一番搾りのカロリー表示は缶にはあるのに、どうして瓶にはないの?
◎鮫肌文殊と山名宏和の「だから直接聞いてみた」
――知ってトクもしなければ、自慢もできない、だけど気になって眠れない、世にはびこる難問奇問を人気放送作家2人が直撃解決!
前回に引き続き、今回もカロリー表示の疑問である。
まるで僕がとてもカロリーを気にしているように見えるかもしれないが、そんなことはまったくない。年相応に、腹まわりに肉はついてきているが、今のところカロリーの心配などしたことはない。
それにもかかわらず、カロリー表示について気になってしまうのは、それだけ周りにカロリー表示が満ちあふれているからだ。
ファミレスに入る。メニューを見る。もちろん、そこにはカロリー表示がある。
「なになに、ひとくちロースステーキより和風ハンバーグのほうがカロリーは高いのか」
あ、カロリーのことなど心配していないと言っていたのに。気にしているじゃないか。馬鹿。
いやいやいや。別に気にしているわけではないが、表示されていると、つい目がいってしまう。並んでいれば、比較してしまう。それが人間の性分だ。
今やあらゆるものに、カロリー表示はついている。その中でも、僕が特に気になって、あ、この「気になって」はカロリーを摂取することに対して気になるのではなく、そこにカロリー表示がなされていることが気になるということだが、特に気になっているのは、ビール・発泡酒など、酒類のカロリー表示である。
そもそもカロリーを気にしながら酒を飲んで楽しいだろうか。「酒を飲む」という行為と「カロリーを心配する」という行為が、どうも合わない気がしてならない。
ところが先日、近所のラーメン屋で”一番搾り”の中瓶を飲んでいて、ふと気づいた。
カロリー表示がないのだ。
缶の”一番搾り”にはあるのに、瓶にはない。なぜだ。瓶ビールを飲む者たちは、カロリーのことなど気にしない者たちばかりなのか。
そこで「キリンビール」に直接聞いてみた。
『一番搾りのカロリー表示は缶にはあるのに、どうして瓶にはないんですか?』
担当者 こちらの栄養成分表示なんですけれども、今のところ法律的に表記しなければならないものではないという点がございます。また、ラベルのスペースの問題もありまして、「ラベルの大きさ」というものが、特に変えられないので、その中に栄養成分までスペース的に入らないという問題があります。缶のほうに関しましては、その点でスペースに余裕がありましたので、表記しているという形です。
──ラベルのスペースを、今のものより大きくすることはできないんですか?
担当者 あれ以上ラベルを大きくするという予定が、今のところないんですね。
──まだスペースはあると思うんですけど。
担当者 やはりそれは、デザイン性も兼ねてのラベルでございまして。今のところ法律に定められた表示のみということになっています。
なるほど。缶にだけカロリー表示があるのは、そこに空きスペースがあるから、つまり、あの表示は空きスペースの有効利用だったのか。
そして、メーカー的には、今のところ、カロリーを表示するというサービスよりも、デザイン性のほうが優位なようだ。
瓶ビールはいつまでもそうあってほしい。小瓶ならバーのカウンターやホテルのラウンジ、中瓶ならラーメン屋といった具合に、瓶ビールが似合う風景というのがある。そのとき、瓶にカロリー表示がされていたら、なんとなく残念な感じになるからである。
山名宏和(やまな ひろかず)
1967年、東京にて誕生。放送作家。『行列ができる法律相談所』『ザ!鉄腕!DASH!!』(ともに日テレ系)などを手がける。
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