラックマヨネーズ吉田演じるピンの漫画家の間で起こった、賞をめぐる「痴話げんか」とでもいったらいいだろうか。ベースとなる世界では、吉田がマンガの賞を受賞するのだが、これをチュート・福田が「リセット」したことによって、徳井を捨て吉田とコンビを組んで成功、見事受賞することになる。
しかし、このコンビがある程度順調にいったところで結局チグハグになってしまい、捨てたはずの徳井が逆に売れっ子作家になってしまい……といった感じ。このアイツと別れてこっちと一緒になったほうが幸せに……といったノリが、どこかチュートリアルの徳井が福田に対してよく言う、「お前、オレのことどう思ってる?」みたいな変態漫才の世界にもちょっと通じるものがあり、原案徳井じゃねーのか、と思ったり。
いずれにせよ、ドラマのアタマと終わりにタモリが出てきて、「♪チャラララーン、チャララララーン」というテーマ曲が流れてきそうなテイストではある。しかし、日テレの別番組なので、もちろんタモリは出てこない。そんなテーマ曲も流れない。
で、何が一番気になってしまったかといえば、ドラマの内容というよりも、水先案内人役を津川雅彦がやっているということだ。
津川といえば、多額の負債を抱え、豪邸を手放し、すでに妻の朝丘雪路と”熟年別居”していたことが大きな話題になっている。奇しくもこの日も朝のワイドショーなどで、その件で直撃される朝丘雪路の姿が何度も流れていた。
「一番リセットしたいのは、ワシじゃい!」
ベタだが、津川は絶対そう言いたいに違いない。他人の人生の世話をやいている場合じゃない。当然このドラマのオファーがあった時点でも、負債の処理で大変だったはずだし。よく受けたなあ、というのが正直な感想ではある。こんなある意味リアルな役でも、来た仕事はなんでもやらなきゃということだろうか。余計なお世話だが。
番組の最後で、ドラマのラストで「リセット」されて死んでしまったココリコ田中に、津川は後釜を託して去っていく。以後、連ドラ版の案内人は田中が担当する。
「人生がゲームのようにリセットできたらいいのになと、思ったことありませんか?」
津川の口から放たれる、この決めゼリフ。……重すぎる。津川版、今回限りでちょっとホッ。
(太田サトル)
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